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5月 31日

2021-05-31 05:55:16 | Weblog
                       南瓜の花・花南瓜


     花南瓜角逞しき島の山羊             栗田やすし


     這ひ上り茶畝またげり花南瓜           松本恵子


     花南瓜近江水路に蔓延ばす            小栁津民子


     徒花の多き南瓜の咲きにけり           小原米子


     授粉せり南瓜の花を広げつつ           藤田岳人


     人影なきフクシマの地に花南瓜          近藤文子


     稲藁を敷かれ南瓜の花盛り            市原美幸


     境なき本家と分家花南瓜             上村龍子


     神の田に蔓伸ばしたり花南瓜           篠田法子



          



     花南瓜農夫に読まれ本白し            秋元不死男


     見捨てられ雨の南瓜の花小さし          菖蒲あや


     桶匠の桶つくる音花南瓜             伊藤敬子


     貧乏な日本が佳し花南瓜             池田澄子


     川口の海の濁れり花南瓜             清崎敏郎


     南瓜咲き室戸の雨は湯のごとし          大峯あきら


     母の鍬いつも戸口に花南瓜            伍賀稚子



          

           三たび東京・大阪・京都・兵庫に緊急事態宣言が出されました
        ご自分と大切なご家族を守るために三密を忘れなく 密閉、密集、密接を避けましょう
        手洗い、うがい、マスクの着用 を 日常に
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5月 30日

2021-05-30 06:12:38 | Weblog
                       雨蛙・青蛙・森青蛙・枝蛙


     雨蛙が雨呼ぶ梅の青さにて            細見綾子


     マリヤ寺金環の眼の青蛙             山下智子


     蓮の葉にまだ尾のとれぬ雨蛙           森 靖子


     堂守の当番札に青蛙               野島秀子


     青蛙鳴くだけ鳴いて水に浮く           矢崎富子


     福助のやうに手をつき雨蛙            内田蒼天


     朝の試歩杖先に来る青蛙             谷口千賀子


     青蛙天水桶に棲み付けり             矢野愛乃


     ぴよんと飛び保護色美しき青蛙          神尾朴水


     胎教のピアノ聞きゐる青蛙            中川幸子


     水撒けばあちこちに飛ぶ青蛙           山鹿綾子


     干し竿の穴に眠れる雨蛙             佐久間寿子



          



     青蛙おのれもペンキ塗りたてか          芥川龍之介


     青蛙ぱつちり金の瞼かな             川端茅舎


     葉が動く森青蛙居るところ            高浜年尾


     青蛙いまし跳ばんの外厠             岸田稚魚


     切々と殉教の地の雨蛙              古賀まり子


     森青蛙産み終へし目のうるむ見ゆ         加藤秋邨


     太郎冠者仕るべく青蛙              阿波野青畝



          

          三たび東京・大阪・京都・兵庫に緊急事態宣言が出されました
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5月 29日

2021-05-29 05:39:49 | Weblog
                       紫陽花・四葩・七変化


     あぢさゐや逢はばすずしくもの言はむ       細見綾子


     寺町が晩学の宿濃紫陽花             栗田やすし


     紫陽花の重みを母の乳房とも           河原地英武


     鎌倉の山あぢさゐの瑠璃きざす          福田邦子


     父の供花少し小振りの濃あぢさゐ         岸本典子


     虚子庵の名残の四葩藍淡し            小島千鶴


     紫陽花の碧の遠くに空の青            武藤光晴


     七変化たつぷり活けて美容院           梶田遊子


     白紫陽花幼き毬は薄みどり            巽 恵津子


     紫陽花の原種苗買ふ朝の市            丹羽康碩


     門川に鯉飼ふくらし濃あぢさゐ          角田勝代


     あぢさゐの藍をつくせし寺の庭          黒木純子



          



     あぢさゐや夢にはいつも医師の父         水原 春郎


     紫陽花を抱いて持ち込む守衛室          廣瀬直人


     ふるへつつゼリーが皿に濃紫陽花         福田蓼汀


     紫陽花や一日は水もむらさきに          林 翔


     飽くほどの平和おそろし七変化          伊丹三樹彦


     子の渦に保母ひとりづつ濃紫陽花         福永耕二


     四葩切るをとこの手許大胆に           三橋鷹女



          

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5月 28日

2021-05-28 07:24:33 | Weblog
                       苔の花・花苔


     苔の花見下ろす寺の奥座敷            栗田やすし


     室生寺の塔に雨降り苔の花            細見綾子


     走り根のからむ樹海や苔の花           武田稜子


     霊木の文殊の注連に苔の花            中山敏彦


     師を恋ふて無名庵まで苔の花           栗田せつ子


     鐘楼も茅葺の屋根苔の花             武藤光晴


     昼暗き如庵の裾の苔の花             鈴木真理子


     鵜装束軒に乾けり苔の花             上田博子


     夫恋ふる式部の歌碑や苔の花           大澤渓美


     庫裡までの飛石づたひ苔の花           松本恵子


     大杉の走り根覆ふ苔の花             山下 護


     



