かつては神に愛でられていた大天使、今は反逆の
咎で暗黒の淵に落とされたサタン。彼は、再度、
神に向かって悪略を練る。
全能の神への対決は負けると分かっているので、その対象を人間にする。
サタンは言う。
ある一つの場所に『人間』と呼ばれる種族が造られているはずだ。その人間なるものは、もう今頃は既に、我々に似せて造られていて、天国を支配している彼(神)からは遥かに寵愛されているはずだ。それが天使らを前にして宣言された彼の意志である。
ひたすら偉大な創造主に対する怨みから、人類を
その根本から破滅させると共に、地上と地獄を混ぜ合わせて一つにするのが、我々の目的。
アダムとエバは、いともたやすく、サタンに騙されます。
天国では会議が開かれ、神は言われます。
人間は自ら神たろうとして神に対して罪を読む犯し、一切を失い、償うに足る何者も有せずにいたる。そうなれば、後は、ただ呪われて滅亡に入る他ない。
人間の死の罪をあがなう為に、自ら死に、自らは
正しいにもかかわらず、正しからざる者を救おうとする者が汝らの間にいるか? 神のこの問いに
対し、すべての天使はただ沈黙するのみで、静寂がしばし天国を支配した。
ところが、溢れるばかりに聖なる愛を自らの内に
宿してた神の御子が、仲保の役を引き受けようと
衷心より望まれ、その申し出を述べられた。
「父よ、人間は恩恵を受くべし、と言う約束を、
あなたは既にされました。彼らは没落してしまった以上、自らの為のあがないも、何一つ持っておりません。
ですから父よ、願わくば彼らの命の代わりに、私の命を捧げます。彼に対する怒りを、私に晴らして下さい。私を人間と考えて下さい。私は彼らの為に神のふところを離れ、神に次ぐ、この栄光を
快く捨てて、やがては彼らの為に喜んで死にたいのです。
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キリストは、…山羊や、子牛との血を用いず、
己が血をもて、ただ一度、至聖所に入りて永遠の
贖罪を終えたまえり。 (ヘブル9-12)
我も、その不義を哀れみ、この後、又、その罪を
思い出でざるべし (ヘブル8-12)