先日、原爆の図で有名な丸木位里の美術展が三岸節子記念美術館で開催されて鑑賞してきました。
僕の画家、丸木位里の印象は、妻俊との共作「原爆の図」が真っ先に思い浮かびます。美術ファンにとっても丸木と言えば「原爆の図」が強烈なインパクトで印象付けられたのでは思います。
あの、広島の原爆投下での惨状を描いた黒色の世界は、原爆の脅威を観る者の心に刻みました。
今回の展覧会は、原爆の図にとどまらず水墨画家として、また前衛芸術家としての丸木の全体像を紹介するものとなっています。その全体像の大きな要因となっているのが本展のテーマである墨は流すものーの言葉に秘められた丸木の多彩な墨表現です。
伝統的な水墨画表現の初期作品から次第な変化を遂げていく現代的な具象表現へと変化する丸木の水墨表現の追及が、どの作品にも力強く感じられ、その集大成として妻俊との原爆の図をはじめとする悲惨な戦争への怒りの表現となって繋がっているように感じます。
丸木位里の没後25年となる本年、その画業の全貌を紹介する過去最大の展覧会は10月11日まで。平和への祈りと叫びを感じる位里の世界をぜひ鑑賞してみてください。