「ゴジラ対ガイガン ~招かれざるモノ~」
・・・それが敵性体で有る事は、ほぼ解っていた。
監視衛星が交信を絶った理由と、”その”接近はほぼ同時だった。外宇宙の知的生命体が齎した円盤だ、とは最初、認識されていなかったその巨大な物体は、地球の重力圏に入るとその正体を見せた。「ゴジラが居る」と言う事を知覚していた筈の研究者らにしろ、過去に”宇宙人”が地球に来て、「害眼」と言う怪獣を放ち、それを「呉爾羅」が倒した、と言うそれを、記述の発見当時にしろ信じてはいなかった。もちろん、知っていたからと言って、何が出来ただろう?その来訪は至極、唐突に始まった。
司令官は、その判断ミスを悔やんだが、それも意味は無かったかもしれない。出現した「怪獣」空を飛ぶそれが、敵性体である、と言う認識を暫く持てなかったのだ、それよりも面倒な話が既に始まっていた。「ゴジラ」が、再び出現し、日本の首都を目指して進行中だった。ゴジラへの攻撃は悉く無意味のまま、それは自衛隊の戦力を無視し、真っすぐに東京を目指していた。”その”宇宙からの襲来は、それと同期していたのだ。
「ゴジラ」の研究チームの一人が、血相を変えて指令室に入ってきた時は、既に防空隊の殆どが壊滅した後だった。「害眼」、ガイガンと呼ばれた、過去に宇宙人に寄って齎された怪獣の外観に、アレは酷似している、と言った。意味の無い話だった、それはやがて東京の都心に舞い降りると…高笑いだろうか?それと共に、その都心一帯を、…そして物の数分で、ほぼ完全に壊滅させていた。
まるで、今思えばだ、ゴジラとの決戦、そのステージを創るかの様にだ。
その戦場へ、ゴジラは不機嫌そうにだ、重い地響きと共に、自衛隊を引き連れて、入ってきた。
彼らは、奇妙な「会話」の様なしぐさを交わしていた。何か彼らにしか解らない意思の疎通が有るのかもしれないが、結局はそれは、人類にとっては壊滅的な、そんな第二ラウンドの始まりに過ぎなかったのだが。
…戦いは、ゴジラの勝利と言う結末には成ったが。ゴジラは、停止命令を無視した自衛隊の戦力を薙ぎ払い、そのまま、また海へと帰って行った。彼にとっては良くある防衛戦を熟しただけなのかもしれない。ただ人類はその後片づけに、また巨大な労苦と浪費を強いられる事には…成る訳だが。
不意に、人間など宇宙からすれば小さな蟻の様なモノでしかないと、実感はした。
fin