和貴の『 以 和 為 貴 』

論語:子罕第九 〔26〕 匹夫とて、志を奪う可べからず


論語を現代語訳してみました。



子罕 第九

《原文》
子曰、三軍、可奪帥也。匹夫、不可奪志也。

《翻訳》
子 曰〔のたま〕わく、三軍〔さんぐん〕ありとて、帥〔すい〕を奪〔うば〕う可〔べ〕し。匹夫〔ひっぷ〕とて、志〔こころざし〕を奪う可べからず。 




《現代語訳》


孔先生はまた、次のように仰られました。


いくら大軍を統率していたとしても、それをひとつにまとめられない指揮官であれば、その身を捕らえることは難しい話ではない。

ただし、そのような才覚のない指揮官であっても、高尚な志しをもった人であるならば、その心をとらえることは容易ではない、と。


〈つづく〉



《雑感コーナー》 以上、ご覧いただき有難う御座います。

この語句の意味するところは、身(魄)と心(魂)のちがいというものを、孔子は弟子たちに対して指摘したものだと思われますが、孔子は自らの死を意識し、自身の志し(魂)を弟子たちに何としてでも引き継がせたい…、そんな強い願望もあったんだろうと思われます。

また、それと同時に、志し(魂)を引き継ぐということはすなわち、 "孝行心" であるのだということ、そしてこの "孝行心" が広く臣民のあいだで行われるようにもなれば、やがて世の中全体が安泰へと進む、こうした想いをも伝えたかったのだと思われます。



※ 孔先生とは、孔子のことで、名は孔丘〔こうきゅう〕といい、子は、先生という意味
※ 原文・翻訳の出典は、加地伸行大阪大学名誉教授の『論語 増補版 全訳註』より
※ 現代語訳は、同出典本と伊與田學先生の『論語 一日一言』を主として参考


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