2022/3/1 10:14 【ヘルシンキ=板東和正】
スイス政府は2月28日、ロシアのプーチン大統領らの資産凍結など欧州連合(EU)と同じ内容の対ロシア制裁を科すと発表した。ロシアによるウクライナ侵攻を受け、永世中立国のスイスがEUの動きに同調する対応に踏み切った。
スイス政府の声明によると、同国はEUが科した制裁の適用を決め、プーチン氏やラブロフ外相らの資産の凍結を決定した。
プーチン氏に近い複数の個人の入国を禁止するほか、人道・医療・外交目的を除き、スイス領空にロシアの全ての航空機が乗り入れることも禁じる。
スイス政府は声明で「平和と安全の擁護と国際法の尊重は、民主主義国家であるスイスが欧州の近隣諸国と共有し、支持する価値観だ」と指摘。
「ロシアが欧州の主権国家に対して前例のない軍事攻撃を行ったことが、従来のスイスの制裁に対する立場を変える決定打となった」との見解を示した。
スイスのカシス大統領は「われわれは西側諸国の価値観の側に立っている」とした上で、同国の中立な立場は損なわれていないと強調。ロシアとウクライナの停戦交渉が決裂した場合、仲介する用意があるとしている。
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「スイス」
スイスにおける国防の基本戦略は拒否的抑止力。
侵攻しようとする国にとって、スイスを侵略することによって得られる利益よりも、スイス軍の抵抗や国際社会からの制裁によって生じる損失の方が大きくなる状況を作り出すことにより国際紛争を未然に防ぐ戦略。2002年の国連加盟後も、この基本戦略は変わっていない。
武装中立
現代におけるスイスは、国軍として約4,000名の職業軍人と約21万名の予備役から構成されるスイス軍を有している。
有事の際は自国の焦土作戦も辞さない毅然とした国家意思を表明しながら、永世中立を堅持してきた平和・重武装中立国家として知られる。
スイスは国際連合平和維持活動(PKO)への参加にも積極的で、国外に武装したスイス軍部隊を派兵している。
国民のほぼ全員の成人男子が、予備役もしくは民間防衛隊(民兵)として有事に備えている。
平和国家であるスイスではあるが、スイス傭兵の精強さは、ヨーロッパの歴史上、殊に有名である。
現在でも、軍事基地が岩山をくり抜いた地下に建設されるなど高度に要塞化されており、国境地帯の橋やトンネルといったインフラストラクチャには、有事の際速やかに国境を封鎖する必要が生じた場合に焦土作戦を行うため、解体処分用の爆薬を差し込む準備が整っている。
仮に、国境の封鎖に失敗して外国の侵略を受けても主要な一般道路には戦車の侵入を阻止するための障害物や、トーチカが常設してある。
家を建てる際には防空壕(核シェルター)の設置が義務づけられていた。
その数・収容率と強固な構造は、他国の防空壕と比べても群を抜いている。古い防空壕は、地下倉庫や商店などとしても利用されている。
第二次世界大戦中のスイス空軍は、1907年のハーグ陸戦条約で定められた国際法上の「中立義務」を果たすため、領空侵犯する航空機があれば連合国側・枢軸国側を問わず迎撃した。
当時、仮に外国の軍隊がスイスを侵略しスイスの存立が絶望的となる最終局面に陥った場合は、外国の軍隊がスイスのインフラを強奪する寸前のところで放火や爆破等の焦土作戦を実施し、侵略者に一切の戦利品を与えないように計画していた。
「資源を持たないスイス」
焦土作戦も辞さない悲壮な防衛努力の一方で、外国において武力行使をしない柔軟な外交政策は、現在も変わらない。
国民皆兵
スイスでは国民皆兵を国是としており、徴兵制度を採用している。
20歳から30歳の男性に兵役義務があり、女性は任意である。
スイス男性の大多数は予備役軍人であるため、各家庭に自動小銃(予備役の将校は自動拳銃も含む)が貸与され、予備役の立場を離れるまで各自で保管している。
対戦車兵器や迫撃砲などより大型の武器は、地区単位で設置されている武器庫に収められている。
それでも、政府が食糧を計画的に備蓄し、スイス軍の施設と公立の学校については核戦争への備えとして核シェルターが常設されている。民間でも、過去には自宅や職場にシェルターを装備する義務があったが、現在では撤廃された。それでも、任意でシェルターを装備している企業や個人が多いことで有名である。
スイスの一般事情
1 面積は、九州と同じくらいの4.1万平方キロメートル
2 人口は、神奈川県と同じくらいの867万人(2020年、スイス連邦統計庁)
3 首都は、ベルン(人口14万人で宮城県石巻市と同じくらい)
4 言語は、ドイツ語(62.1%)とフランス語(22.8%)ほか
5 宗教は、カトリック35.1%、プロテスタント23.1%ほか
6 政治体制は、連邦共和制(20の州及び6の準州)
7 軍事力は、国防予算 GDPの1.8% 徴兵制で国民皆兵
常設正規軍は神奈川県程度の人口に約14万人(日本の自衛隊の約55%数)
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中立国ということ
一般市民の新婚夫婦も国のために銃を取って戦場に向かいます
板切れ製のオモチャ銃を持って訓練中!
日本のギャルなどもこれほど真剣に取り組んでくれるでしょうか?
自衛隊は米国頼りの防禦だけなので侵略を受けても弾薬は概ね3日分の備蓄。ウクライナのように長期間頑強な抵抗はできません。
国民皆兵、一蓮托生。平和を望むからこそ平素から備え、武力を持つ。こんな気持ちは何でも他人まかせで頭の中がお花畑の国の国民には分かりません。
戦争反対を唱えていれば平和は向こうからやって来て日本国憲法の唱えるとおり「世界は平和を希求する国ばかりです」
本当の事を知っている人って 案外少ないと思います。
平和を愛し・・・を唱えれば大丈夫 戦争にならない
って思っているどこかの国とは、全く違う覚悟が有るんですよね。
永世中立国と戦争を放棄するのは同義語ではありませんよね。
永世中立国・スイスの理解が深まりました。
ありがとうございます。
ただ、1つ気になったこと、
>侵攻しようとする国にとって、スイスを侵略することによって得られる利益よりも、スイス軍の抵抗や国際社会からの制裁によって生じる損失の方が大きくなる状況を作り出すことにより国際紛争を未然に防ぐ戦略。
これって、プーチンみたいな狂気の独裁者には、通じないですよね、残念ながら。
ロシアにとって、ウクライナに侵攻して得られる利益よりも、損失がはるかに多いことは、明らか。それでも、やっちゃう狂人が現実にいた訳ですから。
では、また。
頓首 Zhen
私も茂原・東金・大網白里はよく知っています。
茂原には旧日本軍の掩体壕がたくさんありますよ。
古来日本や中世代を顧みても
権力者は当初の志は立派だったとしても権力の座にいる時間が長くなると
次第に顕示欲、金欲、物欲、独占欲、権力拡大欲、永世権力欲などが出て、身内や周辺に猜疑心を抱くようになってしまう
気がします。強権国家ばかりに囲まれている日本人の楽観には驚かされます。