週末の金曜の6校時
校舎はギシギシと音をたてた
生徒たちは一斉に机の下にもぐる
見届けていると
「先生も早くもぐって!」と叫ぶ声
床が荒波の船底のように揺れ
大木が小枝のように震え
不気味な地鳴りが響き
女生徒たちの悲鳴が広がった
すぐテレビをかける
岩手のおばあちゃんを心配して泣き出す女生徒
プールの水が波うち大量にあふれ出る信じられない光景
生まれて初めての恐怖に生徒たちは呆然と帰る
誰もいない家で余震に震えていないだろうか
繰り返す凄惨な映像は若い脳裏にどう焼きついたのだろうか
原発が次々爆発
炉心溶解の危機
良くわからないシーベルトの数値が不安を誘う
福祉施設のワゴンが給油スタンドの長い列で動かない
一人でかご一杯カップめんを買う人も恨めない
荒涼とした風景の全容が見えてきた
人がいない
一瞬で亡くなった万の叫びが
聞こえぬ声としてテレパシーのように聞こえ
私を発作させる
若い建設職人は仮設住宅の杭打ちをはじめた
中学生が老人におにぎりと味噌汁を配っている
天衣無縫の赤ちゃんが生まれている
今までとは違う歩き方が
皮膚を走り
脳を走る