兵藤庄左衛門、批評

芸術、芸能批評

ダンス批評

2020-08-20 13:59:35 | 舞台芸能批評
批評

☆ダンス

・「朔月に寄せて」コントラバス:齋藤徹、ダンス:Jean Sasportes、橋本真奈、‘09,8,21、inつばさ静岡、プロデュース:森妙子、森和子、静岡県高等学校障害児学校ユニオン
 ジャズマニアのユニオン会長の齋藤徹紹介はなるほどである。いい音出してる。齋藤氏はジャズに限らず現代音楽全般にかかわっているようだ。フリーっぽく前衛っぽくのりのいい、かきむしるような、そこはかとない響きは堪能できる。
 Sasportesと橋本の探るような求めるような、かかわりあうような、ちょっぴり離れるような、淋しいような、滑稽なような、けだるく淋しい「サマータイム」の歌もよかったよ。
コラボさせた森姉妹のお目は確かだ。

・京の地唄舞 井上美智子 ビデオ『日本古典芸能大系』より
 井上八千代の娘である。その凛としたたたずまい抑制された男性的な動きの中に、それでもあふれる思いがある、上品な色気が漂う。現在二世井上八千代を名乗る。

・ローラン・プティ『ピンク・フロイド・バレエ』(NHK教育) 「吹けよ風呼べよ嵐」の群舞の振り付けがすばらしい。全員の動きがきちっと合っていて見ていて、全員のパワーが集結するようで見事。アンコールでもう一回踊っているので、自信をもてるまで踊りこんだ証拠。決して女性的ななよなよした振り付けはないにもかかわらず、草刈民代が妖艶で美しい。

・ビデオ マイヤ・プリセツカヤ『白鳥の湖』、オープニング『瀕死の白鳥』アンナ・パブロワ 本家本元のロシアバレエ、チャイコフスキー作品。折り目正しい古典的演出。プリセツカヤが可憐かつ美しい。
 パブロワの踊りは今の人たちと比べ特にうまいとは感じにくい。今の人たちの方がうまくなっている。しかしこの時代の極致がパブロワなのだろう。現在はこの程度はスタンダードかもしれないが、この精神性は傑出しているのだろう。

・ビデオ キーロフ・バレエ『白鳥の湖』、オープニング『瀕死の白鳥』アンナ・パブロワ
 前巻の折り目正しく古典的なものと違い、もう少し現代的かつシャープで親しみやすい演出。時代の流れがこうなるようだ。

・ビデオ キーロフ・バレエ『眠れる森の美女』、オープニング『瀕死の白鳥』アンナ・パブロワ
 御伽噺の中に、豊富なダンス曲の数々。やっぱりヒロイン最高。親しみやすく分かりやすい演出。

・ビデオ マイヤ・プリセツカヤ『バレエの詩』、オープニング『瀕死の白鳥』アンナ・パブロワ
サン・サーンス『白鳥』、バッハ『プレリュード』、『ライモンダ』、『カルメン組曲』とさまざまな曲の振り付けで踊る姿が百花繚乱でよい。クラシックバレエのバリエーションの一端を知ることができる。

・ビデオ ボリショイ劇場200年『ボリショイ・バレエ、ボリショイ劇場 昨日・今日』、オープニング『瀕死の白鳥』アンナ・パブロワ
 ダンサーやボリショイ・バレエの日常生活の一端を知り共感しやすくなる。各種バレエの振り付け、練習風景にクラシックバレエダンサーの心意気を感じることができる。
ボリショイ・バレエ、ひいてはロシアバレエの歴史の一端を知ることができる。劇場を視点にして芸能を見ることを知った。

・ビデオ 栄光のバレエ・コンクール『バレエの祭典』、オープニング『瀕死の白鳥』アンナ・パブロワ
 若手ダンサーがいかに世に出てくるのか、その緊張感ともども知ることができる。未完成でも若々しい感性の踊りに触れることができる。

・バレエDVD「GISELLE」原振付:ジャン・コラリ、ジュール・ペロー、振付:マリウス・プティパ、改訂振付:パトリス・パール、ユージン・ポリャコフ、音楽:アドルフ・アダン、演奏:パリ・オペラ座管弦楽団、指揮:ポール・コネリー、ジゼル:レティシア・プジョル、アルブレヒト:ニコラ・ル・リッシュ、ミルタ:マリ・アニエス・ジロ、ヒラリオン:ウィルフリード・ロモリ、ペザント・パ・ド・ドゥ:ミリアム・ウルド・ブラーム、エマニュエル・ティボー、パリ・オペラ座バレエ、06年12月パリ・オペラ座ガルニエ宮、111分、
 可憐かつ可愛く第一幕はのどかに見せる。第二幕は神秘的だ。飛型点の高い優雅な踊りはうっとりする。個人的には第1幕のペザント・パ・ド・ドゥ:ミリアム・ウルド・ブラーム、エマニュエル・ティボーが愛らしく新鮮でよい。いかにも優雅で愛らしいクラシックだ。

・バレエDVD「真夏の夜の夢」振付:ジョージ・バランシン、音楽:フェリックス・メンデルスゾーン、演奏:ミラノ・スカラ座管弦楽団、指揮:ニール・カパレッティ、美術・衣装:ルイザ・スピナテッリ、タイターニア:アレッサンドラ・フェリ、オーベロン:ロベルト・ボッレ、タイターニアのパートナー:マッシモ・ムッル、パック:リッカルド・マッシミ、ハーミア:デボラ・ジスモンディ、ミラノ・スカラ座バレエ団、104分、07年2月ミラノ・スカラ座、
 メンデルスゾーンの音楽にバラエティ豊かなキャラクター、衣装、個性の踊りが様々見られる。モダンでシャープな近代舞踊だ。爽やかな衣装演出だ。

☆バレエ名作物語 新国立劇場バレエ団オフィシャルDVD BOOKS 1~4巻 世界文化社 
・Vol.1「白鳥の湖」振付:マリウス・プティパ、レフ・イワーノフ、改訂振付・演出・芸術監督:牧阿佐美、音楽作曲:ピョートル・チャイコフスキー、台本:マリウス・プティパ、舞台監督:森岡肇、演奏:東京フィルハーモニー交響楽団、指揮:渡邊一正、出演: 酒井はな、山本隆之、貝川鐵夫、グリゴリー・バリノフ、小野絢子、西山裕子、冨川祐樹、楠本郁子、市川透、丸尾孝子、西川貴子、マイレント・トレウバエフ、新国立劇場バレエ団、06年11月18日、新国立劇場、134分+42分、 
 特典映像によりダンサーの思惑を知ることができ、鑑賞に奥行きを持たせられるようになっている。
 繊細可憐な日本人クラシックバレエという既成概念を崩すように、どんどん大きくダイナミックな雰囲気になっていくものですね。繊細さをもちつつ大柄なダイナミックな迫力を出せるようになってきました。酒井はなは黒鳥と白鳥の違いをうまく引き出し踊り分けていた。パチパチ。やっぱりチャイコフスキーの音楽はクラシックバレエ史上最高に盛り上がる。これから伸びていく若手が多く将来楽しみである。

・Vol.2「ライモンダ」振付:マリウス・プティパ、改訂振付・演出:牧阿佐美、音楽:アレクサンドル・グラズノフ、演奏:東京交響楽団、指揮:オームズビー・ウィルキンス、ライモンダ:スヴェトラーナ・ザハロワ、ブリエンヌ:デニス・マトヴィエンコ、森田健太郎、楠本郁子、市川透、丸尾孝子、西川貴子、マイレント・トレウバエフ、芳賀望、新国立劇場バレエ団、09年2月10~15日、新国立劇場、129分+20分
 音楽単独ではぱっとしないが、踊りにはロマンティックに優雅に合っている。ラテンやスラブ系の踊りが入って彩りを添える。ザハロワは的確に踊りスピード感もダイナミックさも優雅さもあってよい。バランスがとれ、ぴたっと止まる瞬間のポーズは美しい。身体の流れるような流線型を描くフォルムもよい。

・Vol.3「ドン・キホーテ」振付:マリウス・プティパ、アレクサンドル・ゴルスキー、改訂振付:アレクセイ・ファジェーチェフ、舞台監督:森岡肇、芸術監督:牧阿佐美、音楽:レオン・ミンクス、演奏:東京フィルハーモニー交響楽団、指揮:アレクセイ・バクラン、キトリ:スヴェトラーナ・ザハロワ、バジル:アンドレイ・ウヴァーロフ、長瀬信夫、吉本泰久、西川貴子、貝川鐵夫、寺島まゆみ、西山裕子、澤田展生、田名部正治、堀岡美香、湯川麻美子、楠本郁子、小口邦明、厚木三杏、市川透、西川貴子、新国立劇場バレエ団、09年10月12~18日、新国立劇場、120分+28分
 愉快な演目で飽きない。ドン・キホーテは主役ではなく狂言回しだが、古典バレエ化するにはこうするしかなかったかな。音楽は結構ダイナミックだったりロマンティックだったりして聴けると思われる。より取り見取りのラテン系踊り満載で明るく賑やか情熱的で、なおかつ童夢のようなロリコン風キューピッド場面では可愛らしさにうっとりで、申し分ない娯楽の殿堂のようだ。踊りや演出の完成度が国内では高くすばらしい。

