高校中退、ハチャメチャギャル演って出来ちゃった婚、その旦那さんは飲酒運転で事故死。
懲りずにまた結婚。
子供が出来たけれど今度は旦那はアルコール依存で離婚。
都合二人の子持ちのシングルマザーとなる。
彼女は『ハチャメチャして来た』って言うけれど、今となってはソレが凄い活きているのである。
事を運ぶのに『何が必要か?』を瞬時にして割り出す能力。実行に移す早さ。何より肝が座っている。
世の中、アンタ?教育評論家?って聞きたくなる様なオバハンが溢れかえってるけれど……。
そんな輩は進学塾にでも勤めたら?って言いたくなるくらい学校の細やかな分類ばかり喋り倒してる。
ホントの意味で世の中で仕事して一本立ちして生きてく能力なんて一ミリもない奴は多い。
親に反発して十代から突っ張って生きて来た時間は……キッチリ彼女の栄養となり『生きる実力』となっているなぁ?……と感じる。
『仕事の運びに必要な段取り力』は申し分ない。飲食店の一軒や二軒は運営していく能力は既に持っていると思う。
学校で習うんじゃなく、自分が傷付きながら覚えた『実力』なんだと感心した。
しかし、彼女自身が生きる過程で拾ってしまってるウィークポイントもある。
『自分に対する過小な自己評価』である。
俗に言う『私なんか?』っていう奴である。
昨日、僕はキツく彼女に言った。
君はセンスが良い。頭も良い。ビジュアルも悪くない。オッサンにはかなりモテて来たんだろう。
しかし、君は『生活の横着が染み付いてる事』に気付いているか?
それは手の洗い方に表れている。手首から先を全部キレイに拭き取る事が出来ない。
濡れた手で、物に触る、道具に触る。下手すりゃそのまんまお客さんの鼻面にその手を出している。
髪型、髪の手入れにも表れている。
取り敢えず後ろに束ねて引っ括りましたってニュアンスだ。
君には『絶えず生活感』が付きまとっている。
別に不潔って訳じゃないのにね?
『私はこんなモンじゃない!!』って気概を失っているんだ……と。
若くして家を飛び出し、一人きりで生きたらそりゃ傷付いたと思う。
ならば?余計にプライド高く生きなきゃ駄目なんだ……と僕は言った。
幾らセンスよく、頭もよく、ビジュアルが良くてもね?
『負け犬根性』で生きたらそういう『君の素質は活かされること』は絶対ないのだ……と。
自分に染み付いている『怠惰・横着の癖』を舐めちゃ駄目なんだ。君が思ってる以上に君の感情に染み付いている。
コレからは手を洗う度に『自分でチェック』してみたら分かる。
プライドって奴はそう演って作っていくしかない……と。
救いは素直さだと思った。目は濁っていない。
説教を聞く彼女の視線は真っ直ぐに僕を見ていたから……。
小賢しい調理技術なんて時間の問題。直ぐ身に付けるだろうと思う。
しかし『自分をこのまんまにはしておかない!』というプライドがなければ負け犬に磨きがかかるだけ……それは『勿体ない』と思わせる『何か?』が残っている今が勝負だと感じた。
自分で用意してしまった『負け犬根性』を本物にしていくための人生じゃ哀し過ぎると思った。
さて?……今日、彼女はどんな手洗いをするだろうか?
楽しみである……。