イングランドの住民は自分たちがヨーロッパの一因とは思っていないようです。これは肌で感じたことではなく、小説であるとか様々な報道を通じて得た「知識」ですので異論もあるかもしれません。
例えば、アガサ・クリスティがなぜ自分の小説にベルギー人の小男を探偵として登場させ、その鈍い相棒に生粋のイングランド人を登場させたのでしょう?
真意のほどは分かりませんが、小説の端々にイングランド人の外国人に対する「偏見」あるいは「島国根性」が垣間見えるようなやりとりもありますね。
また、『ブラウン神父の醜聞』にも「デイゴー」という差別用語をアングロサクソのアメリカ人が発する場面があります。この言葉は、イングランド人が大陸のイタリア人、スペイン人、ポルトガル人、など「肌の色が浅黒いヨーロッパ人」を指すものです。
こうした言葉の存在(今では使われない言葉とは思いますが・・・)そのものが、イギリス人の感覚を示すものと思います。
EUは、実に長い間戦争を続けてきたフランスとドイツの間(もちろん、本当はこんな単純な構図ではありませんが)で、永遠に戦争をなくそう、そのために国境を溶かしてしまおう・・・という理想主義から発生したものと理解しています。であれば、こうした感覚はそもそもイングランドには存在しないのでないでしょうか?
イングランドは、過去様々な戦争や対立、差別などの原因を作ってきたことも多く、その源は先ほど指摘した『島国根性』・・・大陸ヨーロッパに対するいわれのない優越感であると思います。
ヨーロッパと英国との関係については、ちょっと古い記事ではありますが、2011年のニューズウィーク日本版に載ったコリン・ジョイスのコラム記事『「ヨーロッパ」に対する複雑な本音』が参考になります。
私見ですが、英国が大陸ヨーロッパと溶け合うことはかなり難しいでしょうし、仮に出来たとしても長い時間がかかるのだろうと思います。
今回の結果は、イングランド、スコットランドの間の対立を再度激しくするでしょうし、世代間の対立も抜きがたいものとなりそうです。果たしてどうなるのでしょうか?
少なくとも、英国抜きのヨーロッパの戦略的な価値は下がってくるでしょうし、それを歓迎するのはロシアだけでしょうね。
ただ、凄いと思ったのは、英国の国民が意見対立の中でも、街頭で真剣に議論する姿です。
日本国民のように愚かしくも『空気』に流されてしまうのではなく、しっかりと自分の意見を主張し議論するのは本当に尊敬すべき事だと感じました!
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