サンチョパンサの憂鬱

サンチョパンサの食卓(56)国内鎖国化が世界の潮流なのか?

帰宅すると……凄くタイムリーなことにNHKが『混迷の世紀……パラレル・アメリカ、分断の行方』をやっていた。

帰る間際に店で、最近妙に右の人達が勢い付いてるよね?なぁ〜んて話した。参政党も保守党も議席を確保したしねぇとか。

最近凄く気になるのはその『右めいた人達』が半ば差別的に中国や韓国・北朝鮮の事を指弾して見せることだ……と僕は言った。
マスコミも国会議員も『アチラの人か?アチラの影響を受けてる人が多い』とか……。

ある部分正解を含んでるだけに妙な説得力をもって耳に入って来る。
確かに税金を払わない外国人に生活保護?健康保険で医療を受けさせる?
そんなの聞くとそうだよなぁ?と思うことも多い。

中国製の電動キックボードの規制が超大甘なのはそんなバックグランドがあるからなんじゃね?……と誰かが言った。

ソレは事実かも知れないが、もしそうなら日本もそれとバーターで何かを得てるかもよ?と僕は言った。
ただ?僕達はそれを『知らない』から右からの言説だけが妙に説得力を持つんじゃないか?……と。

かつてブータンの国民は殆どが『自分は幸福』と自認してた。詰まり国民の幸福度世界一の国だったけれど。
ソレは情報の鎖国化といってよいほどブータンの国民には世界の情報が届いて無かったことによる。

ユックリとSNSなんぞを通して外界の情報が伝わり出すのと比例してその満足度は下降しているという。
『知るということ』は今迄の自分に変化をもたらすという効果がある。良くも悪くもである。

何度かSNSの弊害である『トンネルビジョン』と『エコーチェンバー』に付いて書いたことがあった。
これは『情報世界における自主的引き籠もり』によって発生する。

自分と同じないし似たような意見ばかり聞くことによって自分は『強くなった気がする現象』がエコーチェンバー。
尚且つ、毎日同じメンツばかりと交信するからまるでトンネルの中の様に同じ風景ばかり体感する事になる。(トンネルビジョン)

アメリカの分断の風景を見ると……このSNSの弊害そのものをアナログ世界で見せられてる様な気がした。

トランプ派とバイデン派の意見のぶつかり合いは殆ど罵り合いである。
自分の意見だけを喚き散らし相手の言う事には聞く耳を持たないのである。
自分のお気に入りの情報以外には耳を閉ざす。
『自主的情報の鎖国化』を行うのである。

お気に入りの情報以外を『知らない』人が増えた結果として分断が起こるのである。
自分の主張以外には『聞く耳を持たない人』同士だから歩み寄りはない。

情報も生活も経済活動も全てを『お気に入りの世界』で完結させる人達も一定数の塊となった。
その受け皿のネットプロバイダは設立一年で上場を果たすというスピードで存在感を見せつけている。
これはもう、思考も生活も交流も自主的鎖国の完成版である。

自分の価値観と違う書籍を攻撃し、図書館から除去しようとする『禁書』と呼ばれる活動も発言権を拡大しアメリカの図書館の司書達を恐怖に陥れているとも……。

秦の始皇帝の如くまさに『現代版の焚書坑儒』活動までアメリカで起きていることに少なからずショックを受けた。
アンネの日記さえも『性的記述』の部分が保守派の方々にはお気に召さないのだとか?

気に食わない知識・情報は味合わない。
『知らないまんまやり過ごす手法』はとても楽で快適である。その結果思考技術はドラスティックに劣化していくしかないのである。

知的活動のスキルが絶望的に劣化した結果としてパラレル(分断)が導かれているのだと思った。
『知らないことは恐怖の対象』となるからである。

『何故?』を放棄して生きる事は……『頭の良い身奇麗な猿』になるのを目指す事にならないか?
自分の足の代わりに走ってくれる車で自然人の足は劣化した。

今、IT.AIが人間の代わりに計算して思考してくれる様になりつつある事とフランス、ドイツやアメリカに頑迷な保守的右翼の人達が誕生してることは背中合わせの関係なんじゃね?

脳が思考の楽を覚える。組織論的に恵まれない人が多数派になる。
その『自分の不幸の原因』として『知らない移民や外国人』を犯人に仕立て上げる。
そうすることで『心は楽になる』しアレコレ悩み考える必要は無くなるのである。

僕は敢えて言おうと思う。
そういう安易な思考のルートに逃げ込む人達は、単に頭の良い身奇麗な猿になっただけなのであると……。
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