「死と砂時計」
著者:鳥飼否宇
◎プロローグ
…主人公?とかなり特殊な舞台設定をさらりと。実は色々と深い意味を持っていた、と後でわかる。
◎魔王シャヴォ・ドルマヤンの密室
…これ、一枚で良いから挿絵が有ればなぁ…(一発ネタバレになるかもだが)。トンデモないトリックが炸裂する(小声)その割にちょっと雑な所も有ったり…。
◎英雄チェン・ウェイツの失踪
…どうにもチグハグで不可解な「伝説」の真相は…。クライマックスの外連味たっぷり、なのに妙にサッパリした奇妙な後味はクセになる。
◎監察官ジェマイヤ・カーレッドの韜晦
…各話それぞれに、この特殊過ぎる「舞台」を上手く組み込んでいるが…このエピソードはその中でも特に異質。
皆、意志が強いよねぇ…(意味深)
◎墓守ラクパ・ギャルポの誉れ
…視点が変わるとスルッと受け入れらるようになる巧妙なトリック。この手のカラクリが本短編集には多い。
◎女囚マリア・スコフィールドの懐胎
…この辺りから「サイコ臭」が強くなる(まぁ最初っから、ね…)。主人公(?)は二重三重の受難…。ちょっと卑怯な気もする。
◎確定囚アラン・イシダの真実
…で、端々に散りばめた伏線を一気に纏めて回収。あの謎、この違和感、そしてあの秘密…。縺れた糸を少しずつ解きながら…物語は驚愕のエンディングへ雪崩れ込む。
◎エピローグ
…の最後にある「ひと言」が想像を絶する種明かし(?)で…この一行に戦慄した、とのレビューも多い。
よくもまぁこんな展開を思いついたものだ…。
前回の「パンダ探偵」から別次元(まぁ「別次元」だけど←)の空気の中、まさかこんな読後感に苛まれるとは…。
読者をジワジワと、なんとも嫌な…重たい雰囲気に引きずり込む連作。
著者の他作品
っシリーズ「読了」:「パンダ探偵」
っシリーズ「読了」:「物の怪」
「満足度:◎」
◎:オススメ
◯:まずまず
△:好きな人もいるかも
×:読まない方が…
※:絶版キボンヌ