スケッチブック

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遺言に感涙

2005-06-19 12:24:44 | Weblog
22年前の8月母方の叔父が他界した。この人が我が家に残った最後の年長者の親戚であった。未婚の姉と老母を抱えて、生涯独身を通した人だ。だから子供は居ない。若いときに詩人を目指して勉強をし、多くの作品を残した。世に出ぬまま生涯を閉じた。78歳まで生きた人だから後に多くの遺品を残した。多くの親戚が一部屋に集まって遺品の分割協議をする中、私はひたすらこの人のノートを読み続けた。その中に偶然次のような部分を見つけた。「墓が欲しい。たとえ路傍の石を乗せる粗末なものでもいい。」とあった。感涙した。たった一人になってしまったから、淋しかったのだろう。

私は即座に立ち上がった。そして和歌山県田辺市の名刹高山寺の先代住職にお願いして、海の見える一等地に墓を作った。それ以来、毎年春と秋に妻と二人で墓参りに行く。それのお陰かどうだか知らないが、私の人生は一変した。仕事は順調だし、今は何不自由なく生活できている。私は、この叔父の他に、叔母、妻の両親、それに加えて父母の御霊を仏壇に分け入れて、懇ろに祀っている。祖先は大切にするものだとつくづく思う。
<写真は高山寺境内>


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10 コメント

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polo181さん今晩は。 (じゃこしかです。)
2005-06-19 18:07:06
 とてもよい事をなさいましたね。故人もキット喜んで感謝していることでしょう。

 実は私も、墓を建てるべきか、またはお寺の納骨堂に納めたままにすべきか、思い悩んでおります。

今日のpoloさんお話は、とても良く参考になりました。有り難うさんでした。
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じゃこしかさん、こんばんは (polo181)
2005-06-19 20:59:54
コメントを有難う。叔父の場合はこのようにしましたが、私自身は墓所は必要ないと思っています。葬儀や埋葬に大きなお金を使うのは利口ではないと思います。ですから、お寺の納骨堂に納めて永代供養とするべく親族に申しつけてあります。つらつら眺めるに、よほどの家庭でないと跡取りを子々孫々にまで保障することはできません。いずれ無縁さんになってしまいます。ですから、ブログで書いた叔父についても、25周忌を終えたらお骨も墓所もお寺に返納しようと思っています。
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お早うございます。 (upplain)
2005-06-20 07:14:36
朝から、良いお話を読ませて頂きました。

poloさんの優しいお気持ちが通じ、何事も順調に進み、またこれからご夫婦お二人をお祀りされた方々がお守り下さるでしょう。

今日は、お墓の掃除に行ってきます。
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ご先祖様 (anikobe)
2005-06-20 09:08:13
いつも、現在自分がここにあるのは、ご先祖様から受け継がれた命によって繋がっていると思っています。

ごく当たり前のことなのですが、その当たり前を感謝して生きることが出来ることを、嬉しく思います。

形はそれぞれ、地域や環境によって違うでしょうが、心にもつとかしきたりの中で、絶えず、ご先祖様を敬い感謝することが、自然に出来るのは、、その人の生き方にとって大事だと考えています。

父母がそうであったのを見て育ってきました、二人の子供も、孫達もまたそれを見て育ってきていますので、口には出しませんが、朝夕の仏壇に向かう様子に、安心しています。
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おはようございます (熊子です)
2005-06-20 10:23:03
我が実家も4代目が私です。私は他家に嫁ぎましたから、ご先祖様のお墓は深刻な問題です。兄はいますが他所で暮らし地元には戻ることはありませんから、一層深刻です。実質私が跡取りでしたが、婚家は長男であり、実家を継ぐものがいません。白羽の矢が我が二人の息子に向けられていますが、昔のように仕切る親戚もいなくなり、母は何もわからない状態ですし、兄と今後を真剣に考えています。我が実家は南部藩出身であり、北に来て居を構え子孫を増やし、そしていま、消え去ろうとしています。そうならないためにと子孫の重圧もまた深刻ですね。(携帯から)
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upplainさん、こんにちは (polo181)
2005-06-20 11:31:23
とても不思議なのです。他の人たちが遺産分割に没頭する中私だけが彼の習作を大切に保管しようと整理していて、「墓が欲しい・・」との部分に出会った。そしてそれを実行した。その後の私の人生は劇的に変化しました。それ以来ご先祖の墓所仏壇を大切にお祀りしています。やっぱり、何かの力が働いたとしか思えません。お墓参りはいいですね。周辺を掃除して墓石を洗うと、なんだかほっとした気持ちになりますね。
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anikobeさん、こんにちは (polo181)
2005-06-20 11:42:04
コメントを有難う。anikobeさんは、信心深いからご先祖様を大切になさっていることでしょう。私は、偶然上記のようなことになった次第でした。この叔父は誰にでも好かれる性格の人でした。ですから、二十数年経った今でもお墓を訪れると、誰かがお花を上げてくれている。彼の母(私の祖母)が去り、姉が去りとても淋しい境涯の人でした。それだけに、何かしらこの世に生きた証が欲しかったのだろうと思います。膨大なノートですから、私があのページと出会ったことはまさしく運命的なことだったのだろうと思います。

今後の私の人生がどうなるかは知るよしもありませんが、今のところきわめて順調です。ご先祖様のお陰と思っています。
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熊子さん、こんにちは (polo181)
2005-06-20 11:59:32
コメントを有難う。事情はよく分かりました。私が貴女だった場合、一定の区切りとなる回忌まではそのままにしておいて、それを過ぎたらお寺様にお願いして永代供養にしてもらうことでしょう。私は○○家の次男ですが、つぎから次へと頼まれて無縁さんになららいように、親戚のお墓の整理をしてきました。つまり一定金額をしはらって、一切をお寺にお願いすることです。基本は、先祖の御霊が粗末に扱わないということだと理解しています。仏壇がなければ、厚紙に俗名、戒名、行年などを書いて毎朝お水と線香を上げるのがいい。同じ仏壇に他家の仏様を入れる訳には参りませんから、どこか別のタンスの上などに簡単な祭壇をこしらえてお祀りするといいですよ。
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ありがとうございます (熊子です)
2005-06-21 00:15:05
兄は父の戒名を書いた位牌に魂を入れてもらって、小さな仏壇に飾ってありました。兄の気持ちが痛いほど解った不詳の妹でした。そうですね、この先のことは真剣に相談します。昨年の大地震で実家の墓石だけが倒れませんでした。それだけ、ご先祖様の力が、いまも生きていた証と思っています。
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熊子さん、こんにちは (polo181)
2005-06-21 16:43:44
ご訪問有難う。ああ、そうでしたか。お兄さまはお兄さまで精一杯の先祖への気持ちをそのようにして表しておられるのです。これはとても大切なことです。それを貴女が知ったことはさらに良いことでした。もちろんそうでしょう。ご先祖様の力があればこそ貴女やお兄さまが今このようにして居る訳だから、その力は絶大です。地震でも倒れないくらい力強いのです。
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