中野量太監督が二宮和也主演で写真家の浅田政志の半生を描いた映画「浅田家!」を鑑賞しました。
僕自身、アートに携わる仕事をしていることで写真家の浅田政志の存在は知っていましたし、その作品も美術館で目にしたこともあります。また、僕がよく行く三重県立美術館のある津市の出身であることもあり、さらに「湯を沸かすほどの熱い愛」で号泣した中野監督が手掛けたことで、彼の写真家としてのルーツを知りたいと興味を持って鑑賞しました。
兄弟の写真を年賀状に写真好きで主夫業で看護士の母親をバックアップする父親の影響で写真に興味を持った少年時代、写真専門学校を卒業後にモチーフが見つからずプー太郎生活を送る中で、家族のコスプレ写真を撮り続け、出版社の目に留まり写真集を出版、その写真集が写真界の芥川賞と言われる木村伊兵衛写真賞を受賞、ちなみに直木賞といわれる土門拳賞と並ぶ写真家としての登竜門と言われています。その後に、家族写真を生業にしながら、写真家としての道を歩む、主人公と家族の愛の記録的作品です。
政志役の二宮に、父の平田満、母の風吹ジュン、兄の妻夫木聡、恋人役の黒木華と個性豊かな面々が、この一風変わった家族を熱演していますが、劇中の家族写真の再現を浅田政志自らが撮り写真集の浅田家!と瓜二つな作品に驚きました。
弟の無理難題を文句を言いながらも答えていく兄、自由奔放に生きる息子に対して大らかに受け入れる父と母。才能を信じ陰で支える幼なじみの恋人、そんな家族の自然な支えで才能を開花していく浅田の半生をユーモアたっぷりに描かれる新しい形の人情ドラマです。
僕の住む東海地方は、近年日本映画の聖地として話題となっていますが、今回も浅田家のヒットで津の撮影地が聖地となっています。映画を観た後は、ロケ地の津を訪れてみてはどうでしょう。意外とこの町に惹かれるのではと思います。