1950年代初頭、ハリウッドに吹き荒れたレッドパージ(赤狩り)……。
友人・知人の密告を強要され、屈服する者、プライドにかけて跳ね返そうとする者……。
主人公は心揺れながらも抵抗を選択する……。
アカラサマな手のひら返し……信じていた人間関係は呆気なく瓦解し消え去っていく。
実際の話……抵抗を試みた人間達の数多くが名誉回復を得たのはそれから後、約20年の歳月を必要としたのである。
仕事・収入を得ても……自分の利得の為に人との信義を嘘を用いて裏切ったという後ろめたさは終生心にへばり付いて離れないだろう。
一方……プライド、矜持を死守すれば、仕事を奪われ自分の表現の場と手段を失うこともまた生き地獄であろう……。
何れにしても……『死ぬまで付きまとう苦しみ』なのである。
何時だったか……芭蕉の死の三日前、旅先で病の床に在って詠んだ句、『旅に病んで 夢は枯野を駆け巡る』が自分の生き方の理想だと書いたけど……。
この主人公の様に……究極の二者択一の重大なテーマの決断を迫られる時……。
『メメントモリ!(死を思え!)』と何度も唱え、ソコから決定しなきゃ取り返しの出来ない『後悔と共に生きる』人生に走るだろうなぁ……と思った。
死ねば……こっちのモンなのである。
死ねば……みんなゼロとなる。
ならばその『ゼロ具合』は僕独自のものでなきゃ生きる甲斐も意味も失ってしまう。
人間というものを買い被っちゃいけないよね?
僅か数百年前には……『裁判の体裁』を整えて『皆』で魔女狩りしてたのである。
我がニッポンでも平和を口にすれば『皆で』非国民と罵詈雑言を浴びせていたのである。
同調圧力って奴は……人を見事に二極化して見せるモノだ❗……と再認識させられた映画だった……。
裏切るだろう事を予感・覚悟していた主人公の幼なじみが……最後の最後に人の信義を優先させたラストシーンに……僕は救われた……。