          



     花苔に神すみまさり崇徳陵            鈴鹿野風呂


     金閣にほろびのひかり苔の花           遠藤若狭男


     汲みあてゝ花苔剥げし釣瓶かな          杉田久女


     苔の花踏むまじく人恋ひ居たり          中村汀女


     苔の花出湯にみちびく石畳            照山とし子


     うつすらと齢来てをり苔の花           岡本 眸


     仏ともただの石とも苔の花            森本林生



          

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5月 27日

2021-05-27 05:50:47 | Weblog
                       夏帽子・麦藁帽子・パナマ帽


     夏帽子こめかみ深く旅出ずる           沢木欣一


     旅みやげ久留米絣の夏帽子            細見綾子


     夏帽子触れあふ内緒話かな            河原地英武


     夏帽子やあと現はれじやあと去る         櫻井幹郎


     夏帽を濡らして伊豆の雨あがる          栗田せつ子


     自転車の尼僧の黒き夏帽子            市原美幸


     旅立ちの麦藁帽を浅かむり            丹羽康碩


     着物の娘カンカン帽で闊歩せり          天野アイ子


     夏帽子課外授業の子らの列            辻 桂子


     敬老手帳使ひ始めや夏帽子            塩坂惠子


     大道芸投銭受くるパナマ帽            益田しげる


     夏帽子被りなほして富士仰ぐ           ころころ



          



     夏帽といはずいつでもベレー帽          吉田鴻司


     海港の荷馬よ夏帽に耳を立て           秋元不死男


     パナマ帽かぶり一見好々爺            鷹羽狩行


     ちらと見ゆ屋根行く人の夏帽子          高浜年尾


     そばかすのある娘の似合ふ夏帽子         牛尾美恵子


     オリーブの銀緑叢中夏帽子            福永耕二


     わが夏帽どこまで転べども故郷          寺山修司



          

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5月 26日

2021-05-26 05:36:15 | Weblog
                      金魚・金魚玉・金魚市・出目金・金魚田・蘭鋳


     セルを着て稚き金魚買はんなど          沢木欣一


     ビニールの金魚を提げて麦生の家         細見綾子


     石臼に目高ほどなる金魚飼ふ           栗田やすし


     空缶の金魚ゆらして登校す            河原地英武


     朝市の金魚値札を避け泳ぐ            栗木豊代子


     金魚玉幼の病みし日のことも           武藤光晴


     出目金を野太き声が糶り落とす          日野圭子


     不細工なほど蘭鋳の高値呼ぶ           篠田法子


     歯を削る音や金魚の立ち泳ぎ           市川正一郎


     金魚市竿で引き寄すせりの箱           松原和代


     金魚売竜神様の水貰ひ              長谷川郁代


     早口の符牒飛び交ふ金魚市            市川悠遊



          



     佳句詠めず鉢の金魚が平泳ぎ           鈴木真砂女


     蘭鋳の真正面の目玉かな             細川加賀 


     金魚田の水にゆらぎし城下町           野中亮介


     人待ちの時の長さよ金魚玉            石塚友二


     祝ひに行くのかと金魚提げられ行く        秋元不死男


     さみしくて金魚の水に指つつこむ         菖蒲あや


     蘭鋳の爆発寸前のかたち             奥坂 まや



          

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5月 25日

2021-05-25 06:08:39 | Weblog
                       青田・青田風・青田道


     かゞやきのある雲が青田向ふより         細見綾子


     家裏の青田水張り男子生る            栗田やすし


     舷側の西日の透きに能登青田           沢木欣一


     青田道隠れ聖徒のまで            服部鏡子


     いにしへの蒲生(がもう)野いづこ青田風     山下善久


     土手刈るや青田に足を浸しつつ          藤田岳人


     引き水の音響き合ふ青田かな           横井正子


     青田波淡く色濃く寄せ来たり           山本法子


     喫茶店青田の見ゆる席に着く           松原佳子


     ふる里や下駄つつかけて青田道          佐々木美代子


     青田風念佛衆の笠煽る              山口登代子


     実盛人形青田風来て燃え崩る           河合義和


     送る師はすでに青田の青の中           ころころ



          



     汗の臍に山風あそび青田ゆく           飯田龍太


     せめて馬見たしと思ふ青田原           能村登四郎


     沼落す渦のしづかに青田べり           水原秋櫻子


     人と地が結ばれ青田真青に            山口誓子


     木曾三川つぎつぎに過ぎ青田風          鷹羽狩行


     ひとり果てむ家吹きぬけて青田風         鷲谷七菜子


     檜山より檜山をつなぐ峡青田           加藤耕子



          

