人を恨んではいけない
そう思った矢先
人に愛を感じてはならない
そう思った矢先
何も思うまい
ひっそりと
花にさえもささやくのはよそう
空を見上げるのさえよそう
風を感じるのも避けて生きよう
人を恨んではいけない
そう思った矢先
人に愛を感じてはならない
そう思った矢先
何も思うまい
ひっそりと
花にさえもささやくのはよそう
空を見上げるのさえよそう
風を感じるのも避けて生きよう
姉はおととしの暮れから何も言わなくなった
母と一緒にいればいいと
そんな時友達が逝った
その人も兄が行方知れずだった
同じ傷を持って生きていたんだ
後悔しても何もならない
選んだ人生を生きるだけだ
その矢先の診断だ
そのための弟の人生だったのか
母より先はたいがいが不幸だが
心配事を置いていかなくてよかったと思ってくれないか
母だもの残していくには忍びないだろうが
そう思ってくれるよう願っている
それにしてもひどい姉ではないか
と攻められて生きていかなければ生きにくいものだ
狭い地域で恥ずかしくも仕事を貰い
すぐぱちんこに没頭し
ぱちんこ休暇?で仕事をなくし繰り返していた
母はそのたび姉を責め
すべてを受け止めなければならなかった
もう死んでくれ
働かず何か保険など700万も使われると
30年も続くと心にそういう思いがわいていた
母を送ったらどうすればいいんだと思うと・・
3人で死んだほうがいいかと・・・
盗みを働いたわけでもないあやめたわけでもない
すべてが・・邪魔になるんだ
そう思っていたら
命が蝕まれていた
どうかいなくなってくれと思っていたら
ああ診断がどうでるかだ
こんな姉がいるものか・・
いなくなってくれと言われる人間がいるものか・・・
貧しいが忙しく生きていた
そのころから弟がアタマだか心を病んでいった
仕事がものにならずおそらく何が解らないのかもわからずうろうろし
怒られ立ち往生の連続で逃げ出す事がしばしばであったろう
勤まらず悩みがあったろうに口にあらわすこともできず
姉と弟はだましあいながら生きていたが
ぱちんこを覚えてからは年に一月働けば
貰った給料でひと月ぱちんこ
年老いた母の年金でタバコを買っていた
ひとたびパチンコを始めると
姉が責められていた
何も教えないからだと何もいわないからだと
姉は金を稼いではいけないと仕事もやめ
弟を諭した
お前が頼りだと
そのたび安心し、たちまち騙されていた
その繰り返しだった
ともに自由になるわずかな金を喜び何とか生きていた
姉は好きな人はいたが
嫌われたと思い確かめることもできず
父のことを言い訳に
「あの人に恥はかかせられない」と別れていった
5年近く過ぎ都会暮らしにも疲れ
田舎で結婚した
長男が生まれたとき
父はある事件の被害者になりTVにしゃしゃり出ていた
その次の冬死んでくれた・・・
おばはかわいそうにと泣いていた
一人でも泣いてくれたんだ。
よかったじゃないか