もうすぐクリスマスですねー
今年は三太苦路ー酢からDC大辞典とオリジン元祖タイタンズが届きます!
楽しみだなー!早くこないかなー!だ、だから一人でも悲しくないんだからねっ!!
クリスマス小説です。ブルディク。ディックが甘いもの食べてたらそれだけで天使。
グラスの中でゆったりとロゼが揺れる。
赤いそれに明け始めた夜景が移り不思議な世界が広がった。
26日のクリスマス
モズグリーンのツィードのスーツは仕立てがいいのか、ブルースの渋さをより良く見させた。
その表情は時として彼を陰鬱に見せていたが、少しカジュアルにスーツを着崩し屈託なく笑いかけるディックには今の彼は機嫌が良いことを解っていた。
「今年も25日はクリスマスらしいことが出来なかったね。」
「お互い、忙しい日だからな。」
「今日だってトイ・マスターとカレンダーマンが大変だったんだって?」
軽く笑うとブルースは食事に戻った。
ディックはロゼを口に含んだ。
彼はメインディッシュでもロゼで食べる癖がある。
ゴッサムの夜景を一望できるレストランを貸し切り、二人だけで遅れたクリスマスを過ごしている。
どちらとも知れずやりだした行事であり、どうしても都合のつかない年は守られないこともしばしばあった。
ふと、ブルースの手が止まっていた。
ディックは優雅に、心配していることがばれないようにブルースを見た。
「…綺麗に食べると思ってな。養子に来たばかりのお前は大変な食べ方をしていた。」
「もう、僕も大人なんだってことさ。」
静かな二人の会話に時たま皿に擦れるナイフとフォークの音が反響する。
「…本当に大きくなったものだ。」
「しみじみしちゃって。ブルースも歳だな。」
「ならもう少し年長者を敬いなさい。」
「いつも敬ってるよ。」
「…」
「……」
食器が擦れ合う音しか聞こえなくなってしまった。お互い食事に集中しているふりをしてしまう。
いつも最近会えばいつもこうだ。
ブルースが子供扱いすることをディックは嫌がり、ディックには意志が合いすぎて会話が続かないブルース。
時間と体だけを合わせる生活、それもほんの限られた時、もしかしたら次は会えなくなるかもしれない。
しかし、そうなってもお互いがそれを冷静に受け止め対象してゆくだろう。
約束もなければ、確信もない関係。
「…よく…今年も、待っていたな。」
一人で過ごさなければならないかも知れない、来ないかも知れないこのレストランで。
「…はは、あんただって。」
ディックはくすぐるような瞳で笑った。
心地いい、ロゼを傾けた。
「このロゼ、凄く僕の好みにあうよ。」
「それは良かった。」
ディックは微笑んだ。ブルースにはかなわない。
「待ってるのわかってたんだろ?」
ディックはもうひとつグラスにロゼをついでもらうとブルースに渡した。
「毎年待っているだろう?」
「前々回の年は居なかったよ。」
「だがそれ以外は待っているだろう?」
ブルースがロゼを揺らす。
まったりとした甘そうなそれはディックに似合っている気がした。
「…あんただって、よくこれたね。忙しいこの時期にさ。」
「お前だってそうだろう?」
「ーまぁね。」
カチリ
グラスを合わせる。視線は離れない。
「メリークリスマス。」
こんな日々が続くように。ロゼが舌で踊った。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます