「世界史は履修してません」
マリー・アントワネットの生誕250周年とやらで、公開されるとかなんとかという周辺情報だけの時は、そんなに観る気が起きなかったです。
マリー・アントワネットの歴史というか、大河ドラマ風な重厚なカンジのドラマで、奔放に生きて、ギロチンにかけられてみたいな、そういう映画だと思ってたので。
ところが予告編に流れるポップなBGMと、キュートなキルスティン・ダンスト演じるマリー・アントワネットで印象が一変。
これは面白そうだと思って、映画館へ観に行きました。
期待どおりというか、ある意味、期待を嬉しく裏切ってというか、とても面白い映画でした。
予告編を観て、ビビッときた人なら、まず楽しめるのではないかと思います。
この映画は、フランス革命に関するゴタゴタは、ほとんど描かれていません。
フランスに嫁いだお姫様――マリー・アントワネットという女の子にフォーカスをあてており、その時、その場面で彼女が何を感じて、何を考えていたか、ということを時間の経過とともに追っていきます――もしかしたら、これは政治的に無知、無関心だった彼女が見ていた、知っていた世界だけを描いていたのかもしれません。
もちろん、そこはフランスの王妃の人生なので波瀾万丈。
絢爛豪華なヴェルサイユ宮殿に、彼女と一緒に観客も圧倒されます。奇妙なフランス王朝の習慣に、彼女と一緒に観客もクスリと笑ってしまう。
そして、子をなせずに悲しむ彼女や、恋をして舞い上がってしまう彼女、刺激的な遊びに一喜一憂する彼女の姿を、等身大の可愛い女の子――とはいえ、身分は最も高貴ですが――として描いていきます。
そして、子供を生み、育て――時を経て、フランス革命に一家が巻き込まれたときには、女の子だったマリー・アントワネットの表情が母親のものになっていたことに気付いたとき、思わずグッと涙がこぼれそうになりました。
それと音楽も良かった。
歴史上の人物を扱った映画なので、どちらかというと雰囲気作りのための荘厳な音楽がメインなんですが。
彼女が女の子として決断したり、行動するときにはポップな音楽に変わるんです。
作品の雰囲気とはそぐわないかもしれないけど、1人の女の子をフォーカスするのであれば、こういうBGMの使い方もありでしょう。っていうか音楽のお陰で彼女が、より可愛く見えました。
先にも述べたように、歴史的なことはほとんど描かれていません。
なので、唐突なカンジで革命が起きて、彼女が巻き込まれていく印象があるのですが、案外、当時の彼女もこういう状況だったのかもしれないな、と思いました。
惜しむらくは、オレが世界史を履修していなかったこと(笑)
固有名詞が出てきてもわからず、劇中で起こっている出来事にイマイチ、ピンとこなかったのが残念。
本作を観る前に、通り一遍でもフランス革命について調べておいた方が良いかもしれません。
『マリー・アントワネット』(映画館)
http://ma-movie.jp/
監督:ソフィア・コッポラ
出演:キルスティン・ダンスト、ジェイソン・シュワルツマン、他
点数:7点
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