北円山の閑静な住宅街のフレンチの有名店「Restaurant MiYa-Vie」。店名はシェフの名前の一文字“雅(みやび)”とフランス語で“人生”や“生き様”を表す言葉である“Vie”から名付けられたとか。料理やサービスはじめレストラン全体へのシェフの想いが込められているそうです。そんな雅やかな空間で北海道産食材による繊細な和の食文化と調和したフレンチを堪能できます。
今日は「Restaurant MiYaーVie」でフレンチのランチです。この店の存在は近くの「ラ・サンテ (La Sante)」や「十割そば ひまわりの種」に来た際に周囲を探索して気付いていました。ただ何となく敷居が高い気がして遠慮していたのですが「何事も経験だ!」と予約してやってきました(あまり理由になっていませんが・・要は美味いものが食べたくてです)。結果は大正解!今まで来なかったことを後悔してしまいました。店の場所は地下鉄東西線「西28丁目駅」が最寄駅で「北5条・手稲通」 から「円山茶寮 (まるやまさりょう)」の角を曲がって南へ少し歩いたところで駅から徒歩5分弱、「円山公園駅」からは北へ向かい徒歩7~8分ほどでしょうか。1階に「RITARU COFFEE」の入るビルの地下1階です(地図)。
「Restaurant MiYaーVie」の入る「N2ビル」の外観。奥に「十割そば ひまわりの種」の看板が見えます。
地下に下りる階段脇にはメニューが掲示されています。ランチコースは6品で税込み5,000円、ディナーコースは7~8品のAコースも食材のグレードを上げた4~5品のBコースともに同9,500円です。
階段を下りたところ。外扉を開けて玄関に入り正面の中扉を開けると店内です。
店内はオープンキッチンで厨房前にカウンター席と・・。
奥にテーブル席が1卓。どちらからでもシェフの料理の様子を見ることができます。黙々と仕事をする横須賀雅明シェフとアシスタントの息のあった作業は一見の価値ありです。
カウンターに準備されたテーブルセット。お箸も用意されています。
「MiYaーVieな おもてなし」。シェフの想いが書かれています。
裏は本日のメニューでした。いずれにも店のロゴマーク【】が描かれています。シェフの大好きな野菜をモチーフにし曲線の部分は葉野菜と根野菜を意味し二つの楕円は実野菜を意味しているそうです。
そのシンボルマークの通りすべてのコース料理は季節の葉野菜・根野菜・実野菜を用いた前菜でスタートするそうです。
「MiYaーVieのシンボルマークから、葉野菜、実野菜、根野菜を海の香りでつつみ.」です。底の深い器には鰹出汁とかぶを使ったフラン(洋風茶碗蒸し)が入り、その上に温野菜(小松菜、白菜、インゲン、ブロッコリー、カリフラワー、空豆、ごぼう、ふき、山いも等)がのり春菊のソースがかけられています。トッピングは三つ葉。旬の野菜をお箸で一つ一つ味わっていただきます。少しほろ苦さを感じる春菊のソースが春を感じさせます。
グラスワインは赤白各2種類から選択。注文したのはたぶん初めて飲む珍しいジャケール種100%の「Philippe et Sylvain Ravier Vin de Savoie Abymes2020(フィリップ エ シルヴァン ラヴィエ ヴァン ド サヴォワ アビーム)」。税込み1,450円。シャープで爽やかな白ワインです 。
自家製酵母にオリーブオイルを練り込んだ全粒粉のパン。パンも良かったのですがバターが美味しかった。もちろんお代わりしました。
2品目の「大根のスープ、 蕎麦とジャガイモのクリーム、帆立貝、菜の花、山葵.」。
トッピングのクレソンの下には少し火を入れて旨味を引き出した帆立貝と菜の花。大根のスープの中には蕎麦粉とじゃがいもで作ったMiYaーVie風蕎麦がきが隠れています。帆立貝の火の通し具合が絶妙でした。
魚料理の「サクラマス、春キャベツとホタルイカ、アオサの香る泡のソース、レモン.」。
「カウンター下の引き出しにカトラリーがありますのでお使い下さい」と告げられ魚料理、肉料理、デザートにはこちらのカトラリーを使っていきます。
トッピングの三つ葉の下にはオーブンで蒸し焼きにしたサクラマス。こちらも火の通し具合が絶妙でしっとりと脂がのったサクラマスがホロりと崩れます。その下には春キャベツとホタルイカ。すりおろされたレモンが良いアクセントです。
赤のグラスワインは「Domaine Guy Simon et Fils Bourgogne Haute Cote de Nuits Pinot Noir2019(ギィ シモン エ フィス ブルゴーニュ オート コート ド ニュイ ピノ ノワール )」。軽めの果実味香るピノです。
肉料理の鴨を焙る横須賀シェフ。カウンター内の白い壁のこの部分だけ煤けていると思っていたのですがコンロのせいだったのですね。
肉料理は「滝川産鴨胸肉のロースト、北あかりと山椒、フキと蕗の薹のクリーム.」。
鴨肉は低温調理されたものでコンロで焙るのは短時間です。「これで火が通っているの?」と思ったのが肉の中心部まで温もりのあるレア状態で柔らかく焼き上げられていました。フキノトウのソースが見事に鴨に合い美味しくいただきました。
デザートは「マスカルポーネとバナナのムース、ライムのシャーベット、ヘーゼルナッツ.」
下から黒糖のジェノワーズ(スポンジケーキ)、ソテーされたバナナ、クラシュされたヘーゼルナッツ、ライムのシャーベット、そしてマスカルポーネとバナナのムースが重ねられています。掘り進むほどに美味さが表れる深い味のデザートでした。
食後のドリンクはコーヒー、紅茶、ハーブティー、ほうじ茶より選択。妻の選んだ紅茶(和紅茶)も私のほうじ茶も鉄瓶で出てきました。最後まで和への拘りです。
お茶菓子(ミニャルディーズ)は伊予柑とウグイス豆の焼き菓子。食べ残したものは包んでくれますので半分ほど持ち帰りました。会計を済ませ退店の際には玄関口までシェフが見送りにでて「またのお越しをお待ちしています」とご挨拶いただきました。もちろんまた来ます!
本日も大変々結構なランチでした。北海道を中心とする和の食材とシェフが本場フランスで習得した仏料理の技法が出会い生まれた独創的な和フレンチを堪能しました。とりわけ本日は春を感じさせる食材が多く使われ季節感溢れる料理でした。カウンター越しに見る寡黙なシェフの仕事ぶりも見事で空間全体にMiYa-Vieな世界を感じました。大変ご馳走になりました。
「Restaurant MiYa-Vie」
札幌市中央区北3条西26丁目3-8
営業時間 【月・水~日】18:00~22:00 (L.O.20:30)
【月・土・日】ランチ 12:00~14:30 (L.O.13:00)
定休日 火曜日・第四水曜日(終日)/水・木・金曜日はランチお休み
(2022.4.16訪問)