ー 結婚しないという選択 ー
“ 年頃 ” 。
結婚適齢期をいう。昔、景気がよかった頃は男は25,26歳あたりで結婚するか、あるいは結婚を真剣に考え始めた。女はそれより3つくらい若かったと思う。いずれにしても、先輩も、同僚も、後輩も大抵は結婚した。
「景気がよかった頃」とは今考えてみたら、ということである。良かった、悪かったは後にならないとわからない。
今、結婚を真剣に考えない若者が増えてきた。25~29歳の未婚率をみると、1970年(昭和45年)、男の約47%が未婚だったのに対し、2020年になると約76%に増えている。女はそれぞれ約18%、約66%(総務省 2020年国勢調査)。
なぜ結婚しないのか。
給料が少ないからである。多少給料が上がったとしても住宅やスーパーの食料品の値上がりに追いつかないという現実、実質賃金の問題がある。
毎年2,000円でも3,000円でも実質的に給料が上がり、「景気は良くなる。大丈夫だ」と皆が感じない限り結婚は増えない。
仮に結婚に踏み切っても昔のような暮らしは望めない。ここ1.2年、あたりに10軒くらい新築の住宅が現れた。どれも判で押したように総2階、マッチ箱を縦にしたような家である。建材の値上がりに加え、職人の手間賃も上がっているらしい。
国も元気がない。GDPはとっくに中国に追い越され、ドイツに抜かれて現在世界4位。すぐ背後にインドが迫っているという。
そもそも自分はなんのために生きているのかと問えば、いうまでもなく幸せになるためである。結婚して幸せになれるかどうか自信がなければ、結婚という駅を迂回して終点まで行ってしまえという列車が出てきてもおかしくはない。
男にしてみれば、結婚して稼いだ金を妻子に使われるより自分だけで使った方が幸せと思ったら独身を通すだろう。
また女にしても、結婚して先々自分の国民年金と夫の遺族年金に頼って暮らすより、独身でキャリアを積み、厚生年金を増やす方がマシと考える女もあろう。