映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は、ノルウエーの青年矯正施設の闇を描いた作品「孤島の王」です。
舞台は、世界でも有数の福祉国家ノルウエーに実在した11才から18才の青少年の更生を目的にした監獄島バストイ島で、20世紀初頭に起きた暴動事件を描いた実録ドラマです。
極寒の島で、更生とは程遠い重労働や懲罰、寮長の性的虐待などが行われるなか、11才から7年近く過ごし、出所を夢見て服従を続けていた少年と過酷な生活のなか入所してきた少年の理不尽な生活への反抗のなか、二人の間に友情が芽生え、性的虐待を受けた少年の自殺が発端となって暴動へと進うでいきます。
過酷な労働と頻繁に行われる職員による体罰。ほぼ無名のスタッフとキャストにより制作されています。キャストの少年たちの絶望感の中で暮らす姿は、痛々しさの中にも強い意志が感じられ、ラストに迎える暴動シーンでそれまでの屈辱に耐え抜いた感情が一気に爆発していきます。
ふたりの少年の最後の逃走劇には心打たれ、不幸な環境の中で罪を犯した少年たちの未来ある前途が、大人側の一方的な考えと行動により壊されてはならないことを深く考えさせられました。
ノルウエー国民でさえも、知らなかった深い闇を白日の元にさらし、真実の姿を描ききった監督、スタッフ、無名のキャストに敬意を示さずえない秀作です。