読書備忘録

私が読んだ本等の日々の
忘れない為の備忘録です

佐野広実著「シャドウワーク」

2024-03-21 | さ行
シャドウワーク=生活の基盤を維持する不可欠な労働。報酬の支払わない仕事。家庭内暴力・警察官の夫からのDVを受けている千葉県警の女性刑事の北川薫と同じく暴力夫によりケガを負い病院から風変わりなシェルターにたどり着いた紀子の2つの視点から交互に展開する。溺死体の事件を担当したが自殺と処理されたことに納得がいかず個人的に調べる女性刑事の薫。4日に1人、妻が夫に殺されているという、声を上げられないDV被害者たちが、今日もどこかで心と体に瀕死の重傷を負っている。命すら奪われかねない状況に置かれながら法に守られず、絶望の果てを見た女たちが生きる世界。シェルターのその家には、ある一つの「ルール」があった。・・・「法律は力のあるものが、踏みにじる側の者が、自分の都合よく作ったものに過ぎないわ。だから・・・万能でもない。・・・世界は法律で裁けない悪意に満ちている。」(P325)現実がどうにもならず、被害者だけが生涯脅えて耐え続けるしかないのなら…「一度だけ他人を押しのける」ことは正当だとさえ思ってしまう。法整備に公的補助や他に方法がなかったのか終わり方に納得感が持てなかったが内容は面白かったし考えさせられた。
2022年9月講談社刊

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