末期がんで既に前作からドクターストップがかかっていたと聞きました。
渥美さんにとって、年一度公開の寅さんは自分自身そのもの。役者人生を全うしたのですね。
やつれて元気がないし、脂汗が浮かんでいます。ごろりと横になるシーンはあまりに自然。肺がんでしたよね?セリフを言うだけでもどんなに苦しかったか。私達を楽しませる代償に命を削って作品を作り上げてくれました。
48作のマドンナは歴代マドンナの中で一番インパクトがあり、出演回数も多い浅丘ルリ子。源氏名だろうけど、リリィという名がよく似合います。
顔の半分目だと言っても良いくらい大きい瞳ですよね。圧巻です。
今回、何作目ぶりかに満男の恋人泉役の後藤久美子も登場しました。
満男を試すように、自分の縁談話をしに訪ねてきた泉。満男は動揺しつつも「止めろ」と言えなくて、結局泉の結婚式を阻止しに岡山へ向かいます。
満男って、崩れると厄介なタイプですね。こんな大事にする前にしっかり泉のハートを掴んどけばいいのに。
映画だから許されるけど、これは違反行為ですよね。
結果的には泉も満男の気持ちを確認できて、二人は急接近。泉も泉で、母のための結婚ですって?は?さんざ振り回され続けた親のための結婚?そりゃないでしょ?
寅さんは長年想い続けたマドンナリリィと奄美大島で暮らしていました。
失意の満男が島で放浪しているのをリリィが助け家に呼ぶ。そこに寅さんがいたというまたも偶然すぎる必然。
寅さんとリリィ、満男と泉はこれから先が期待される終わり方。
今回はもう最終作と決めていたのでしょうね。
渥美さんは公開翌年の1996年に亡くなりました。
お疲れ様、ありがとう寅さんと言いたいですね。