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北欧神話「ヨルムンガンド」について

2023-11-15 12:18:00 | 西洋の神話

【ヨルムンガンド】
 ヨルムンガンド「ミズガルズオルム」は、巨人のロキとアングルボサの子として生まれました。名前の意味は、大いなるガンド「精霊」や「大地の杖」です。兄弟には、魔狼フェンリルや冥界の女王ヘルがいます。ヨルムンガンドは「ヨトゥンヘイム」で育てられました。ヨトゥンヘイムとは、霜と山「丘」の巨人が住む国です。世界の東に位置し、絶対零度が支配する銀世界だとされています。

 神々の王オーディンは、ヨルムンガンドの存在に脅威を感じ、海に捨てました。しかし、ヨルムンガンドは、世界の最下層の深海で成長します。そこで、大地を取り巻き、自分の尾を咥えられるほどに大きくなったので「世界蛇」と呼ばれました。ヨルムンガンドは、その大きな体で、洪水や大津波を起こすとされています。

【霜の巨人】
 ヨルムンガンドは、大蛇とされていますが、霜の巨人に属していました。霜の巨人「ヨトゥン」とは、巨人の王「ユミル」の脇汗や、両足から誕生した自然の精霊だとされています。原初の巨人ユミルが、神々に殺された時、その死体からは、いろんな種族が誕生しました。そもそも、巨人とは、大自然の根源的な力を擬人化したものだとされています。

 霜の巨人は、ミズガルズ「人間界」やアースガルズ「神々の世界」にとっては、脅威となる存在でした。ミドガルドとは「真ん中にある地帯」という意味です。別名を中つ国とも言います。そこには、人間が住んでいました。神々と巨人には、それぞれに交流があったとされています。神々の世界というものは、自然界「巨人」に対する文明社会を象徴していました。文明というものも、自然に依存しなければ成立しません。そのため、神々と巨人は、敵対しながらも、相互依存関係にありました。

【トール】
 ヨルムンガンドは、雷神トールと深い因縁がありました。トールは、ミドガルドの守護者であり、巨人と戦う戦神とされています。ヨルムンガンドは、トールと合計で三度も戦いました。1度目は、トールが、海の巨人ヒュミルと釣りに行った時のことです。トールは、ヨルムンガンドを釣り上げましたが、船が転覆しそうになったので、ミョルニルで叩こうとしました。ミョルニルとは「粉砕するもの」という意味を持つ、真っ赤に焼け槌のことです。しかし、ヒュミルが、釣糸を切ったので、ヨルムンガンドは、海中へ逃れました。 

 二度目は、トールが、ウートガルザ・ロキの宮殿に行った時のことです。ウートガルザ・ロキは、幻術が得意な巨人だったので、トールは、まんまと幻術にかかってしまいました。トールには、そうした魔術に対する耐性がなかったとされています。そのうえで、ウートガルザ・ロキは、力比べを持ちかけ、トールが、巨大な猫だと思って持ち上げたものが、ヨルムンガンドでした。

【ラグナロク】
 最後の戦いとなったのが、ラグナロク「世界の終わりの日」の時です。ラグナロクが近づくと、太陽が暗くなり、星々は消え、過酷な冬が続き、人々の道徳は乱れました。その時、封印されていた悪「ロキ」や「フェンリル」などが解き放たれ、巨人たちとともに、神々や人間の世界に進撃して来るとされています。ラグナロクでは、ヨルムンガンドも、陸に上がって、トールと戦いました。トールは、ミョルニルを三度投げつけ、ヨルムンガンドを殺害しましたが、死に際に、ヨルムンガンドも、毒霧を吹きかけ、トールを殺しています。ラグナロクでは、主要な神々は死に絶え、最後まで生き残った炎の巨人スルトが、世界を焼き尽くし、9つの世界は海に没しました。




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