“「森彦」までたどる路は地図で見ると札幌では珍しい斜めの小径。その小径は西に龍興寺から始まり、東の瑞龍寺で終わる。寺と寺を結ぶ由緒ある路で、昔は墓参道と伝えられていた。”
市川草介(2019)『カフェがなくなったら・・・』現代書林
先般「劇団四季 The Bridge ~歌の架け橋~」観劇前に「RESTAURANT DAFNE」でランチした際に店頭で販売されていたMORIHICO. CEOの市川草介氏の著書『カフェがなくなったら・・・』を購入しました。円山「森彦」のオープンからMORIHICO. の運営、コーヒーや経営への思いなどが綴られていて興味深く読ませていただきました。その中に冒頭の文章がありました。「墓参道」はサウンドが悪いので「森彦」への巡礼者がたどり歩く道なので「森彦参道」と勝手に名付けて散策致しました。特に「円麦」の新旧比較など発見もありました。
『カフェがなくなったら・・・』の表紙
【龍興寺】
“龍興寺から始まり・・”ですので最初は「龍興寺」です。南4条西27 丁目の曹洞宗の立派なお寺です。背景の「円山」の緑と一体化した雰囲気です。
ご本堂。
ご本堂の向拝には立派な龍や麒麟などの彫刻があります。
釣鐘堂と由緒ありげなお地蔵様群。降雪時には「赤ずきん・赤マント」 が用意されます。
「龍興寺」前から「斜めの小径」に入ります。
【「森彦」界隈】
「マルヤマクラス」から「さくら通り」に至る並木道を超え「森彦」前へ。
こちら「円麦」です。本日は定休日。
著書に掲載されている「森彦」の前身とされる「月庵」という名の茶室(1階部分)。2階はデザイン事務所。上の「円麦」と比較すると2階の窓の位置も同じで1階右下には「躙り口」が見えます。旧1階茶室部分の内部をベーカリーに改装したのですね。
カフェ好きコーヒー好きの「聖地」と言われる「森彦」。
著書の中で「1番人気の席」と紹介された2階の出窓に面した席(写真は本年3月訪問時のもの)。テーブルも自前で店に改装した際に出てきた廃材を使ったとか。
同1階左奥の席。このミシンでかつてはネルを縫っていたのだとか。
2階の窓はブドウのツタで覆われていました。席から見る景色も様変わりで趣ありそうです。いつか外から見て席が空いている時を狙って再訪しようと思います。
著書で「借景」とされた庭のある隣の邸宅が建替え中です。立派な庭はそのままのようで「借景」は維持されそうです。
邸宅敷地内には「馬頭大王」碑があります。大正初期建立のようです。双子山の「界川神社」にもあったように開墾作業等の貴重な戦力で家族のように扱われた馬が活躍した時代の名残です。
「旧界川」の跡を整備した「遊歩道」。「裏参道」に続きます。
藤の花が見事に咲いていました。もう少しで満開です。
「遊歩道」の両サイドは町内会の方で整備され様々な花々が植えられています。これからが楽しみです。
【西24丁目〜22丁目】
「西25丁目通り」を超えて住宅街へ。
「森彦」に負けず劣らず年季を感じる24丁目の店舗。本日は休業でしたがドアにコロナ関係の張り紙がありましたので現役のようです。
23丁目の餃子屋。こんなオブジェには今まで気が付きませんでした。
5月27日(木)オープン予定という「チーズケーキ専門店」。
住宅街のライラック。少し盛りが過ぎたようです。
「瑞龍寺」に突き当り斜めの参道は終了です。
【瑞龍寺】
南2条西21丁目の「瑞龍寺・北海禅道会」 は明治41年(1908年)開基の歴史ある禅寺で「札幌禅センター」が設置され座禅会や写経会が開催されているようです(https://sapporo-zen.org/)。
こちらの寺門にも立派な龍の彫り物があります。
本堂に至る参道の両脇には紫陽花が植えられています。
紫陽花も蕾が出てきており季節には綺麗な景観になるのでしょう。
右は文禄の役の際に伊達政宗公が朝鮮半島より持ち帰り現在宮城県指定天然記念物とされている「臥龍梅(紅梅)」の挿し木より育成した梅の木とか。
瑞龍寺を出て一旦「裏参道」を経由し・・。
参道に入り「森彦」に戻ってきました。25年前のオープン当時は「小さな建物だけがポツーンと孤立して」建っていたということで「円山」も借景で良く見えていたのでしょう。残念ながら現在はこのような景観です。以上で散策終了です。
南円山の「森彦参道(墓参道)」は明治・大正・昭和からの歴史が刻まれた小径でした。「森彦」はじめ歴史を感じさせる趣のある建物から新規開店店舗まで日々に街の装いを変えていくのでしょう。その一コマ一コマで散策し何かしら発見していくのも仲々良いものでした。ありがとうございました。
「五雲山龍興寺」
札幌市中央区南4条西27-1-1
「瑞龍寺 札幌禅センター 」
札幌市中央区南2条西21丁目1-8
TEL 011-611-3228 FAX 011-613-8458
メール info@sapporo-zen.org
https://sapporo-zen.org/
(2021.5.25訪問)
(2021.5.25訪問)