鼻の湿った利口な犬
著者: Barbara Baumgardner
翻訳者:polo181
最初から私は犬なんて欲しくなかった。
しかし、夫は最近死んでしまった犬の
代わりにその犬が欲しいと言い張ったのだった。
すぐに、その子はなついて実に忠実で
しかもこちらが与えるもの、例えば日々の食事、
優しい言葉、そして温かい寝床ら以外は欲しがらなかった。
でも、私のベッドは駄目よ。犬はお断りだった。
その夜の次の日に夫は亡くなった。
私は暗闇を見つめながら夫婦のベッドの上に横たわっていた。
私の枕は流れ出る涙でびしょ濡れだった。
ベッドは私一人にとってはあまりにも大きくて、
私はこの寂しさに慣れるまでにどれくらいかかるのだろう
とぼんやりと思っている時に、
私の手が何か動くものに触れたのだった。
それは冷たくて湿っていて気味が悪く、
ベッドカバーから出ている手の平に
とてもゆっくりとした動きで触れたのだった。
そのジェリー状の塊の次にはトゲトゲした毛があって??・・
悲鳴を上げる寸前に、
あの聞き覚えのある鳴き声でキュンキュンキュンと、
冷たくて柔らかい鼻を私の震える手の平に押し付けてきたのだった。
オヤ、ショーン! 私のベッドのそばで何をしているの?
私は腕を伸ばして彼のフサフサの柔らかい毛で一杯の
首に回して何度も何度も頬ずりをしたのだった。
それからの日々や歳月、私は、「この犬は神様からの愛の贈り物」だ
と認識するようになったのでした。
彼は毎晩私のベッドの上で心地よく眠った。
私が外出するときはいつも連れて出て歩いた。
彼は、2度までも私が理性を無くして泣き崩れたときなどは、
懲罰的の如く吠えたぎり、もっと強くもっと勇気を出して
頑張れと足を踏ん張って吠えて見せたのだった。
ショーンは私に愛することや受け入れることや
許すことなどにつて教えてくれた。
あの犬はまるで私自身であるかのように私を愛してくれた。
そして、私は残念ながら傷つけあっている人々も、
また優しく愛し合っている人々もみな同等に暖かく
接するようにすることを学んだのだった。
温かい火のそばで丸くなっている私の犬のように、
私は必要とされる場に居たいと思う。
私は真実孤独だと感じていた時に真の友を与えてくれた
ことには神様に感謝します。
そして、もちろんあの心地よく冷たく湿った鼻にも。.
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