映画館で観れなかった作品をDVDで観るシリーズ。アジア映画のニュ-ウエイブ、フィリンピン発。女性監督による映画「SHIFT~恋よりも強いミカタ~」です。
今回の作品は、大阪アジアン映画祭でグランプリを獲得し、アジアン系映画祭で話題を読んだ作品です。
フィリンピンを舞台に、テレフォンオペレーターとして働くゲイの青年と同じ職場で働くシンガーソングライター志望の女性とのかなうことのない恋を描いた異色作です。
お互いの交流が、日常の会話に加えてチャットや携帯メールを介して行われ、その文章がスクリーン上でスーパーとなって現れる手法が新鮮で、揺れ動く心模様が増幅されて切ない思いが増します。
カラフルな都会の日常やアジアの持つ独特な熱が感じられ、かつて香港を舞台に繰り広げられた「恋する惑星」を彷彿とさせます。
そこで働く若者の姿を通し、マイノリティによる差別や経済事情などの社会問題をカジュアルな世界に反映しているところも、映画の持つ社会性に訴える新しい形として評価されます。
アジア映画の台頭は、日本映画のクォリティを高めアジア映画界の底上げにもつながることを、この作品から読み解けるのではないでしょうか。