・Vol.4「くるみ割り人形」、振付:マリウス・プティパ、レフ・イワーノフ、改訂振付・芸術監督:牧阿佐美、音楽作曲:ピョートル・チャイコフスキー、台本:マリウス・プティパ、舞台監督:大澤裕、演奏:東京フィルハーモニー交響楽団、指揮:大井剛史、出演:小野絢子、山本隆之、伊東真央、西山裕子、冨川祐樹、楠本郁子、市川透、丸尾孝子、西川貴子、マイレント・トレウバエフ、 新国立劇場バレエ団、09年12月20日、新国立劇場、129分+30分、
 牧阿佐美の演出・振付は日本人に分かりやすい。ムーア人の踊りの場面をトロルに変更していて好感がもてる。
ムーア人登場の場面といえば、モーツァルトのオペラ「魔笛」等多いのだが、たいてい野蛮な黒人役が多いので、今後差別を感じさせないように変更することが多くなるだろう。
 ストーリーとしてはチャイコフスキー3大バレエともにおとぎ話で単純でシンプルだが、その分はっきりしたキャラクター像となり、しっかりしたキャラクター造形をして踊らねばならない。トレパックのダイナミックさ、中国の踊りのリズミカルでユーモラスな動き、各種踊りをいろいろ見られてお得な演目。グラン・パ・ドゥ・ドゥはやはりよい。小野絢子の踊りが可憐である。さらに精進してもっと軽い雰囲気で踊れるようになるだろう。各人の踊りで微妙にずれを感じる箇所があるが、今後さらに上達していくだろう。

・TV、「世界バレエ・フェスティヴァル」東京文化会館 ’12 8月14日  
~Standing by the people of East Japan~

 東日本大震災復興のチャリティの一環として行われた。欧米の若手クラシックバレエダンサーによるいきのよい若々しいダンスが見られる。振付も世界の一流がそれぞれの個性で振り付けていて、さながら振り付けの一覧表のごとくで贅沢な企画だ。日本からは東京バレエ団の上野水香が出場している。 
○プログラムA  
指揮:ポール・コネリー、東京フィルハーモニー交響楽団 
歌劇「預言者」から「戴冠式行進曲」(マイヤベーア) 
・「モペイ」、振付:M・ゲッケ、フリーデマン・フォーゲル、 
 何か日常的なつらそうな状況から抜け出そうとしているのだろうか。動き自体は軽やかでユーモラス。
・「幻想~白鳥の湖より第1幕のパ・ド・ドゥ」、振付:J・ノイマイヤー、 エレーヌ・ブシェ、ティアゴ・ボァディン、 
 シックで優雅、どこな沈み込むような静謐な悲しさが漂う。
・「ドリーブ組曲」、振付:J・マルティネス、 上野水香、マシュー・ゴールディング、 
 明るく可憐で若々しいというより、ちょっぴり幼い少年少女の思春期の甘酸っぱさを香らせる。
・「扉は必ず…」、振付:J・キリアン、 オレリー・デュポン、マニュエル・ルグリ、 
 18~19世紀の近代絵画の一場面のようなドラマティックさと、モダンなスローな振り付けが新しい世界を魅せる。
・「海賊からパ・ド・ドゥ」、振付:M・プティパ、 ポリーナ・セミオノワ、イーゴリ・ゼレンスキー、 
 すがすがしくも恋しあう二人の晴れやかなパ・ド・ドゥ。
・「瀕死の白鳥」、振付:M・フォーキン、 ウリヤーナ・ロパートキナ、 
 黒舞台に白衣装、シックかつ悲壮な最期を鮮やかにシャープに可憐に描く。
・「パガニーニ」、振付:M・ゴメス、 マルセロ・ゴメス、 vn:チャールズ・ヤン、 
 バックステージ風にvnに合わせ二人で音楽と踊りをアドリブ風に作り出すという趣向で、徐々に高揚していく。ダイナミックでパワフル。
・「ラ・シルフィード第2幕から」、振付:J・コボー(ブルノンヴィル版に基づく)、 タマラ・ロホ、スティーヴン・マックレー、 
 恋しあう二人の楽しげな語らいが可愛い。
・「ブレルとバルバラ」、振付:M・ベジャール、 エリザベット・ロス、ジル・ロマン、 
 黒と白、何か日常のしがらみの中から二人の思いを確認しあっていくのか。日本の着物を思わせる衣装がシックで優雅。
・「カンタータ」世界初演、振付:N・ドゥアト、 ディアナ・ヴィシニョーワ、ウラディミール・マラーホフ、 
 黒衣裳、カンタータは喜びの歌だと思うが、どこか哀しげで切ない。
・「ドン・キホーテからパ・ド・ドゥ」、振付: M・プティパ、 オレシア・ノヴィコワ、レオニード・サラファーノフ、 
 恋しあう二人の楽しげな踊り、若く躍動感、華やか。扇の使い方がキュート。


