ささやんの週刊X曜日

世にはばかる名言をまな板にのせて、迷言を吐くエッセイ風のブログです。

閉会中審査に社説は

2017-07-25 15:08:59 | 日記
きのう衆院の閉会中審査が行われた。テレビ中継は安倍首相が出席したこ
と、テーマが加計学園問題だったことで、それなりに世間の耳目を集めた
ようだ。私はリハビリのトレーニングに出かけていたので、このテレビ中
継を観ることができなかったが、きょうの新聞各紙は、こぞってこの問題
を取り上げている。その論調がどんなものか、おおよその予想はつくが、
実際のところはどうなのか。それぞれの要点を抜き出して、整理してみた
い。

朝日新聞の社説《「加計」「日報」で閉会中審査 特区の認定白紙に戻せ》
は、「首相が出席したきのうの衆院予算委員会の閉会中審査でも、疑念が
晴れることはなかった」と、朝日らしく、ぶっきらぼうに批判の矢を放つ。
そしてタイトルにもあるように、「国家戦略特区の認定手続きをいったん
白紙に戻し、プロセスを踏み直すべきだ」と具体的な提言を行っている。

認定の手続きを一からやり直すーー、だが、この朝日の提言は、具体的で
はあるものの、言うのとは裏腹に実際に行うとなると難しい。そんなこと
をすれば、(加戸前愛媛県知事が言うように)愛媛県と今治市はやっと実
現しかけた10年越しの悲願を、すんでの ところでさらわれ、さらにあと
10年間、お預けを食らうことになる。これでは衰退する地方都市に、踏ん
だり蹴ったりの仕打ちを加えるようなものではないか。また、加計学園以
外に、認定の申請を行う大学が出てくるかどうかもあやしいから、その意
味でも、同じプロセスを踏み直すことは難しい。

読売新聞の社説《衆院閉会中審査 政権の信頼回復につながるか》はどう
か。政府の広報誌と呼ばれている読売のことである。どうせ安倍首相を擁
護するに決まっている、と思いながら読み始めた。案の定、この社説は何
の説明もなしに「行政の違法性を示す明白な事実は指摘されなかった」と
断定している。

この社説がおまけのように「疑問なのは、政府側に依然として、「記録が
ない」「記憶がない」との答弁が多いことだ」と付け足しているのは、政
権擁護の姿勢が露骨すぎてもマズイ、と考えたためだろう。

この社説は「便宜供与がないことを証明するのは簡単ではない。政権全体
で、踏み込んだ説明を尽くすしかあるまい」と述べているが、この結論部
分の文章がすべてを語っている。国民の大多数は「加計学園に対して、便
宜供与があったのではないか」と疑念をいだいている。それが問題なのだ
が、この疑念を晴らすことは容易ではない。今回の審査で安倍首相が国民
の疑念を晴らせなかったとしても、それは事の性質上、仕方のないことだ
というのである。

国民の疑念を晴らすには、どうすればよいのか。毎日新聞の社説《「加計」
問題で閉会中審査 首相は包み隠さずに語れ》は、この問題に答えて、次
のように述べている。「疑念を晴らすには、まず首相が取り繕わずに率直
に語ることだ。またこの答弁の真偽を明らかにするためにも、いまだに記
者会見もしていない加計氏の国会招致が不可欠だ。 」

首相が取り繕わずに率直に語るーー。これは言ってみれば無いものねだり
で、現実味を欠いた無意味な要求である。意味があるとすれば、「加計氏
の国会招致が不可欠だ」とした後半の件(くだり)だろう。政府が頑なに
これを拒んでいることが、かえって疑惑を強める結果になっている。この
ことはどの新聞も指摘していない。

疑念を晴らすことができない政府側の原因は、これにはとどまらない。産
経新聞の社説《内閣支持率の急落 姿勢を改め信頼取り戻せ》は、「首相
や政府側の対応は疑念を払拭できていない。木で鼻をくくったような答弁
や、首相自身が大声でやじを飛ばしたことなども反発を招いたのだろう。」
とし、首相の答弁の態度に不信の原因を見ようとしている。しかし、これ
は事態を矮小化しようとするものだろう。そういえば、産経も政権擁護の
姿勢では、読売と同じ穴の狢(むじな)だったね。

それはともかく、日経新聞の社説《有権者の政権不信の声に謙虚に向き合
え 》は、次のように述べている。「野党が入手した情報に基づいて具体的
に質問しても、検証できるデータが政府側に残っていなければ政策決定の
過程は検証できない」。

たしかにそうである。きのうの閉会中審査では、野党は入手した情報に基づ
いて、具体的に質問をした。しかし、これに対応する政権幹部たちは、おし
なべて「記録にありません」、「記憶にありません」のナイナイづくし。こ
んな対応では、真相の解明ができるわけがない。「政府は、やはり真相を隠
そうとしているのではないか」と、国民の疑念は増すばかりである。
コメント
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