江戸川教育文化センター

「教育」を中心に社会・政治・文化等の問題を研究実践するとともに、センター内外の人々と広く自由に交流するひろば

廃棄食品の転売事件から「食」を考える(1)

2016-01-26 | 随想


カレーチェン店(CoCo壱番屋)が廃棄を依頼した冷凍カツがスーパーで売られていた事件。
廃棄処理業者(ダイコー)が製麺業者(みのりフーズ)に横流しして、そこから転売されてスーパーや弁当屋に売られたと云う。

産廃業者も製麺業者も廃棄する食品と知りつつ売買の取引をしていた。
みのりフーズの冷凍倉庫には、イオンやローソン、セブンイレブンなど10社から廃棄を依頼された食品が108品もあり、これも転売する目的で保管してあった。
捨てる冷凍カツは一枚80円で売られていたという。


戦後の食糧難の時代に生まれた世代はいつも腹を空かし、食べるものがあるだけで満足していた。
うがった見方をすれば、まだ食べられるのに捨てるのは「もったいない」から売り物に換えたのであって、「捨てるもの」を人の口に入る「売り物」にした業者は本当に悪いのか。
まだ食べられる食品を大量に捨ててしまう、スーパーや食品会社こそ問題ではないのかなどあれこれと考えてしまう。

 
ところで国内で食べられるのに廃棄される食品の量は500~800t余りで、これは日本のコメの生産量に匹敵すると云う。
また、日本がODA援助しているナミビア・リベリア・コンゴの三カ国分の年間食料に相当している。(農水産省2010)

また、世界には飢えで亡くなる人は一日で25000人もいる。
食糧を捨てるのはそれこそ「罰当たり」的と思うが、先進国や日本では当たり前になっている。

1/21日の朝日新聞によると、食品廃棄の背景に「安心・安全に対する日本の消費者の厳しさ」を挙げている。

CoCo壱番屋が廃棄した冷凍カツは60万枚で、製造過程で異物が混じった恐れがあるという。
そして、会社は「安全が担保されない商品は廃棄するのもやむを得ない」と語っている。

過去に異物混入や賞味期限を過ぎた食品を販売して、客が遠のき閉店や倒産に追い込まれた企業もあった。
廃棄に伴う損失よりも、信用・信頼を重視するという。

他にも、食品業界には賞味期限の「3分の1ルール」と呼ばれる商慣習がある。
賞味期限が6カ月だと製造会社が小売店に納品出来るのは製造から2カ月まで。
小売店は賞味期限から2カ月を切った商品は販売せずに、店頭から下げて返品したり廃棄するという。
食べられる物も廃棄に回され、一部は安く転売もされているのが現状という。

まあ、分からないわけでもないが「もったいない」世代は、そのまま捨てずに何とかならないかと思う気持ちを捨てられない。                
(続く)

 
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