タイ女性との結婚

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タイ女性との結婚8 落ち武者

2011-12-11 08:30:25 | 日記

人が死ぬとき、自分の人生が終わるとき、その最後の最後の瞬間の中で、人は走馬灯のように自分の辿ってきた人生を一瞬で振り返るという話を聞いたことがある

 自分のような見も知らない男の結婚を取り仕切りという縁・・・

H氏のおかげでタイ女性と結婚できる それは他人がどう思うとも、少なくとも自分の人生の中では重大な事項だろう思う 

彼もたぶん俺の人生のラストで見る走馬灯のように、まるでフェリーニの8 1/2の映画のラストシーンに出てくる円のある舞台をクルクル回りだす登場人物たちのように・・・

彼は特別な思いで俺と縁のあった人として人生のラストで登場してくるのだろうと思ったりする・・

人はそんな俺の思いをセンチメンタルなものだと嘲笑するかもしれない 

毎日が孤独で本当に生きていると感じられない今の俺には、このタイ女性との結婚を取り仕切ってくれるという事だけでも、人生にとって光明を見出す思いであって、それは彼との縁のおかげであった。

そう思うと、自分は今孤独ではないんだ としみじみ思い、なんか目から自然と涙が出てくる・・

キタキタと自分の涙腺叱りつける

両手で顔をパンパンと叩きつける

しかし、涙は収まる気配はない

ついにそんな、まるで落ち武者のようになってしまったかのような形相の俺をH氏は見咎めてこういった 

どうしたんです?涙なんかだされて・・僕の話はそんな泣く話でしたか?

と笑いながら言うと 俺は言った

いやいや、マティーニがね・・まさしく、これは劇薬ですね ほんとあなたが言われるように、僕の人生ダメになっちゃいそう・・

そんな落ち武者が照れ笑いを浮かべて涙をぬぐいながら言った。


そう俺が涙をぬぐいながらいうと彼は、弾けるように笑いながらこういった 

マティーニを劇薬というのは良い表現ですね うまいこといいますね 

そういい終わると彼の顔から徐々に笑顔が消えた。そしてこういった

じゃOさん マティーニのお時間はもうそろそろおわりましょう

お水をもらって、少し酔いをさまして西方親鸞会の仕事の話にもどりましょうか

Oさんのお見合いしてもらうタイ女性の写真を見てもらいますから・・

そう言って、彼は自分のノートパソコンをバックの中から取り出した・・

俺はえっ という顔でH氏の顔を見る



その俺の表情を見て悟って、彼は言った 

Oさん 言ってませんでしたか?

タイ女性と結婚する前に、まずタイに行ってお見合いしてもらわなければなりません 

いきなりタイに行って、結婚できるのかということは、入管局も怪しみますし、それはタイ女性との結婚していく流れとしては、よい流れではないのですよ

 タイ女性もOさんといきなり会って即結婚という気持ちにはならないと思います。

やはり、どんな国でも男と女が結びつくには段階を踏んでいかなければ・・それはご理解いただきますね? 

このことはオーキッドのサイトにも書かれていたとおもいますが・・

そうだったのか・・俺は思いにふける

それにしてもお見合いという気持ちではなかっただけに・・いきなりタイで結婚できると思っただけに・・

俺の気持ちはそんなH氏の言葉を聞いて、それまでの幸福感から一変して、この現実というものに怪訝なものを感じ屈折した気持ちの心情景に変化してしまっていた 

そう思うと同時にマティーニに酔ってしまった自分がもうかなりこの現実世界から取り残されてしまっているのではないか?という焦った気持ちになってしまっている 

時計を見る・・・終電の時間はとうにすぎているようだ 


もう、ずいぶんと酔っ払ってしまってますから、話は後日にしますか?

そんな事をH氏に言って、とりあえずこの場では見合いの話はなかったことにして、ごまかしてしまおうか?

俺の中にそんな悪事がひらめく 

 H氏はずんずんとパソコンを起動させようと画面を開けだした そんな光景を見ると、言いたいことも言えない気持ちになる・・

俺は駄々っ子みたいにイジケタ悪事な気持ちのまま、こう思ってしまう



 タイなんかに何で行かなければならないんだぁ?



そんな自分の本音みたいな言葉がマティーニに酔いつぶれた自分の主体から発せられ、俺の心の中でこだましながら、叫んでいるのが聞こえるような気がした 

そんな叫びと呼応するように

バーのカウンタの端に小奇麗な色白い女性が俺を見つめながら微笑み、一人っきりで飲んでいるのが俺には見えたような気がした

マティーニに酔った俺は世界から取り残された状態で喘ぐようにそんな彼女を見て思う。

もし、こんな肌の白い綺麗な女性が私の妻だったら・・もし、この日本女性と俺が世界の果てまで一緒に今この現実世界から逃げてあげると彼女が言ったならば・・

もしそうなら、肌の色も違う、言葉の伝わらないタイ女性との結婚に俺が藁をもつかむ思いで溺れることもなかったろうに・・・・

それにしても、こんな50歳を前にして、タイ女性と結婚だなんて・・

なぜなんだ? お前は以前の結婚で幸せだったのか?