○プログラムB  
指揮:ワレリー・オブジャニコフ、東京フィルハーモニー交響楽団
歌劇「預言者」から「戴冠式行進曲」(マイヤベーア)
・「パルシファル」、振付: M・ベジャール、カテリーナ・シャルキナ、オスカー・シャコン、 
 暗く情熱的な雰囲気を影、黒衣装、シャープな踊りで示す。最期を暗示する。
・「タイス(マ・パヴロワ」、振付:R・プティ、 上野水香、マシュー・ゴールディング、 
 タイスの瞑想曲にのせ静かにスロ-に可憐に舞う。
・「エフィ」、振付: M・ゲッケ、 マライン・ラドメーカー  
 肉体から何か躍動感のようなものが爆発してきそうだ。
・「ライモンダからパ・ド・ドゥ」、振付: M・プティパ、 タマラ・ロホ、スティーヴン・マックレー、 
 前半シックで静謐で大人っぽい抑制感すら漂わせ、後半一気に華やかでダイナミックなパドドゥと化す。
・「ロメオとジュリエットからバルコニーのパ・ド・ドゥ」、振付:K・マクミラン、 アリーナ・コジョカル、ヨハン・コボー 
 可憐、しなやか、情熱的。
・「ウィズアウト・ワーズ」、振付: N・ドゥアト、 オレシア・ノヴィコワ、レオニード・サラファーノフ、
 都会っぽくなく、シャープでなく、シックでなく、派手でなく、先鋭的でなく、東洋的な、どこか素朴っぽく土俗っぽく、決して素朴で土俗というわけでないが、どういえばよいのかわからない、あたたかっぽく、ぬくもりを感じる、
・「椿姫から第3幕のパ・ド・ドゥ」、振付:J・ノイマイヤー、アニアス・ルテステュ、ステファン・ビュリョン、
 シックに悲痛に情熱的に。
・「ラ・シルフィード第2幕から」、振付:P・ラコット、 エフゲーニャ・オブラスツォーワ、マチュー・ガニオ、東京バレエ団 
 可愛く,軽快、明るく。
・「マーラー交響曲第5番からアダージェット」、振付:J・ノイマイヤー、 エレーヌ・ブシェ、ティアゴ・ボァディン、 
 クール、禁欲的、悩ましく、死の香りの抑制された官能。
・「シェエラザード」、振付:M・フォーキン、 ポリーナ・セミオノワ、イーゴリ・ゼレンスキー、 
 勇壮ダイナミックな出だしで、しなやかな叙情的情熱的官能。
・「海賊からパ・ド・ドゥ」、振付: M・プティパ、 ナターリャ・オシポワ、イワン・ワシリーエフ、 
 コケティッシュ、軽業のようにスピード回転ジャンプを連発する。イワン・ワシリーエフの跳躍点高く軽やか。
・「ル・パルク」、振付:A・プレルジョカージュ、 ディアナ・ヴィシニョーワ、ウラディミール・マラーホフ、 
モーツァルトの音楽を使い、振り付けは日常生活動作からもってきたかと思うような、(きっと違うのだろうが、私はなんと言ってよいか分からないので、)創作ダンスで、前衛ぽくないユニークな舞台、男女の愛情をスローに悲しげに舞う。
・「コール・ペルドゥート」、振付:N・ドゥアト、 スヴェトラーナ・ザハロワ、アンドレイ・メルクーリエフ、
 音楽は中央アジア的な流行歌っぽく、甘く切なく情熱的に東洋的にスピーディーに舞う。
・「ドン・キホーテからパ・ド・ドゥ」、振付: M・プティパ、 ヤーナ・サレンコ、ダニール・シムキン 
 ヤーナ・サレンコは小柄でバランス抜群、ぴたっと止まったポーズが可憐。ダニール・シムキンは童顔で可愛く女性受けしそう。これからまだ伸びる若手
・「眠りの森の美女」からアポテオーズ、 カーテンコール、タイトルエンド  
 
