サンチョパンサの憂鬱

夕刻のサンチョパンサ……色とカネの応酬の末の地獄絵図

頂き女子のりりちゃんの二億とも三億とも言われる詐欺の被害金額。他にも騙しのマニュアルの売上2000万円と聞けばスゲェなぁ?

また先日、二十代の女が半年だか一年だかで1800万円も貢がされたと逆上し、路上でホストを刺し殺人未遂で逮捕された。

『私の人生を返せ!』、『テメエ人の人生をナメンじゃねえぞ!』、『さんざん搾り取りやがって!返せ!』……と叫んでた。
凄まじい怒りである。

頂き女子りりちゃんも……流血とは程遠い犯罪だけど……これも彼女の心の底流には『オドロオドロしい怒り』が渦巻いていた事は想像に難くない。

何故?コレだけ報われないのか?
心身を酷使されながら一生懸命働くしかない理不尽な立場・状況……。
『そんな日常に対する持って行き場もないまま蓄積し続ける怒り』である。

そんなこと言ったって?頑張り?工夫して抜け出すしかないんじゃね?……という『正論』がすぐ聞こえ来るけれど……彼女たちに対して……僕も俗物、そんな正論を吐く資格も気力もない。

ツンとスカした世間が札ビラ切れば……相手は瞬間的に子猫の様に従順になり歯が浮くどころか抜けちゃうよ?位のお世辞を浴びせてくれる快感…。
とても高くつく麻酔薬(カネ)であるけれど……。

『依存症』の人が説明してくれたことがある。

その瞬間、嫌な状況の何もかもかもが頭から離れていくのだと。
ホストクラブ、キャバクラで言えばシャンパンを押しの為に入れた瞬間だ……。
一瞬にして支配者になった様な快感なのだと。

おバカを演っていることは重々承知している。
早晩、破綻しかないことも……。
その刹那の興奮が覚めると?死にたくなるくらいの自己嫌悪が襲ってくる。
そこでまた仕方ないから、その瞬間の為だけに日常の労働(苦行)をヒタスラこなす日々……。

恵まれぬ日々に人は……密やかに怒り・復讐心を胸の奥底に仕込むのである。
理屈では抑えられぬ自分の激情がマグマのように溜まっていく日々……。

『人の尊厳』なんて軽〜く口にするけれど、弱いモノ言えぬ立場の人々。
そんな大金は幾ら借りまくったって何れ底をつく。
そして『唯一の救済?』が終わり……逃れられぬ絶望が眼前に突き付けられる。

りりちゃんも路上の殺人未遂犯の女性も、逮捕されるしか『止まる方法』なんて無かったんだろうなぁ……?
拘束されてる画像を観ていて何だかホッとした様な気がした……。

りりちゃんは男を手玉に取ってコケにすることでその怒りをエネルギーにした復讐を実行した。

二十代の女性は、ここまで尽くしたのに、この上まだカネの要求か?
もう無理!!……もう何もかも吹き飛ばし、面倒臭い日常を頭から叩き出してくれる時空は手に入らないのだ!!

何?コイツ……?
もう、幻影は見えない。
何?コイツ……?
まだ搾り取ろうってか?

激情となって噴き出す怒りと殴る蹴るの直接的暴力……。警官もタジタジとなる負のエネルギー量の凄まじさ……。

この女?この男?……カネ、幾ら?運んでくるか?
カネベースのみの脚本で繰り広げられる刹那のノリ。
学芸会より稚拙な疑似恋愛劇場の夢はカネが止まるとイキナリ幕が降りる。

もうどうでも良い!!終わりだ!!殺人未遂の女性はヤケッパチでそんなセリフを叫んでた。

本当に苦しいのは?、本当に哀しいのは?、本当に辛いのは?……それでも人生は終わってくれないってことなのである。

大抵、そんな人は依存の末にヤケッパチの力を頼る。しかしそんなんじゃ人生の幕は閉じてはくれないのである。
その途方もない長さ…は…ヤケッパチとカネだけじゃ到底間が持たない。

幸運にも二人の女性は警察の力でストップさせて貰えた。一旦、刑務所の中で『心の休養』が取れるだろう。
それが明けてから?彼女達の本当の人生が始まるだろう……と。

そう思えたのがせめてもの救いだった。
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