『月光を孕みてねむる蝉の殻』
(真鹿子)
仕事からの帰り道、ポートライナー中公園駅の階段のところから、夜空を見上げると、少し赤みをおびた満月が昇っていて、団地に向かう陸橋からパシャリ♪なんだか満月も暑そう、団地の屋上のあたりで、涼んでいるよう見える。
ちょうどあの下あたりが遊歩道だから、遊歩道の木立の間から、手がとどきそうな満月が見えるはずだ。わくわくしながら団地に入って、夜空を見上げると、満月がいない?あの建物の屋上の上あたりにいたはずなのに、いない?あちらこちらを見渡しても、影も形もない。行方不明だぁ!見上げる所とか、角度によって違ってくるのは判るけれど、さっきまで見えていたのに、あまりにも極端!お月様はやっぱり神出鬼没だ。でも、月光の明るさはあるんだから、きっとどこかに居るんだと、とぼとぼと遊歩道を歩いていると、ピカリと光るものが落ちている。近づいて見ると、蝉の脱け殻だ。しがみついていた枝から落ちたんだ。拾って見ると、なんと!!可愛い♪クリクリの目!
地底王国からようこそ♪こちらの世界はいかがですか?クリクリの目がまた光った。これはもうお持ち帰りに決定!珍しいもの好きの母上にお見せしなければならない。明日はまたこちらの草むらに戻っていただきますので、今夜は我が家にお泊まりを、何もおかまいできませんが、ゆっくりお過ごしくださいね。
帰宅してベランダに直行、ベランダから見える夜空を、隈無く捜索したけれど、やっぱり満月はいない。どこに行ってしまったんだろう?
この時の、この満月が、行方不明になった満月(゜U。)?
『月光を孕みてねむる蝉の殻』
まさか
『満月を宿してねむる蝉の殻』
なの??
どちらにしても
元気なお月様の卵
産んでちょうだいね♪
羽根光る蝿
死んでなんかいない
生きているときよりも
もっと生き生きと
羽根光る蝿
空の向こうに
飛んで行く
(真鹿子)
深夜に帰宅して、文字通りバタンキュウと、わたくしのいつも定位置に倒れ込み、ちょうど顔のところに風があたるように設置している扇風機をつけて、解放感いっぱい♪♪24時間中一番心地いいひとときを過ごしていると、目前のカーペットの上を、黒くて小さな虫らしきものがチョコマカとせわしげに移動している。目を凝らして見ると、いびつな円や四角を描きながら、小さなハエが歩いている。
ハエってこんな風に歩く虫だったのかしら?携帯のカメラのズームを最大に拡大して覗き込むと、パッチリと可愛いい複眼のハエだけれど、右側の羽根の付け根のところを痛めているようだ。
近頃わが家のボス猫がジャンプアタックのハエ狩りに目覚め、時折ベランダから入ってくるハエを楽しみにしている様子だけれど、アタック攻撃を受けて、負傷したのかもしれない。
ハエの治療といっても、消毒液をかけると、かえって逆効果かもしれないし、こういう風に出会ったのも何かのご縁だから、見つめていると、やがてハエ君の動きも鈍くなって、眠りはじめたのか、わたしも眠り込んでしまった。わたしはいったん眠りにつくと、危険かもしれないくらい、深く眠り込んでしまう熟睡型らしいので、睡眠途中で目覚めることはなく、朝になって見ると、動かなくなったハエのからだだけを残して、もういなくなっていた。
わたしたちはみんな、もともと、不生不滅の存在なのだから、ハエ君は今頃、傷ついて残念な念の羽根を念入り強化して、六甲山の空の向こうを元気良く飛び回っていることだろう。
ところでハエの驚異的なの飛翔能力は、もはや超能力である。空間に一瞬、手足を突っ込んでいるかのような静止飛行、直進飛行をしながらの方向転換急発進や、急上昇ジグザグ飛行に、急降下瞬間移動と、まるでUFO!ハエの飛翔能力の解析結果が、UFO製造の根幹となっている可能性も、なきにしもあらず!我が羽根光るハエ君のからだが、外れてしまった、わたしたち不生不滅の聖なるいのちの流れのなかの、ハエ君の強化された羽根の念は、ちょっとおちゃめなハエ型の未確認飛行物体となって、華麗なる飛行の、暗号めいた飛跡を残しながら、六甲山系はるかなる空へと飛んで行く。