・TV、NHK-Eテレ「ローザンヌ国際バレエ・コンクール」スイス、ローザンヌ ’15 2月、 放映:’15 5/9(土)15:00~17:00  
 久しぶりに見た。コンクールは例年2月でその前には研修期間が5日ほどあるようだ。70名ほど参加者がいて、テレビ放送されるのは最終審査に残った決戦での20名ほどである。
毎年のように日本から参加者が上位入賞するので知名度も上がっているようだし、NHK-Eテレが毎年5月に放送するので国内で有名になるようだ。どうもレベル的にはアメリカで行われる新人コンクールの方が高いらしいし、その他にも幾つかの大会があるようだが、国内でテレビ放送されるのはこれだけだろう。受賞要件はプロダンサーとしてやっていけるかという判断で、審査場面だけでなく事前研修もポイントになるようだ。

・TV、NHK-BS-1 スペシャル「ローザンヌでつかんだ未来~バレエダンサー 須弥奈と美桜~ 」スイス、ローザンヌ ’19 2月、 放映:’19 4/28(日)50分  
 今回は日本人有力選手女子2名に事前から密着取材し他番組だ。彼女らは決戦で3位と8位を得た。ちなみに日本人男子脇塚君が5位だ。3位の須弥奈はバランスといい踊りの広がりと言いすでに大物感が出ていて完成度が高い。8位の美桜もきっちりそつなく踊れてすでに一流への予感がある。予選を経て準決勝の20名に進めればプロのダンサーへの道が開かれる。二人は同じ先生のもと協力し合ってここまで進んできた。そして決戦でも入賞して将来への道を切り開いた。更なる試練は待ち受けるだろうが、プロへの道を精進してもらいたいものだ。それにしても日本はいつの間にかバレエ大国といっていいのではないか。ローザンヌ他国際コンクールで入賞者を輩出し続ける状態だ。

・TV、NHK-Eテレ「ローザンヌ国際バレエ・コンクール」スイス、ローザンヌ ’20 2月、 放映:’20 8/16(土)2:00  
 放映が真夏の8月なので再放送か、コロナ禍により放映が遅滞したのかも。まあそれはいいとして、内容は、昨年のものでは出場者2名に密着取材というのをやめ、例年通りというか、古めかしく、ひたすら本選コンクール一本をプロダンサー:山本康介の解説で見せていく。今回の日本人出場者は1名で、チョイ寂しい気はするが、それより韓国・中国からの出場者が多く、レベルも上がってきていることに驚いた。まあこれらの国々から優秀な才能は出てくるだろうと思っていたが、結構急激にレベルアップしている。この分なら、来年以降、台湾・シンガポール・インドネシア・タイ・ベトナム・インド等からの優れたジュニアダンサーが輩出してくるだろう。
 本選に進めた20名のうち日本人ダンサーは松岡さん:少年一人だったが、スイス・モントルーの研修に集められた84名のうち、日本人は13名で最も多かった。しかも欧州予選で出場資格獲得の加藤さんは辞退し、モントルーでも山田さんが足の故障で辞退という不運も重なっている。松岡さんは入賞を逃したがロイヤルバレエでの1年間の研修参加を獲得したそうだし、本選に進めなかったメンバーもそれぞれ未来が開かれるとよかろう。
 今回1,2位の男女はいかにも将来プリンシパル候補で王子様や王女様がお似合いだが、3位の少年はとても身体が柔軟で個性的だが、背が低いことを山本氏が指摘していた。身体能力は高いが、背が低いことで、女性ダンサーのお供、つまり王子様役には厳しいのかもしれないが、背が低く女性と不釣り合いという、伝統的固定的性差別観念はクラシックバレエ界からも駆逐していくべきだろう。女性ダンサーより背が低い王子様ダンサーがいてもよかろう。
 番組内で中国人名は漢字なので日本語風音読みで紹介している。例えば「王」は「オウ」だが、中国語では「ワン」だろうから、中国語読みの「カナ」で紹介したほうがよかろう。

