世界初の快挙…乳がんが発症しやすくなる仕組みを解明 5年以内に実用化目指す 金沢大教授が発見
10/19(火) 20:05配信
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石川テレビ
日本人女性がかかる『がん』の第一位が乳がん。生涯のうち9人に1人が乳がんを患うと言われていますが、その発症メカニズムは分かっていませんでした。 その乳がんが発症しやすくなる仕組みを、世界で初めて金沢大学の教授が発見し、19日発表しました。 後藤教授: 「どうして乳がんが出来てしまうのかっていうその辺りが、今回明らかにすることが出来たんですね」
発見したのは、金沢大学がん進展制御研究所の後藤典子教授を中心とするグループです。 後藤教授: 「これ細胞1個なんですけど、赤と黄色、このドットです。FRS2βっていうたんぱく質です」 乳腺細胞の中にあるたんぱく質「FRS2β」。これが、乳がん発症の環境を整えます。 何らかの刺激でFRS2βが活性化すると、炎症性サイトカインという物質を放出します。すると、これに引き寄せられるように間質細胞や毛細血管などが集まり、がん細胞にとって、栄養や酸素を補給しやすい環境が作られてしまうのです。
後藤教授: 「土壌が整えられてしまって、そこにちょっとがん細胞が出来ると、ワーッと育っていってしまうんです」 乳がん細胞を移植したマウスでの実験では、FRS2βがある状態だと癌が大きく増殖しますが人工的に無くした状態だと大きさは変わりません。 つまり、FRS2βの値を調べることで、ごく初期の乳がんが今後進行するかどうかが分かるというわけです。
後藤教授: 「(乳がんの)治療といっても、今実は乳房全摘とか部分切除とか、患者さんにとってもドクターにとっても残念な治療しかないんですけども『FRS2βが機能していないから、あなたはもうちょっと(様子を)見てていいんじゃないですか』というようなことを言うことが出来る。それはもう非常に大事なことだと思います」 将来の乳がん予防や治療につながる“大発見”。今後は人の細胞での研究を重ね、5年以内に診断キットなどの実用化を目指します。