真夏の昼下がり
餅つきのうさちゃんは
野原でかけっこだから
誰もいない満月です
目玉の目玉焼きにはご注意を
お日様ぎらぎらなのに
みんな浜辺で日光浴だから
誰も知らない満月です
お留守番の寝子は猫
太っ腹大公開で
寝てばかりいる猫だから
誰も見ていない満月です
暗いお部屋の満月は
扉の小さな覗き穴
穴の向こうのお日様が
あんまり輝くものだから
扉の夜空にぽつかりと
今日も満月しています
(真鹿子)
金色夕陽に誘われて、いつのまにかポートアイランドの西海岸を訪れていて、写真を撮らせて頂いていると、
なんと古雅楽の龍笛[リュウテキ]の妙なる調べが響いてきた。ところがなんの違和感もなく、ごく自然に、龍笛の妙なる音色を発する金色の龍が、染み入るように私の中に入ってきて、私という小さな宇宙を、気持ち良さそうに飛翔している。そして、私のこの小さな宇宙と溶け合うように重なっている、この大いなる宇宙をも、当然のごとく、自由自在に飛翔している。この大いなる宇宙と、小さな私という宇宙を、行き来しているというのではなく、全く自然に、差異なく飛翔している金色の龍!この大いなる宇宙=梵と、小さな私という宇宙=我は、別々のものではなく、一体、一如である、私達の存在は、本来、ひとりひとりがこの大いなる宇宙と一体となっている「梵我一如」(ぼんがいちにょ)なのであると、確信させて頂きました。
宮沢賢治さんの詩集「春と修羅」の序にある言葉。
(すべてがわたくしの中のみんなであるやうに
みんなのおのおのなかのすべてですから)
という言葉なども、賢治さんが梵我一如の状態にあるからこそ発せられる言葉だと思います。
それにしても龍笛おそるべし!
『龍笛は梵我一如の道しるべ』と呼ばせて頂きましょう。ポートアイランドの西海岸のそばには大学があって、そちらの学生さんが吹いていらっしゃるのか、ポートアイランド在住の龍笛奏者の方が吹いていらっしゃるのか、どちらにいたしましても、お見事!こころにしみいる素晴らしい龍笛吹奏でした。感謝いたします。
日出処の天子、聖徳太子さまも龍笛を吹いていらっしゃたご様子で、いろいろ伝説もあるようですが、どのような音色だったのでしょう。龍笛独奏、そして古雅楽は古代より神聖な音楽ですが、本来の自分、梵我一如である自分に目覚めさせてくれる、聖なる目覚まし時計の役割も担っているのかもしれません♪
ベランダで発見!
空から舞い降りてきたのかな。ピンクの手足がもつれそう。
まだ目も開いていないけれど、すでに、火星人ぽい。というか、タコっぽい。どちらかといえばイイダコっぽい。吸盤あるのかなぁ。
何食べるんだろう。
大きくなったらどうしよう。
まてよ、虫かなぁ。ピンクの手足のタコっぽい虫。新種?ひょっとして世紀の大発見!かしら?だけど空から飛んできたわけだし、未確認飛行生物という可能性もあるし、六甲山系スカイフィッシュの親戚か何かだったりして、どうしよう(゜U。)?(軽く動揺、軽く錯乱)
「これそこのうるさきものよ、何を騒いでおるのだ。」
はぁ?なに?誰?
「おろかなるものよ、この大いなる多肉が見えぬのか。我が多肉族の姫を何とする。」
あっ!サボテン様ではございませんか。サボテン王家のお姫様とはつゆしらずご無礼お許しくださいませ。何なりとお申し付けを。
「よし、そなたを姫の乳母に命ずる。よきにはからえ。」
はははぁ~有り難き幸せ。
お姫様は大昔、まだ人類も発生していなかった頃、火星のサボテン王国から、地球に都を移して来られた、多肉族の王家の尊きお姫様でございます。お仕えすることができまして光栄でございます。質素ではございますがベビーベッドの具合はいかがでしょうか。
お召し上がりになられるものが、入手困難なものではなく、感謝いたします。