Landscape diary ランスケ・ ダイアリー

ランドスケープ ・ダイアリー。
山の風景、野の風景、街の風景そして心象風景…
視線の先にあるの風景の記憶を綴ります。

NHKスペシャルを観て

2014-12-27 | 生活、環境

 

 昨夜放送されたNHKスペシャル「シリーズ東日本大震災、38万人の甲状腺検査~被ばくの不安とどう向き合うか~」を観た。

 先週放送されたNHKスペシャル「メルトダウン File 5 知られざる大量放出」と共に好い番組だったと思う。

 ただし、番組最後の結論部分で、なぜ?あのような視聴者を別の方向へ誘導するような

 実証的データ不在の恣意的なレトリックを用いたのか?が不可解だった。

 

 まずは昨夜の甲状腺検査…から。

 来年で4年目を迎える福島第一原発事故。

 チェルノブイリでは4年目から子供の甲状腺がん発症数が急激に増えた。

 ところが福島県立医大が主導する甲状腺検査が、早くも頓挫しているというのだ。

 その原因は、県立医大に対する住民の不信感と「これ以上被ばくの恐怖に向き合いたくない」という拒絶反応。

 これは、そのまま日本全国を覆っている感情だろう。

 特に後者の「これ以上厭なものと向き合いたくない」という感情が3・11以降の顕著な傾向だ。

 ところが、チェルノブイリの当事者であるベラルーシでは事故後30年が経過しても、

 住民の9割の人が甲状腺検査を受け、被ばくとの長い闘いに向き合っている。

 これは末端の診療所でも甲状腺検査が簡単に出来るようにした

 ベラルーシ政府の行政指導によるところが大きいようだ。

 

 一次検査を受けた29万人の内、甲状腺がんの発症が見つかった84人(107人とも)

 この数字を原発事故による被ばくの影響ではないと県立医大は否定する。

 100万人に一人か二人といわれる甲状腺がんの発症率を、

 番組最後に「このデータは住民全員を対象にした福島の場合と異なり

 発症者の自己申告によるものなので信憑性に乏しい」と否定します。

 科学とは、その言説を実証するために夥しいデータを必要とします。

 被ばくの影響が「ある」にしても「ない」にしても、

 どちらにしても結論づけるには、決定的にデータ不足なのです。

 そして福島の初期被ばくのデータは、非常に曖昧な数字であることは誰もが認める事実なのですから。

 

 100万人に一人の発症率の根拠が怪しいという結論に、ひとつだけ答えるデータがあります。

 福島同様に被ばくしたベラルーシの甲状腺検査の記録だ。

 以前にも紹介した菅谷昭の「原発事故と甲状腺がん」に、そのデータが記されている。

 86年チェルノブイリ事故発生の当年が2人。

 3年目の89年で7人。4年目の90年では29人と一気に増える。

 分母とする数字は10万人を対象とした甲状腺検査らしい。

 福島の29万人を対象にした検査で84人(107人)を問題ないと退ける根拠が分からない?

 

 メルトダウンの結論は、4号炉の給水を優先しために大量放出が起こったという内容だった。

 でも当時から4号炉の核燃料廃棄物プールが一番危険だと云われていた。

 (爆発すると東日本全域の汚染または壊滅とも)

 自衛隊ヘリから撮影された映像からチラリと光るものが見えたという曖昧な根拠を理由に、

 4号炉の給水を止めるには、あまりにも危険な賭けだったのではないだろうか?

 結果、4号炉に水があったことを指摘しても、それは後出しジャンケンだろう。

 

 

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