いつも、金がない、金がないと言って、ピーピー言っていたじゃないか?

結婚なんかしなければ、こんな旨い酒もお金のことも気にせずにのめるのに・・ 気楽な独身生活ってやつを満喫できるじゃないか 以前の中国女と離婚したときはそんな思いで離婚したのではなかったか?

そう心の中で自問自答していくと自分の心が悪魔のように気持ちの変化してきているのがわかる 俺はどんどん屈折した気持ちで思いをはせる


それにしても、タイ女性なんかと結婚してご近所の奥さん方はどう俺を見るだろう?

そうだ、彼女らはこういうに違いない

奥様、聞きました?あの方とうとう日本女性にも相手にされず、中国女性にも見放されて、タイ女性と結婚されるみたいよ・・


よいお歳をしてそんなにいつまでも、見境なしに若い女性とSEXでもしたいものなのかしら?

タイ女性なんて言葉も通じないのに・・一人暮らしに飽き飽きして、気でも狂われたのではないでしょうかね

ホラホラ、ご覧になって、やっぱり日本人と違って、タイ女性は色が黒いですわね・・これからあのご亭主も大変ですわね・・・

 と嘲笑されるのが落ちかもしれない・・・笑いたければ笑え 

でもお前たちはどうなんだ?

 おれのような不具者を哀れんで、お前らの年増のブヨブヨな裸体を自ら投げ出して孤独な俺を抱きしめて慰めてくれるとでもいうのか?

そんな孤独の俺とともに夜中まで二人で晩酌して、ともに片寄せ合って、ピュアなロマンテイストとなって涙を流して韓国ドラマを共に見てくれるとでも言うのか?


誰も俺を救ってくれることはない 誰も俺のことを知っちゃあいない  それにしてもだ・・奥様方よ

それにしてもだよ・・ご近所の奥様方・・・

お前たちだって、人を笑う資格などないんだ お前たちの亭主はお前たちに隠れてコソコソ、いったい何をしているのか知っているのか・

お前たちの醜いブヨブヨの裸体など抱く気にもならず、個室ビデオ店でセッセと通いつめてお前たち以外の裸体を観賞し、想像し、癒してもらって、ご亭主たちは一生懸命励んでらっしゃるんだぞ

 そのことをお前たちは知っているか 

お前たちの前では見せたこともない癒された表情で、ご亭主たちは三畳もない消毒液でプンプン臭う息苦しい狭い世界の中しがみついて、お前たちと別なものを得るために、そんな世界で幸福感を味わっているんだ。

考えたら可笑しいものだ そんな世界にしがみ付いて、ちゃんとしたお前たちのような妻がいて、家庭があって、いったい彼らはどうしちまったって言うんだ?


お前たち奥様どもが悪いのか?

ちがう男とはみんなそんなものだ 男は言葉もコミニーケーションもいらないんだ タイ女性でも中国女性も日本女性もなんだっていいんだ 

入る穴さえあれば・・男はなんだっていいんだ お前たちのような建前だけで俺を笑う年増のおばはんなんかに孤独な俺たちを笑う権利などないんだ



 でもそこにいるカウンタの・・そう、そこの彼女はどうだろう?彼女だけは違うような気がする

彼女は俺の味方だろうか?

それとも、敵だろうか?

彼女もみんなと同じようにタイ女性と結婚する俺を笑っているんだろうか?

彼女は俺と共に世界の果てまで逃げてくれるだろうか? 

俺のような・・こんな俺のような男の赤ん坊を彼女の腹の中に宿してくれるだろか?

 以前結婚していた中国女は俺の子供を作る事を拒否した それでも俺は笑えなかった 俺は泣けなかった 

誰も俺を救ってくれることはない 誰も俺のことを知っちゃあいない それが俺の人生だった 

笑いたければ笑えばいい

しかし・・

俺は子供が欲しい 五十前にして・・そう思う自分がいる

自分の生きる目的を知りたい 自分の生き方を見出したい・・

お願いだ そのことだけは彼女だけにわかって欲しい


 ブーンという機械音がしだしていた・・


ふと見るといつのまにか隣のカウンタのH氏の大きく分厚いノートパソコンが音を立てて力強く起動しようとしているところだった・・・・

当然だけど、色白い日本女はカウンタの端にはいない

パソコンの起動音にせきたてられるように、現実に引き戻された俺は、

水をください と虚ろげにバーテンに言った・・

バーテンから渡された冷たい水を一気に飲みほす・・

これで少しはマーティニからの酔いも徐々にさめてくるだろう と思う

早くお見合いするタイ女性の写真が見たい・・今夜中にお見合いする相手を決めてしまわなければ・・と思う

そう思うと、俺はH氏のノートパソコンが未知の世界を秘めた玉手箱のようにキラキラ光っているように思えてくる

そう思いながら、起動を終えたH氏のノートパソコン見ると彼のパソコンの壁紙のトップ画面の複製された

たくさんの黒猫たちが、まるで・・・

どうしようもない孤独な俺を祝福して出迎えてくれたかのように、

きちんと配列されて大きく目を見開いたまま俺を見つめているのだった・・・


続く