「カンフーには弁髪がよく似合う」
オレの記憶が確かなら、ジェット・リーがこの作品を最後にカンフー映画に出ないとか出るとか、そんなことを言ってたから、すごい興味があったのを覚えてる。
しかも、ジェット・リーの役が霍元甲――精武門の――つまり『ドラゴン怒りの鉄拳』や『フィスト・オブ・レジェンド』の師匠なわけで。
これは観なければ! と思ってたけど、結局、劇場では観ることができず。
今回、DVDで観ました。
まず、何よりも久しぶりに本格的なカンフー映画の新作を観れたことが嬉しかった!
しかも、時代は19世紀末から20世紀初頭、弁髪姿のジェット・リーは否が応でも『ワンチャイ』シリーズを彷彿とさせた。
で、この弁髪姿のジェット・リーのカンフーが格好いいんだ!
それに、『ワンチャイ』シリーズから映像技術が上がったってこともあって、それ相応に特撮技術も上がっててさらにカンフーアクションが格好良くなっていた。
それと椅子とかハシゴとか、そういうアイテムは使わないストレート勝負も、実在の武術家っぽくて良かった。
カンフーシーンだけなら、かなりの高水準だと思う。
ストーリーの方はというと……どこまで事実なのかというと、けっこう眉唾だとは思う。
でも、それはそれでいいんでないと思った。そもそも、霍元甲が毒殺された――そして、ドラゴンが怒りの鉄拳を振るった――っていう話も創作なんだし。
むしろ、霍元甲っていうカンフーマスターがベラボーに強いってのが、オレ的には楽しかった。
前半は、霍元甲がカンフーの腕っ節で同胞をぶちのめすってシーンの連続なんだけど、これがカッコイイね!
いろいろ説教臭いことを諭されながらも、トンパチで暴れまくる霍元甲の強さが良かった。
で、因果応報で反省。正直、この辺りは退屈っていえば退屈だった。
英雄が挫折して、復活するための「タメ」の部分だったんだろうけど。物語の定石といえば定石なんだろうけどね。
復活した霍元甲が上海に向かうあたりからは、一気に物語のテンションが上がっていく。
西洋人との決闘で中国人の誇りを取り戻そうとする一連の流れは――ちょっと、涙がウルっときた。
手元にある本によれば、この決闘は実現しなかったみたいだけど……。
でも、映画として、物語としての盛り上がりはここでグッと強まっていった。グイグイって、エンドへ向かって力強く引っ張られるカンジ。
そして、ついに上海に精武体操会が設立されたときには、なんか懐かしさのようなモノが込み上げてきた。
中村獅童とのラストバトルなんだけど。たぶん、これは完全な作り話だと思うけど……
ポン刀VS三節棍というオレは初めて観る対決だったけど、これがまたカッコイイ! 中村獅童も良かった!
ただ、毒を喰らいながらも闘う霍元甲は……う~ん、オレ的には、ちょっといまいち。
仕組まれた陰謀がこれだったってことなんだろうけど。ちょっと、無理があるよな。
中村獅童に良いセリフを言わせて、それなりに日本に配慮してくれたのは……まあ、わりとどうでもいいかな。いや、中村獅童は格好良かったけどね。
オレ的にはスッキリ勝った上で、日本人が卑怯にも毒殺→ドラゴン怒るってカンジにしてほしかった。
だけど、これを観た後は『ドラゴン怒りの鉄拳』を観たくなるような、そんなカッコ良さのあるカンフー映画だった。
お調子者がぶちのめされて反省して、再起するっていうカンフー映画のお約束も、ちゃんとあったし。
『ワンチャイ』シリーズほどには爽快感がない(主人公は毒殺されちゃうからな)のが、減点といえば減点かな。
でも、久しぶりにカンフー映画を観たなっていう満足感のある映画でした。
『スピリット』(DVD)
監督:ロニー・ユー
出演: ジェット・リー、中村獅童、他
点数:8点
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