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5月 24日

2021-05-24 05:11:40 | Weblog
                       馬鈴薯の花・じゃがいもの花


     事もなげにじやがたら芋の花咲ける        細見綾子


     じやがいもの花の中より北狐           栗田せつ子


     一畝の馬鈴薯咲かせ島に住む           久野和子


     最果ての牛乳うまし薯の花            垣内玲子


     能登島や薯の花咲く畑二枚            金田義子


     馬鈴薯の花の盛りや遠伊吹            兼松 秀


     畑一面むらさき淡き藷の花            石川紀子


     古戦場跡馬鈴薯の花盛り             平松公代


     大粒の雨じやがいもの花打てり          関根近子



          



     踏みたけれじやがたらいもの花畳         鷹羽狩行


     畝高きじやがいもの花晴れ女           佐藤鬼房


     東京の宅地に畑薯の花              木檜和久


     みつしよんの丘じやがたらの咲く日かな      中村汀女


     じやがいもの花の起伏の地平線          稲畑汀子


     廃銀山馬鈴薯の花ここに尽く           皆川盤水


     わが教卓馬鈴薯の花を誰か挿す          福永耕二



          

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5月 23日

2021-05-23 05:46:54 | Weblog
                       麦の秋・麦秋・むぎあき


          麦秋という季語、麦が実り、たわわに黄金色の穂をつける麦にとっての「秋」の季節。
          それは梅雨入りもせまるつかの間の乾燥期、つまり今頃の季節のことをさします。



     麦秋へ浅草発の朝電車              細見綾子


     麦秋や母の便りの旧漢字             栗田やすし


     赤富士の胸乳ゆたかに麦の秋           沢木欣一


     麦秋や指に紫紺のインク染み           河原地英武


     麦秋や河より低き治水の碑            国枝隆生


     手拍子で賛美歌謳ふ麦の秋            鈴木みすず


     武蔵野の土の温みや麦の秋            森垣一成


     麦秋や別れのあとの風の音            岸本典子


     人恋ふる龍笛の音や麦の秋            丹羽一橋


     膝小僧覗くジーパン麦の秋            中野一灯


     麦の秋蛸突つ張つて干されたる          井沢陽子


     遅刻の子一人道行く麦の秋            中山ユキ



          



     麦秋の黄をこめ灯る崖の上            吉田鴻司


     年々に帰るふるさと麦の秋            森 澄雄


     麦秋の櫂を濡らしてもどりたる          夏井いつき


     上空が渦巻いており麦の秋            五島高資


     すぐそことずつと遠くが麦の秋          加倉井秋を


     気管支を痛める恋や麦の秋            寺井谷子


     水甕の水のうまさも麦の秋            福永耕二



          

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5月 22日

2021-05-22 06:23:57 | Weblog
                       夏椿・沙羅の花・さらの花


        ツバキ科の落葉高木。十メートルほどの丈になる。白い花びらに黄色の蕊をもつ。
        咲いてもその日のうちに落ちてしまう一日花。花の形が椿に似ていることから「夏椿」ともいいます。
        また平家物語ではかなさの象徴としてうたわれた沙羅双樹は夏椿ではありません



     あはあはと沙羅の花びら空にあり         沢木欣一


     古備前の壺に一輪夏椿              鈴木みすず


     のびやかにひびく木魚や沙羅の花         中野一灯


     沙羅散るや鑑真廟の苔の上            角田勝代


     本堂に遠き潮騒沙羅の花             武藤光晴


     沙羅の花母の残せし硯箱             垣内玲子


     磨崖仏の裂け目に咲きし夏椿           山崎文江


     風立ちて沙羅の花ちる万願寺           岩上登代


     晩鐘の響く棚田や沙羅の花            八尋樹炎


     朱印押す僧の手白し沙羅の花           前田史江


     雨しとど沙羅の蕾の落ちるまま          小栁津民子


     沙羅は実に寺の奧処の鬼子母神          山下智子



          



     惜みなく咲くは落るは夏椿            飯島晴子


     頬杖という杖ふくよかに沙羅の花         澁谷 道


     和紙よりも縮れ微妙に沙羅の花          山下美典


     沙羅咲いて花のまはりの夕かげり         林 翔 


     湯上りの子と夏椿健気なり            飯田龍太


     沙羅の花雨の禅院に茶を賜ふ           村山故郷


     別れ来し人に文遣る沙羅の雨           西村和子 



          

            沙羅双樹


     沙羅双樹慈眼に細花莟もつ            能村登四郎


     花を拾へばはなびらとなり沙羅双樹        加藤秋邨




          

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