名古屋城・完全木造復元とエレベーター設置の是非に
就いて私見を述べる。
40年以上も昔だが、私も名古屋城を訪れたことがある。
結構なお城好きで、全国各地のお城を見ているのだ。
でも、世間の皆さんと決定的に違うところが私にはある。
基本的に天守閣には入らない、登らないのだ。
天守閣まで登った記憶があるのは、山城である岐阜城
だけで、眼下の地形を樹木に邪魔されずに見たかった
から天守閣まで登る必要性があったのだ。
第一、天守閣は中に入って興ざめするよりも外からの
美しい姿を鑑賞している方が私の好みなのだ。
だから私は、女性を遠くから鑑賞している期間が一番
楽しいのだと後から気付き、静かに笑うのである。
だから私は、富士山には登らず遠くから観るのが好き。
ちなみに松山城だって30回以上は天守閣の前まで
行っているが、天守閣には触れてもいない。
多分、中身は詰まらない、と想像がつくからである。
では、そろそろ、名古屋城の話に戻ろう。
市長を交えた意見会での発言を録音で聞いているが、
差別的な内容に満ちていて、ちょっと酷過ぎる。
だから、市長の「私は聞いていなかった」は嘘である。
自分がエレベーター設置の反対者だから障害者への
差別的発言をスルーしたかったのだろう、と私は想う。
そもそも、「400年昔の木造復元を希望して各機関から
許可が下りるだろうか」と考えるべきである。
耐震性・防火性・耐久性を想像しただけで許可が下りる
とは到底思えないのだ。
だから、市長たちが望む木造城とは少しだけ木造城で、
コンクリートも鉄骨も存分に利用した城になるのである。
その上で、エレベーターも設置するのは駄目なのか、が
問題の焦点なのである。
ここで現在の名古屋城の写真を載せてみよう。
興ざめするエレベーターが丸見えな点が問題を抉らせ
ている原因なのではなかろうか。
だから、「エレベーター設置反対」の声もでかくなる。
エレベーターが「悪」となり、その設置を求める障害者を
排除しようとする声までエスカレートするのだ。
でも、エレベーターがあるとは思えない造り方はきっと
可能な筈で、それでもエレベーター設置反対となれば、
差別する為の設置反対と言われるだけである。
要するに、差別主義者はどこの街にでも居るのである。
鉄筋・コンクリート・耐震・防火を備えた城は100年以上
経過しても大丈夫なのが現代建築の常識である。
そして文化庁は、「そういう城も大切にしたい」の結論が
既に出ているのである。
一方史実に基づいた木の城は、天守閣に同時に何人
入れる、又は登れると考えているのだろうか。
入城料金は1万円でも貰わなきゃ、借金返せないよね。
誰かが一階で放火したら、きっと死の城になるよね。
大地震が来たら、と想うとゾッとするよね。
だからエレベーターを入れるのも、鉄筋・鉄骨を入れる
のも、同じことなのだと気付くべし。
まっ、どんな城が建とうが、私は下から観て楽しむね。