映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、非アクション映画では異例のヒットを記録した香港映画「桃(タオ)さんのしあわせ」です。
10年ぶりの映画復帰でベルリン映画祭で主演女優賞を受賞したディーニ・イップが、裕福な家庭のメイドの桃さん役を、香港のアクションスター、アンディ・ラウがその家庭の息子ロジャーを演じています。
ロジャーの家に60年間にわたりメイドとして仕えてきた桃さんは、香港に一人残っている独身映画プロデューサーのロジャーに世話をしています。そんなか、桃さんが脳卒中で倒れ、不自由な体になったことから老人ホームに入ることを決意。ロジャーは、恩返しに桃さんの面倒を看ていきます。
女性監督のアン・ホイと原作者でありプロデューサーのロジャー・リーは、ありふれた日常を奪われたときに感じる失望や愛する人と過ごす喜び、そして老いて死に向かう現実から目を背けることなくリアルに淡々と描いています。
シンプルライフのオリジナルタイトルのように、ささやかな生活の中に輝きを深く感じさせてくれる作品でした。