7月 1日 半夏生

2020-06-30 13:43:07 | Weblog
                       半夏生(夏至から11日目)・半夏・半夏雨

          七十二候の一つ『半夏生(はんげじょうず)』です。
          半夏とは烏柄杓(からすびしゃく)という植物の別名で、この毒草が生ずる季節という意味です。
          また、田植えの目安とされ、この頃までには田植えを終えるべきとされていました。
          この日に降る雨を半夏雨(はんげあめ)と言い、この雨が降ると大雨が続くと信じられていました。
          まだ梅雨の雨が激しく降っている地方も有るようですどうぞお気をつけて下さい

           (写真はからすびしゃく)


     漱石の座禅の寺や半夏雨             栗田やすし


     門前に智恵の餅売る半夏かな           小長哲郎


     古書店の匂ひこもれり半夏雨           国枝隆生


     丸薬の臭ひの強し半夏雨             山 たけし


     金槌で砕く黒糖半夏生              関根切子


     医者嫌ひ通して傘寿半夏生            鈴木みや子


     半夏雨上総暮しに慣れし庭            武藤光晴


     フルートを遺影に奏づ半夏雨           松本恵子


     犬の子の長き手足や半夏生            前野一夫


     味噌樽にたまり滲み出す半夏生          倉田信子


     半夏生小屋に褪せたる農暦            久野和子


     能楽堂松に降り込む半夏雨            石川紀子



          

            半夏生、半化粧 ( ドクダミ科の多年性落葉草本植物 )


     いつまでも明るき野山半夏生           草間時彦


     バッグ一つ提げて入院半夏雨           鈴木真砂女


     何噛みて舌頭にがし半夏生            能村登四郎


     塩入れて湯の立ち上がる半夏生          正木ゆう子


     夜へ継ぐ工煙の炎や半夏雨            角川源義


     先を読むことの空しさ半夏雨           佐藤鬼房




          

            関西地方では稲の根が、タコの足のように四方八方しっかりと根付きますようにと
            食べられているようです
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6月 30日 

2020-06-29 13:08:24 | Weblog
                       夏越(なごし)・茅の輪・夏祓・形代流す


          


     旧暦の6月末に行われる「夏越の祓」は、半年分のケガレを落とす行事で、この後の半年の健康と
     厄除けを祈願します。由来は神話の伊弉諾尊(いざなぎのみこと)の禊祓(みそぎはらひ)にまで
     遡るそうですが、新暦に移った現在でも、6月30日ごろ日本各地の神社で行なわれている伝統行事です。
     写真は東京深川富岡八幡宮の夏越の神事です


     大茅の輪傷む足よりくぐりけり          二村満里子


     拝殿の御籤先づ引き夏祓             上田博子


     音たてて白絹裂けり夏祓             中村たか


     日を弾く禰宜の木靴や夏祓            武藤光晴


     老友と旅の茅の輪を潜りけり           安藤虎杖


     雨傘をつぼめ茅の輪を潜りけり          関根近子


     山の端に輝く夕日夏祓              松本恵子


     山裾の社に小さき茅の輪かな           夏目悦江


     里宮に響く夏越の触れ太鼓            内田陽子


     夕まぐれ茅の輪くぐりて鳩あそぶ         山下美恵


     ごめんねと言ふ母を負ひ茅の輪かな        高橋ミツエ



          


     あをあをと津軽が匂ふ茅の輪かな         鈴木鷹夫


     いびつなる島の茅の輪をくぐりけり        岸田稚魚


     茅の輪くぐり星降る夜空詣でけり         星野立子


     顔舐めて横浜の猫夏祓              大木あまり


     のれんかけ替へて夏越の祓かな          吉田みち子


     車椅子の母と夏越の祓受く            熊田鹿石




          


     惜命や形代に息吹きかくる            清水弓月


     形代を流して瀬音高鳴れり            日野圭子


     形代となりて流るるけさの夢           桜井千種


     風に逆立ち形代の流れ出す            鷹羽狩行


     形代に書きて佳き名と言はれけり         片山由美子


     蓮田風起ちて形代流しかな            石田波郷



     人形(ひとがた)とは、人の形を模した紙の形代(かたしろ)です。人形に自分の名前や年齢などを書き、
     それで体を撫でて人形に罪やケガレを移し、身代わりとして神社に納めます。
     人形を川に流したり、篝火を焚いたり、水や火を使う神事で清め、厄を落とします。
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6月 29日

2020-06-28 13:43:58 | Weblog
                      夕菅・黄菅

     海鳴りや黄菅群れ咲く葦毛崎           栗田やすし


     夕菅の芽吹けり水の中にまで           都合ナルミ


     夕菅や単線果つる海の町             舩橋 良



          


