借りていたDVDの返却期限が今日(日付が変わってしまっているので本当は昨日だけど。)だったのに
忙しくて観れずにいた。今夜遅くに観て、明日の開店前までに返しに行こうかとも思ったけれど、明日は早起きできる自信がなくて返しにいくことにした、午前2時。
外は人もお店も寝静まって、街灯のオレンジが優しく見守っている。その静かさにまるで世界に私だけみたいだと思った。
何度も何度も観たDVDは、洋画だけど、台詞が聞き取れるようになってきた。そんなに観るなら買えばいいのにとも思うけど、あなたが好きだった映画だから、手元にはなくてよかった。たまに思い出して借りに行くくらいがちょうどいいんだ。あなたのことをたまに思い出して悲しくなるくらいの頻度で。
閉店後の返却BOXだけが照らされていてまるでスポットライトみたい。(虫がたくさん集まってきているけれど。)
少し古びている返却BOXはギギと音を立ててDVDを吸い込んでいく。あなたとの思い出もあなたに返却できたらこんなに悲しい夜は来なかっただろうに、返しそびれてまだ私の手元にある。少し悲しくなってきてイヤホンで耳を塞いで、涙も塞いで。
イヤホンから流れてくるのは季節外れもいいところの卒業ソングで、エモーショナル。
あの映画のように帰り道は歌って、踊って帰ろうかな、なんて一歩踏み出したら後ろから自転車が通り過ぎて行った。世界には私だけじゃなかったわ。