額賀史上?!最高傑作登場です!
経済小説の大家たちが束になってもこの小説を超えることはないっ!
おもしろい、最高におもしろい。
そして、読後の爽快感も最高。
「花森石鹸」総務部の真柴忠臣35歳、
自分の勤務する会社なのに、買収のニュースをテレビで知る。あんまりですよねえ。
ご家庭の定番商品 × 外資系の“匂いがきっつい”トイレタリーメーカー。対立は火を見るより明らか。
買収で一番のネックとなるのは、役職つきのいじさん社員たち。
融通が利かない、風通しの悪い、コッテコテの日本の会社が「花森石鹸」なのです。
そそりゃあ、総務部の真柴も苦労するでしょ。
合併で変化を期待した若手や転職入社組は会社から気持ちが離れてゆくし。
ベテラン経済小説家たちの作品なら、ここで、主人公がリーダーシップを発揮、
指示を飛ばし、正義感を振りかざし、24時間働くところですが、
花森石鹸の真柴は自分の役割を淡々と実直に果たす。
ベースとなるのは、築き上げた信頼。
信頼されている当人はその自覚がないのがよいです。人柄ですよね。
ごく普通の会社員の真柴が合併の渦に飲み込まれてゆき、
濁った渦がじょじょうに澄んでくる過程が読みどころ。
枝葉の部分と内面描写が細かすぎるのが、これまでの額賀作品の特徴だったが、
この新作は、書き手として一皮むけた感じがします。
買収騒動の一年間、珍しくない出来事なのかもしれませんが、
額賀さんの手で爽やかなエンタメ経済小説に仕上がっています。超お薦めです。
以下引用です
内容紹介
朝テレビつけたら、ウチの会社、買収されてた……! !
令和時代のまったく新しい“お仕事小説”誕生!
社名変更!? 人員削減!? 技術流出!? 働き方激変!?
愛社精神満点の総務部員の奮闘の一年を描く、企業買収ヒューマン・コメディ!
新宿区の外れにあるレトロなアパート「林檎箱館」に学生時代から住んでいる真柴忠臣(35歳)。
ある朝ニュースで、勤務先の「花森石鹸」が外資系トイレタリー企業「ブルーア」に買収されることを知る。
混乱と対立のるつぼと化した社内で、忠臣は総務部員として東奔西走する。
激務に耐えるベテラン、合理性を求める若手、葛藤するシングルマザー、謎多きブルーア日本支社社長……
仕事へのモチベーションも立場も性格もさまざまな社員たちは、この大激変を乗り越えられるのか?
読みだしたらとまらない、令和時代の新しいお仕事エンタメ小説!
装画:山本さほ 装丁:大原由衣