20世紀後半の日本を代表する彫刻家・若林奮(わかばやしいさむ)の展覧会を名古屋市美術館で観賞。
今回の展覧会は、名古屋市美術館のほかに、足利市立美術館、神奈川県立近代美術館葉山など5会場で開催されるそうです。
若林は戦後の高度経済成長期に作家となり、2003年に67歳で没しています。彼を知る人なら、鉄の彫刻家としてのイメージを強く持っている人が多いと思います。今回のタイトルは、最晩年の作品につけられた名前からとられ、彼のパブリック作品の全貌がドローイングや作品と共に明らかになっている全貌展となっています。
平面や立体に鉄の塊に四角、三角や丸などの立体物から構成される作品は自然の中で独自の存在感を放ち、それらの作品が自然の中に組み込まれると何とも言えぬ自然との調和を感じます。また、代表作品が設置された庭園の映像や写真などから、その中に分け入って同化したいような衝動を抱きました。
その衝動は決して激しいものではなく、風に揺らぎ静かに舞い落ちる葉や川の流れや雨滴に鼓動する静かに響く音の中で身を委ねたい感覚です。あなたもその不思議な感覚を味わってみてはどうでしょうか。