〇ライヴ「白鳥の湖 ~新演出による~」バレエ団芸術座 静岡市民文化会館大ホール ’19 5/1(令和元年) 深沢和子:演出
 コンサート第一部
・『ライアルト・リップルズ』ガーシュイン:作曲、~劇場街のざわめき~ ピアノ:谷合千文、一般科の生徒さんたち、 ちょっとレトロな都会の物憂さとシャープな感じを、「ウェストサイドストーリー」を思わせるようでちょっとコンテンポラリーぽく踊っていた。演出では、まだ開演3分前で客席が明るくまだ客が動いているうちに、幕を開け、舞台上でダンサーがストレッチしている光景から始まる。舞台背景は倉庫みたいで、1本可動式バーが置かれていて、倉庫内がダンススタジオだという体裁である。5分ほどたつと照明が暗くなり、ストレッチしていた生徒さんたちのうち1,2名ずつ立ち上がり、ダンスが徐々に始まる。なかなか魅せごたえがある。バーについてはダンススタジオを想定させるだけでなく、一般科生徒さんが自立してバランスがとりにくいことを留意して、バーを触ったまま踊れる配慮にもなっていた。この演出は舞台設定と生徒さんの発表を両立させえている。

・「インディアン」児童科Bの生徒さんたち、 可愛らしくも動きや息が合っていた。

・『ドン・キホーテ』より「第一ヴァリエーション」、ヒロイン:キトリのソロの踊りを高等科:柳瀬が赤い衣装で踊る。短時間だがよくソロで踊り切ったものだ。きっちりしている。

・「海と真珠」プロ:辰巳、高等科:大橋、平野、辰巳のリードで女子二人もなおやかに動きがよい。広がりがちょいと。

・「海賊」プロ:田村、高等科:成田、田村のリードで成田が練習の成果を出す。回転でのバランスがよい。

・「ライモンダ」プロ:浅田、高等科:菅野、さすが男はプロでジャンプすると高い。両社ともバランスがよく見ていて安心感がある。

 コンサート第二部
・「カーニヴァル」高等科、児童科Aの8名、可愛い、軽やか

・「ブルーバード」よりフロリナのヴァリエーション、高等科:白岩、軽やか、

・パキィータのヴァリエーション、高等科:山下曇生、まだ不慣れなようですが回転を頑張ってます。

・「ジゼル第一幕」よりペザントのパ・ドゥ・ドゥ、プロ:辰巳、高等科:福代、辰巳のリードで福代さんバランスを取ろうと頑張っています。舞台での経験はこれから役立つでしょう。まだこれからも練習頑張りましょう。

・チャイコフスキーのパ・ドゥ・ドゥ:プロ:原田、高等科:武本、原田のリードで武本さん動きが軽いし広がりがある。

・「ラ・フィユ・マルガルデ」よりリーズの結婚:プロ:田村、高等科:藤田、田村のリードで藤田さん動きが自然で軽やかでさりげなく、ジャンプも高い。

~~~~~白鳥の湖~~新演出による~~~~~
配役:オデット:鈴木、オディール:大橋、王子:浅田、ロットバルト:川島、王子の友人:原田、田村、道化:望月、
~第一幕~
・パ・ドゥ・トロワ:プロ:辰巳、高等科:手島、竹内:辰巳のリードで優雅で軽やかで練習を積んだことが分かる。

・ワルツ:高等科、児童科A、B、幼児科の生徒たち:群舞は華やかで可愛いしゴージャス、相当練習をかさねたようだ。得意演目。

~第二幕~
・三羽の白鳥:高等科:成田、菅野、竹内:なかなか堂々と踊れている。

・四羽の白鳥:高等科:菊地、増田、児童科A:山本、橋本:四人で息を合わせるのが大変そうだが、頑張っています。

・白鳥たち:高等科、児童科A、B、幼児科の生徒:集中を切らさず、協力して踊れていた。「白鳥の湖」は得意演目であることを示す。

 総じて演出がよい。深沢氏の思い入れの深さだろう。役割を終える文化会館へのオマージュにもなっているようだ。道化の望月君は得な役だが、それだけでなく、大した舞台度胸の持ち主で存在感を発揮する。







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