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西洋神話

北欧神話の「トール」

2023-11-11 21:39:00 | 西洋の神話

【トール】
 トールは、神々の王オーディンと、大地の女神ヨルズの子として生まれました。そのため、北欧神話では、主要な神の一人です。トールは、赤髭の巨漢で、生粋の武闘派とされています。単純も性格で、知略による戦いには、向きませんでした。また、魔術に対する耐性もなく、ある巨人の宮殿では、幻術によって散々翻弄されました。「海」そのものが入った杯を飲まされたり、「老い」そのものと相撲をとらされたからです。

【怒り】

 トールの妻は「シヴ」で、息子が、力の神「マグニ」です。ロキが、悪戯でシヴの自慢の金髪を丸坊主に時、愛妻家だったトールは激怒しました。ロキとは、そうした役割を演じる北欧神話のトリックスターです。そのトールの怒りは、長続きしませんでした。ロキが、シヴのものと全く同じ金髪を、小人に作らせると約束しただけで、その怒りが収まったからです。この事件が、小人同士の鍛冶勝負に発展し、神々は、数々の宝を手に入れることになりました。その一つが、トールの「ミョルニル」というハンマーです。 

 神々は、巨人の鍛冶屋に、度重なる戦争で破壊され城壁を修理させたことがあります。巨人が、報酬として、女神フレイヤを要求してきたので、トールは、怒ってその巨人を殺しました。

【ミョルニル】

 トールには、3つの宝物がありました。その3つとは「ミョルニル」「ヤールングレイプル」「メギンギョルズ」です。ミョルニルには「粉砕するもの」と言う意味があります。それで、多くの巨人を打ち殺したので、巨人たちの恐怖の対象でした。ミョルニルは、思い切り打ちつけても壊れず、投げても的を外しませんでした。しかも、再び手に戻ってきたとされています。ミョルニルは、相手を攻撃するためだけの武器でありません。トールの戦車を引く2頭の牡山羊を生き返らせる力もありました。この山羊を食べても、骨と皮さえ無事ならば、ミョルニルの力で生き返えったとされています。しかも、自在に大きさを変えることが出来きたので、携行することも可能でした。ミョルニルは、真っ赤に焼けていたので、それを扱うために必要だったのが、特殊な鉄製の手袋「ヤールングレイプル」です。また、ヤールングレイプルは、柄の短いミョルニルを握り損なわないためのものでもありました。メギンギョルズは、力が二倍になる腹帯です。そのため「力の帯」と呼ばれました。


【闘神】
 トールは、神々の敵である巨人と戦うアース神族最強の戦士とされています。なぜなら、最強の巨人フルングニルを決闘で倒したからです。フルングニルは、砥石を投げつけてきましが、トールは、ミョルニルで砥石もろともフルングニルの頭蓋骨を粉砕しました。世界最終戦争「ラグナロク」で、死闘を繰り広げたのが、大蛇ヨルムンガンドです。トールは、ミョルニルで、ヨルムンガンドの頭を砕いて勝利しましたが、自身も大蛇の猛毒の血液を浴びて力尽きました。

【巨人との戦い】
 巨人スリュムが、ミョルニルを盗んだ時、その交換条件としたのが、女神フレイヤです。この時、トールは、フレイヤに変装して潜り込みました。しかし、大男のトールが、どうやって女装で騙せたのかは謎です。トールは、隙をついてミョルニルを取り返し、すぐさまスリュムの頭を砕き、その一族も全滅させました。

 「ミョルニル」「メギンギョルズ」「ヤールングレイプル」なしで戦ったのが巨人ゲイルロズルです。トールは、ゲイルロズルの屋敷へ向かう途中、ゲイルロズルと敵対している女巨人から、3つの道具を貸りました。その道具とは「杖」と「力帯」と「鉄の手袋」です。トールは、ゲイルロズが投げつけてきた熱せられた鉄の塊を、その鉄の手袋で受け止め、それを投げ返して、柱の陰に隠れていたゲイルロズもろとも倒しました。

【雷神】
 トールは、ギリシャ神話の最高神ゼウスと同一視されました。雷という武器で、巨人族と戦ったという共通点があったからです。トールは、ゼウス同様、空を支配する最強の神とされました。ただし、ゼウスのような最高神ではありません。古来、トールの戦車の音は「雷鳴」とされ、ミョルニルの閃光は「雷」だと信じられてきました。また、雷雨が植物を成長させることから「農耕の神」ともされています。ゼウスが木曜日を司ったので、ゲルマン人も、木曜日をトールの日としました。




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