     古道跡石に黄菅が咲くばかり           鍵和田釉子


     日光黄菅後姿の夏を見き             川崎展宏


     夕菅やつぎなる湖ヘカヌー抱き          中戸川朝人


          


     魂魄の塔にすがりし忍冬花            沢木欣一


     忍冬の垣に錆びをり屋敷町            武藤光晴


          


     忍冬神の噴井を司る               阿波野青畝


     すひかづらたまの揚羽のながくゐず        中村汀女



          


     鉄柵の透き間に見ゆる花擬宝珠          清水弓月


     兄恋ふや遺愛の擬宝珠芽生えたる         矢野愛乃


     水音にそひて歩けり花ぎぼし           日野圭



          


     錦帯の橋の擬宝珠に花のかげ           鈴鹿野風呂


     絶壁に擬宝珠咲きむれ岩襖            杉田久女


     湖明けて一襞もなし花擬宝珠           秋元不死男

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6月 28日

2020-06-27 13:58:22 | Weblog
                        氷水・夏氷・かき氷・氷いちご・氷金時


     一本の木もなき街の氷水             細見綾子


     氷屋の旗に親友還り来よ             沢木欣一


     参道に椅子はみ出して氷水            河原地英武


     三輪山に白き雲立つ氷水             清水弓月


     小さき手にそつと手渡すかき氷          太田滋子


     はんなりと抹茶に染まるかき氷          奥山比呂美


     六道の辻で飲みたる氷水             尾関佳子


     天守より降りて一人のかき氷           山口耕太郎



          



     宇治金時みどりの水となりにけり         辻桃子


     正面と思ひてくづす氷水             今瀬剛一


     氷小豆の水がちとなる父のこゑ          正木ゆう子


     一匙の脳天衝けり夏氷              能村登四郎


     冷えわたる五臓六腑や氷水            日野草城


     かき氷せりせりとあり銀座の昼          伊藤敬子




                                
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6月 27日

2020-06-26 16:07:46 | Weblog
                       浜木綿・インド浜木綿・浜万年青・文珠蘭


     浜木綿を一鉢育て遺しける            沢木欣一


     みくまのの浦の浜木綿髪に挿し          細見綾子


     浜木綿に雨走り来る岬かな            下里美恵子


     浜木綿や補陀落渡海船出の地           平松公代


     浜木綿や足裏に温き夜の砂            内田蒼天


     浜木綿咲く神社に祀るくじら石          嶋田尚代


     浜木綿や何処でも止まる浦のバス         八尋樹炎


     浜木綿の蘂紫に海昏るる             金田義子


     浜木綿や開けつ放しの蜑の家           山本法子


     浜木綿や握る切符の潮湿り            幸村志保美


     浜木綿や浜辺に小さき供養塔           橋本紀子



          

            インド浜木綿



     浜木綿やひとり沖さす丸木舟           福永耕二


     潮流を変へたる岬浜おもと            阿波野青畝


     志士の像大いなるかな浜おもと          森田峠


     浜木綿の切先たてし蕾かな            清崎敏郎


     浜木綿の花咲く島の気象台            松本たかし


     印度浜木綿の花の向くところほつかり月      加藤秋邨




          
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6月 26日

2020-06-25 14:01:51 | Weblog
                       水中花


     歓楽の酒に咲きたる水中花            櫻井幹郎


     陣痛の合間の眠り水中花             下里美恵子


     水足して息づかせたり水中花           国枝洋子


     文机につく頬杖や水中花             櫻井勝子


     水中花余震に泡の浮かび来る           田嶋紅白




          



     泡一つ抱いてはなさぬ水中花           富安風生


     いきいきと死んでゐるなり水中花         櫂未知子 


     囲はれの恋の絵島か水中花            渡辺恭子


     いつはりの愛とも知らず水中花          市川 晴子


     唇にカンパリソーダ水中花            仙田洋子


     ゆっくりと涙が耳へ水中花            対馬康子


     あざむいて友と別れる水中花           坪内稔典




          
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6月 25日

2020-06-24 12:56:07 | Weblog
                  百合・笹百合・鬼百合・透百合・鉄砲百合・山百合・稚児百合


     佐渡の百合海の夕日の色なせり          栗田やすし


     鹿子百合朝の冷牛乳濃かりけり          沢木欣一


     山百合が目覚めといふをくれにけり        細見綾子


     山腹を覆ひて揺るる百合百花           横井正子


     薬屋の百の抽斗百合の花             太田滋子


     黒百合は古九谷のいろ三つ咲く          山たけし


     白百合や息詰めて読む兵の遺書          上杉和雄


     喪の家の白百合の香とプッチーニ         奥山ひろ子


     山百合の倒れて花をもたげたる          中山ユキ


     曲り屋の茅葺屋根に小鬼百合           山下智子


     笹ゆりや嶺に白雲わき出づる           小石峰通子


     括られて鬼百合はみな俯ける           鈴木 文


     故郷の山百合庭に開きけり            中村たか




          

