映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。今回は「裏切りのサーカス」です。
舞台は、東西冷戦下での、ソ連とイギリスのスパイによる情報戦を描いたもので、サーカスは、イギリスの英国諜報部の別名です。
ゲイリー・オールドマン演じる元諜報部のスマイリーが、長年にわたりサーカスに潜みソ連に情報を提供していた二重スパイの「もぐら」の正体を暴く頭脳戦を描いています。
もぐらが、サーカスの幹部4人の中にいることを突き止めたスマイリーが、スカルプハンターといわれる実働部隊を駆使して証拠を固めていきます。
かつて、もぐらの存在に気づきながら証拠を掴むことができず、職を辞したスマイリーの過去と4人の幹部の別の顔の存在。スカルプハンターたちの複雑な心情が入り乱れながら、もぐら発見へとつないでいく過程が、淡々と描かれています。
スパイ映画であっても、全編に派手なアクションシーンや銃撃戦は一切無く、全編に流れる空気は息の詰まるような緊張感。その緊張感が、リアリティにつながって観るものにはじわりじわりと伝わって来ます。
雲が多く、太陽の光があたることの少ないイギリスを舞台に描かれていることもあって、一層スパイの孤独な姿が生々しく感じる作品でした。