敢えて彼女の担任のことには言及してこなかった。
何故なら私と深い日常的な関わりがない中で、主観のみで語るのは正確さを欠くことにも繋がるからだ。
その自覚を欠いたまま論を進めていくと事実が宙に浮き、事の本質が右往左往して真実が何であるか分からなくなってしまう可能性が出てくる。
しかし、彼女がクラスに入っていけない事は、担任の存在を抜きにしては語れない部分がある。
だから、今回はリスクを冒して少し担任についても触れてみたい。
どういう経緯で教室へ行かなくなったのかは不明だが、敢えて彼女に尋ねることはしていなかった。
そんなことを尋問する様な在り方は、かえって彼女を追い詰めることになると考えたからだ。
ところが、1月の最初の登校の日に行けなかった後、こんな会話を交わしたことがある。
「あの日の朝、ママと一緒に来たんだって?登校班の当番の日だったの?」
「うん、そうなの。でもね、なんかやっぱりだめだった。」
「そっか、残念だったね…」
「◯◯君(仲の良い男の子)がいたんだけど、だめだったの。」
その後に、ついつい聞いてしまった。
「あのさ、一つだけ教えてくれる?行けなかったのは、友だちが気になったから?それとも先生が?」
すかさず、「うん、そっち!」という言葉が返ってきた。
担任は毎日、彼女の所へ学習プリントを持って来て声をかけてくれたりするが、その時はしっかり対応できているし、傍目には特に担任との間に何かある様には見えない。
担任だって、自分のクラスの子が登校して別の人間が面倒みているのは心穏やかなはずはない。
皮肉の一つや二つが出ても不思議ではない。
しかし、そこは我慢して最近では優しい言葉で彼女に接している感じだ。
別室登校している姿を、クラスの友だちには見られたくない彼女は登下校の時間帯をずらしているし、休み時間も外には出ようとしない。
そういう様子を見て、担任は「自分とは会えるのに友だちの中には入っていけない子だ」と判断している様だ。
それは、私と担任との会話で分かった。
たしかに現象的にはそういうことになる。
しかし、彼女の気持ち的には、友だちの方ではなく引っ掛かるのは担任の方だという認識だ。
それが原因で行けないから、友だちにも見られたくないということになるようだ。
しかし、私の仕事を見て知っている他の臨時職員さんが指摘する様に「例え担任が原因だとしても、この状態が続くと友だちにさえ会うのが怖くなって、ますます教室へ行けなくなるんじゃないか」という懸念はある。
彼女は不登校という範疇に括られているが、とにかく学校へは来れているわけだ。
考え悩むのは当の彼女自身であるのは当然だが、担任をはじめ周りの多くの大人たちもまた悩んでいるのである。
私に何か決定的なことができるわけではないが、ここまで一緒に歩んできてしまった仲だ。
ここは、一旦仕切り直しをして進むしかない。
<すばる>
何故なら私と深い日常的な関わりがない中で、主観のみで語るのは正確さを欠くことにも繋がるからだ。
その自覚を欠いたまま論を進めていくと事実が宙に浮き、事の本質が右往左往して真実が何であるか分からなくなってしまう可能性が出てくる。
しかし、彼女がクラスに入っていけない事は、担任の存在を抜きにしては語れない部分がある。
だから、今回はリスクを冒して少し担任についても触れてみたい。
どういう経緯で教室へ行かなくなったのかは不明だが、敢えて彼女に尋ねることはしていなかった。
そんなことを尋問する様な在り方は、かえって彼女を追い詰めることになると考えたからだ。
ところが、1月の最初の登校の日に行けなかった後、こんな会話を交わしたことがある。
「あの日の朝、ママと一緒に来たんだって?登校班の当番の日だったの?」
「うん、そうなの。でもね、なんかやっぱりだめだった。」
「そっか、残念だったね…」
「◯◯君(仲の良い男の子)がいたんだけど、だめだったの。」
その後に、ついつい聞いてしまった。
「あのさ、一つだけ教えてくれる?行けなかったのは、友だちが気になったから?それとも先生が?」
すかさず、「うん、そっち!」という言葉が返ってきた。
担任は毎日、彼女の所へ学習プリントを持って来て声をかけてくれたりするが、その時はしっかり対応できているし、傍目には特に担任との間に何かある様には見えない。
担任だって、自分のクラスの子が登校して別の人間が面倒みているのは心穏やかなはずはない。
皮肉の一つや二つが出ても不思議ではない。
しかし、そこは我慢して最近では優しい言葉で彼女に接している感じだ。
別室登校している姿を、クラスの友だちには見られたくない彼女は登下校の時間帯をずらしているし、休み時間も外には出ようとしない。
そういう様子を見て、担任は「自分とは会えるのに友だちの中には入っていけない子だ」と判断している様だ。
それは、私と担任との会話で分かった。
たしかに現象的にはそういうことになる。
しかし、彼女の気持ち的には、友だちの方ではなく引っ掛かるのは担任の方だという認識だ。
それが原因で行けないから、友だちにも見られたくないということになるようだ。
しかし、私の仕事を見て知っている他の臨時職員さんが指摘する様に「例え担任が原因だとしても、この状態が続くと友だちにさえ会うのが怖くなって、ますます教室へ行けなくなるんじゃないか」という懸念はある。
彼女は不登校という範疇に括られているが、とにかく学校へは来れているわけだ。
考え悩むのは当の彼女自身であるのは当然だが、担任をはじめ周りの多くの大人たちもまた悩んでいるのである。
私に何か決定的なことができるわけではないが、ここまで一緒に歩んできてしまった仲だ。
ここは、一旦仕切り直しをして進むしかない。
<すばる>