江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

反戦に動く世界のZ世代に希望を持ちたい

2023-11-19 | 随想
11月12日のTBSテレビ「サンデーモーニング」の「風をよむ」コーナーで、「反戦とZ世代」という問題を取り上げました。
















ロシアによるウクライナ侵攻も収まらない中、中東においてはイスラエルがハマスから攻撃されたことを口実にパレスチナのガザ地区を空爆し侵攻を続けています。
既にパレスチナで11,240人、イスラエルで1,200人が死亡したと伝えられています。(11/14現在:NHK)
とりわけガザにおけるイスラエル軍の襲撃は極めて卑劣で犯罪的な行為と断言できます。

1948年のイスラエル建国以降、そこに住んでいたパレスチナ人は追いやられ隣国や世界各地に逃げて生き延びました。つまり、難民となったわけです。
当初70万人と言われたパレスチナ難民は、今では560万人にも達したとの調査もあります。この数は、世界の難民の約20%と言われています。

現在、パレスチナ人は辛うじてヨルダン川西岸地区に自治政権を樹立しているものの、ハマスが実効支配しているガザ地区は日本の種子島と同じ位の面積に200万人が暮らすという超過密地域となっています。
その内45%が14歳以下の子どもであり、70%は難民だと言われています。
今までにもこのガザ地区は、周囲をイスラエル軍が包囲して砲撃を加えることもありました。

こうした状況からガザ地区では経済活動が滞り、国連からの支援物資で生活を何とか維持してきました。
しかし現在、イスラエル軍は北部のみならず、ハマス殲滅を掲げて南部にまで侵攻しています。
そこに住み生活している多くの人間の尊厳を踏みにじる暴力は、例えハマスによる暴力に報復するものであっても絶対に容認できるものではありません。
いや、それどころか、ハマスが決起した背景にはイスラエルにより長年にわたって抑圧され続けた難民の存在があるのを忘れてはなりません。
殺された多くの子どもたちは、世代を超えて難民として生まれ生きてきた存在なのです。


こうした中、今、世界各地では反戦のデモや集会が頻繁に行われるようになっています。
とりわけアメリカの青年たちの行動に注目が集まっています。
それは、ユダヤ系の青年たちがパレスチナを支持する行動に立ち上がっているからです。
この青年たちこそ「Z世代(今年12〜28歳)」と言われる人々です。







彼らはユダヤ人でありながらも、今のネタニヤフ政権による軍事侵攻に反対しているのです。
「イスラエルの軍事対応に正当性がある」と答えたアメリカの若者は彼らより上の世代に比べて圧倒的に少なく24%にとどまっています。
このことからも、今、アメリカのZ世代は「パレスチナの自由や人権を守れ」という方向へ動いているのが分かります。
彼らは、ユダヤ人が経営する企業への就職を拒否されても主張を曲げることはしないようです。









イスラエル支援を明言するバイデン大統領でさえ、次の大統領選挙を見据え、人道支援のための一時「戦闘中止」を要請するまでに変化しています。
しかし、完全「停戦」状態までリードしなければバイデンの再選は危ういものになるでしょう・・・。







ところ変わって日本でもZ世代の若者たちが動き始めています。
京都の学生団体「SHIRORU(しろる)」はSNSを通じて、ガザ市民の悲痛な声を直接聞き、日本語に訳して紹介しています。
それを見て自分も何らかの行動を起こさなければ…と考える若者も出てくるに違いありません。









「これだけジェノサイドが起こっている中で黙っていることはできない。」
「『世界と自分がつながっている』という意識は若い世代の中には強くあるんじゃないかな…」
こういう思いが彼らを突き動かし、少しずつ広がっているのだと思います。








たしかに日本においては、若い世代の選挙への関心が低く政治的無関心が問われることはありますが、かと言っていつまでも旧時代の在り方にこだわり新しいものに目を向けようとしない上の世代も決して褒められたものではありません。
若者を否定や絶望するのではなく、SNSを駆使したり目の前で起こっていることに敏感な反応をする現代の若者の行動力に希望を持ちたいと思います。

世界を変えられるのは、もしかしたらZ世代かもしれません。




<すばる>


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