2019年9月、所有者のご厚意で旧赤穂塩務局網干出張所(現東京電機工業株式会社)の内部を撮影させていただきました。
なお、表題写真は、私が撮影した最も古い写真で1996年のものです。
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使用カメラ・レンズ
SONY α7・Voigtländer SUPER WIDE-HELIAR 15mm F4.5 ASPHERICAL III E-mount
旧赤穂塩務局網干出張所
(大蔵省臨時建築部/M末-大正初年頃?/木1/経済産業省近代化産業遺産)
人造石洗い出しの門柱は戦前の物だと思われます。門に右下には境界を示す石柱があります。
人造石洗い出しはコンクリートに小石を混ぜて固めたもの。固まりきる前に表面を洗い出して石の質感を表現する左官の技法です。
境界標には「大蔵省用地」と書かれています。
1949年に日本専売公社が発足するまでは、大蔵省専売局が塩業の管理をしていました。
これが網干出張所の庁舎
玄関軒下の持ち送りや、その上にある通気口の下の装飾に洋風建築の意匠が見られます。
一見、普通の下見板のようですがドイツ下見と呼ばれる手間の掛かる手法の外壁です。
塩務局出張所庁舎は大蔵省臨時建築部による同一の設計で日本各地に建てられました。
旧三田尻塩務局長府出張所(山口県・宇部西町公民館)
味野塩務局山田出張所(岡山県玉野市・登録文化財)
等が現存しています。(クリックするとGoogle ストリートビューに飛びます)
ダイセル異人館のように同一設計の建物がすぐ隣に見られるということはしばしばありますが、遠く離れた所にあるという例は珍しいと思います。
内部は改装されていますが、天井板や扉などは元のまま残っています。
庁舎右側の扉から入ると漆喰壁の廊下があり、渡り廊下に抜け出ることが出来ます。
扉は端正なデザインで統一されています。
渡り廊下の突当りにはトイレがあります。
これらの外壁ペンキや漆喰壁は所有者ご自身の手による補修で美しく保たれています。
敷地裏手に塩倉庫が一棟。
塩倉庫もほぼ同形の建築が赤穂塩務局に現存しており、同一設計で各地に建てられたようです。
今年の初めにはもう一棟ありました。以下2枚は2019.2撮影。
向こうに小さく見える棟が取り壊されました。
裏手から撮影。手前の棟が無くなりました。
そして、2012年に撮影した取り壊された側の塩倉庫。
この時点で、かなりかしいでいます。
そしてこちらも2019.2撮影。左に写っている小さい建築も今は有りません。
この建築を2012年に撮影した写真。
先程の塩倉庫と共に、普通の下見板張りです。
その裏を2019.2に撮影したもの。
北側に大きなガラス窓があり、直射日光でない柔らかい光を多く取り込む必要があったと思われます。
恐らく品質検査室のような用途であったろうと推測しますが、残念ながらそれを証拠付ける資料は有りません。
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