今回の展覧会レビューは、ヤマザキマザック美術館で8月27日まで開催された「八幡はるみGARDEN展」です。
会期最終日に鑑賞したこともあって、会期中のレビューが間に合いませんでしたが、とてもすばらしい展覧会でしたのでご紹介したいと思います。
ヤマザキマザック美術館は、現代美術家の作品をアールヌーボ時代の作品や調度品などの中で展示する新旧の作品がうまく融合する展示が特徴です。とりわけ世代やジャンルを超えて女性アーティストの作品を多く紹介し、他の美術館とは一線を画す展示が魅力のひとつです。
今回の展覧会でも京都市立芸術大学で染色を学び、現在京都芸術大学の教授でもある染色家の八幡ひろみ氏の作品を紹介していました。日展などの工芸部門でも今もっとも活気がある染色部門ですが、八幡ひろみの作品は、大和絵を彷彿とさせる屏風作品や手染め技法ととスクリーンプリントにより染め上げた作品に染料や顔料、箔などを加えた混合技法による作品に、先端印刷技術であるデジタルプリントにジャガード刺繡を組み合わせた作品など多種彩々の作品でカラフルな庭園世界が広がっていました。
作品は1990年代から現在に至る回顧展的展覧会ですが、変遷する染の世界が流れていくような作品で、アールヌーボの背景にぴたりとはまり、美しくもたおやかな空間が広がっているようでした。
混合技法により展開されたパネルにアールヌーボのベッドに敷かれた布。
1990年代の水のシリーズ作品。大和絵を感じる青海波の文様が広がる。