私、釈尊にとりましては、自分の首に台車に繋ぎ止めるための木製のクビキを付ける牛の役をするのが、
勇敢に修行への「努力」を継続することなのです。
これは悟りへの過程の中で、一切が静寂に包まれる涅槃(ねはん:天国)へと誘(いざな)います。
クビキを首に付けて任務を押し進めることは、前へ前へと自分自身を押し上げて行きます。
この継続はもはや、生老病死という人が持つ心配を超えた存在へと、自分自身を至らせるでしょう。
(原始仏典 スッタニパータ 第1章4節-No.79)
(感想)
私たちは、
・ 時間に拘束された会社員
・ 口うるさい旦那や姑に監視された主婦業
・ 厳しく管理された学生生活
このような環境から、解放されたい! もう逃げ出したい! 変わりたい。
と思うものです。
しかし、何と釈尊は、拘束道具のクビキを首に付けた状態こそが、
* 自分自身を悟りへと導きます。
* コノ世のすべての悩み、生(性)老病死から自分を解放して真に自由にする。
と、この項で示唆されています。
* 不自由な環境こそが、その継続が極まれば、その人を真に自由に至らす。悟らせる。
ということを仰っています。
コノ世の私たちは、拘束・束縛から逃げる選択をするものです。
そして、人は今の束縛から逃げましても、次に違う「現実」(無職、離婚、退学など)に直面し、新たな厳しい束縛(再就職・再婚など)を強いられるパターンが有るものです。
しかし、厳しい束縛が自分を悟り・解放に至らせるとは、ピンと来ないものです。
でも、私には思い当たることがあります。
* 満腹状態では、人はどんな御馳走も有り難いとは思えない。
* でも、飢餓状態ならば、ただの塩オニギリも最高の御馳走だと思えて涙を流して人は感動します。
なぜでしょうか?
不自由で厳しい「飢餓状態」こそが、塩オニギリでも感動を起こさせるのです。
つまり、
* 人は、自由な環境の中では、その自由の有り難さに「気付ける」のでしょうか?
大半の人間は、「自由であることがアタリマエ」となり、自分が「既に」自由であることに気付いていないと感じます。
ここに、すべての原点が在ると感じます。これは非常に重要なポイントです。
* 誰もが「既に」真の幸福状態であるのに、他人との比較心から、自分は不幸だと思い込んでいる。
* 既に在るモノ(肉体・家族・命・・・)の有り難さには気付けずに、無いモノ(他の異性・金銭・・・)ばかりを追い求めて、自分は不幸だと思い込むこと。
* 人は誰もが「既に」悟っているのに、自分が悟っていることに気付けない。
このような、人が持つサガを感じます。
従って、人間が首に拘束具のクビキを付けるような束縛された会社員生活を継続していますと、休日が何と新鮮で有り難いことでしょうか。
まさに休日に、涅槃(天国)を感じられます。
失業中で時間が有り余る人には、休日にも何の感動もありません。むしろ人が混む休日は苦痛であり、次の就職への心配から心が休まらないかも知れません。
すると、釈尊の上記の言葉が、まさに真実・真理であることが分かって来ます。
皆さんの参考にして頂きますと幸いです。
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