            山百合

     刈りのこす山百合折りし気の咎め         太田鴻村


     夕月に山百合は香を争はず            飯田龍太




          

            鉄砲百合

     鐵砲百合神の鐵砲として白き           富安風生


     壁に向く鉄砲百合のなほ開かず          古館曹人




          

            鬼百合

     しづけさは鬼百合の丈そのあばた         森澄雄


     安土城址なる鬼百合のまつさかり         河合照子




          

            姥百合

     姥百合の香へ開け放つ座禅堂           野島秀子


     姥百合に埋もるる谷間一揆の地          上杉美保子




          

            笹百合


     笹百合や棚田の水の響き合ふ           若山智子


     笹百合に風立ち木曽の雨上る           坪野洋子




          

            透し百合


     すかし百合わが裡に咲く一花のみ         斎藤玄



          

            稚児百合


          

            鹿の子百合



          

            カサブランカ


     カサブランカとかや云う百合咲き出せり      高澤良一


          
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6月 24日

2020-06-23 12:49:10 | Weblog
                       茄子・鴫焼・茄子漬・初茄子・焼茄子・なすび


     故郷の日やけの茄子を送り来し          細見綾子


     二人居の安らぎ茄子の一夜漬           国枝隆生


     茄子太る波音近き海女の畑            掛布光子


     初なすび母の畑を受け継ぎて           辻江けい


     焼き茄子の一品で足る独り者           兼松 秀


     片減りの鍬で土寄す茄子の畝           村崎妙子


     染付の小皿に茄子の一夜漬            江本晴子


     夫立てる鋏の音や初茄子             野﨑和子


     裸弁天供物の茄子の艶めけり           服部鏡子


     朝の膳色良き茄子の一夜漬            夏目隆夫


     雨粒を零して採れり初茄子            小原米子


     ほの甘き茄子の煮浸し夕の膳           夏目悦江



          



     もぎたての茄子の紺や籠に満てり         星野立子


     妻二世なれど素直よ茄子漬くる          菊池純二


     漬茄子の色あざやかに嫁かずあり         菖蒲あや


     一様に茄子を育てて貸農園            飯田弘子


     茄子焼いて牛の生れし祝酒            太田土男


     ふるさとや支へ木しかと茄子実り         鈴木真砂女 




          



          
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6月 23日

2020-06-22 13:54:30 | Weblog
                       風鈴・鉄風鈴・硝子風鈴・風鈴売・風鈴市


     母恋へば軒の風鈴一つ鳴る          栗田やすし


     風鈴があればかなしき時あらん        細見綾子


     みちのくの風鈴居間に馴染みたり       神尾朴水


     風鈴やひそと過ぎたる夜の風         梅田 葵


     風鈴の下のびきつて仔犬寝る         栗田せつ子


     鍛冶町に音色たがへし軒風鈴         鈴木みすず


     妻逝きて風鈴の舌取れしまま         田畑 龍


     風鈴や茅の匂ひの合掌家           谷口悦子


     プレハブの飯場の軒に貝風鈴         渋谷さと江


     短冊は伊勢型紙や江戸風鈴          笹邉基子


     風鈴となる灼熱のガラス玉          篠田法子


     南部風鈴僧のもとめし寺の市         ころころ



          



     語りかけ来る風鈴を買ひにけり        上野 泰


     持ち代へて風鈴の鳴る跨線橋         岡本 眸


     新婚の新居風鈴すでになる          及川 貞


     あらゝかに風鈴さわぐ目覚めかな       飴山 實


     夜の風鈴月の言葉と言ひつべく        林 翔


     せはしげに安風鈴の鳴り通し         富安風生




          
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6月 22日

2020-06-21 11:14:08 | Weblog
                       南瓜の花・花南瓜


     花南瓜角逞しき島の山羊             栗田やすし


     境なき本家と分家花南瓜             上村龍子


     授粉せり南瓜の花を広げつつ           藤田岳人


     徒花の多き南瓜の咲きにけり           小原米子


     這ひ上り茶畝またげり花南瓜           松本恵子


     花南瓜近江水路に蔓延ばす            小栁津民子


     人影なきフクシマの地に花南瓜          近藤文子


     神の田に蔓伸ばしたり花南瓜           篠田法子


     稲藁を敷かれ南瓜の花盛り            市原美幸



          



     見捨てられ雨の南瓜の花小さし          菖蒲あや


     かにかくに峡のくらしや花南瓜          飴山實


     母の鍬いつも戸口に花南瓜            伍賀稚子


     花南瓜農夫に読まれ本白し            秋元不死男


     南瓜咲き室戸の雨は湯のごとし          大峯あきら



     早起きの農家南瓜の花開く            右城暮石



          
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