夕方6時の帰り道、もうクーラーはいらなくて窓を開けて外の空気を取り込んだ。不思議だな、先週は暑くてクーラーなしじゃ生きてけなかったのに。
窓の外には色んな音が溢れていた。男子高生の笑い声、サッカー部の中学生の恋バナ、自転車のベル、横をすり抜けようとするオートバイのエンジン音。
もう涼しさを感じるようになったことに嬉しくなって、楽しそうな人々の音に微笑ましくなった。
横に誰もいないのに笑っている私は傍からみれば変人以外の何者でもないのだろうな。そんな風に危惧しながらアクセルを踏んだ。
風を切る音がする。暑いと締め切ってるから気付くことができない音だなと思う。車のスピーカーからはメロウな音楽。空はオレンジと水色。
なるほど、エモーショナル。
明日はどんな服を着ようかなと考える。この時期は服装を考えるのがとても楽しい。
家路を急ぐ車たちの長い長い列のいちばん後ろに加わった。