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札幌・円山生活日記

札幌国際芸術祭2024 LAST SNOW 「2124-はじまりの雪-」in 未来劇場

札幌で世界の最新アート作品に出合える特別なアートイベント「札幌国際芸術祭」。6年半振りとなる「札幌国際芸術祭2024(SIAF2024)」は札幌市内6ヵ所を主要会場に2024年1月20日〜2月25日の会期で『LAST SNOW』というテーマの下で開催されます。その一つ「未来劇場(旧北海道四季劇場)」では100年後の未来を見つめるための19組の作品を展示する「2124-はじまりの雪-」が開催中です。

本日は未来劇場(旧北海道四季劇場)で開催中の札幌国際芸術祭2024(SIAF2024) LAST SNOW 「2124-はじまりの雪-」の鑑賞です。SIAF2024の主要会場6か所で開催中の企画の一つで「明和電機 ナンセンスマシーン展 in 札幌」@札幌芸術の森美術館「1924‐2024 FRAGIE【こわれもの注意】」@‘北海道立近代美術館に続いて有料展示3か所目の鑑賞です。ちなみに『個別鑑賞券(市民・道民)』は1か所毎に1,500円ですが、会期中何度でも何か所でも入場できる『パスポート(市民・道民)』は前売が1,800円、会期中は2,000円なのでお得です。
札幌国際芸術祭2024(SIAF2024) LAST SNOW 「2124-はじまりの雪-」の会場の「未来劇場」。札幌市が「四季(株)」より譲渡を受け文化芸術の公演場所及び稽古場として活用している「東1丁目劇場施設 (旧北海道四季劇場)」。今回はアートを通して未来を体験し、考え、行動するための芸術祭の拠点として「未来劇場」と命名したようです。場所は「さっぽろテレビ塔」の近くです(地図)。
会場受付。こちらでもスマホの「札幌国際芸術祭2024」デジタルチケット(市民・道民パスポート)をピッと読み取らせて入場です。

 受け取ったパンフレットによると会場内は「タイムトラベル」、「未来の風景」、「時空の錬金術」、「100年後の物語」、「今ある危機」、「未来ラボ」の6章で構成され、100年後の未来をみつめ行動を考えるための19組の作品が展示されているとのこと。会場内は写真撮影OKです。
音と空間の作品「タイムトラベル」の章(アーティスト;KOMAKUS、施井泰平)を過ぎると「未来の風景」の章へ。

「未来の風景」の章では、チェ・ウラムの《穴の守護者》(2011)、《無限の穴》(2024)、《素敵に枯れていきたい、君と。》(2024)が展示。薄暗い舞台裏の空間は人類亡き後の機械の世界をイメージ、天井から舞い落ちる“枯れた花弁”が“無限の穴”に流れ込み、それを機械の“守護者”が見守っているという風景のようです。
《無限の穴》の傍らに佇む《穴の守護者》。
穴を覗き込むように鑑賞する《無限の穴》。過去と未来をつなぐ時空の穴を意味するとか。アイヌ音楽を彷彿させる音色が流れます。
《穴の守護者》はメカニックな機構が上下に動き生命体を思わせます。南極のアザラシの生態から着想を得た作品とか。


《素敵に枯れていきたい、君と。》は毎時20分と50分に床から動き出し天井に届くと満開となります。この「未来の風景」の章はかなり印象的な空間です。見応え感が半端ではありません。

続く「時空の錬金術」の章では後藤映則と青木美歌の作品が展示。100年後も変わらないアート作品を生み出す「時空の錬金術」師たちの作品だそうです。

後藤映則の作品《In motion》は回転する物体に光を当てることで歩む人の姿を浮かび上がらせた作品です。
そして青木美歌の《Starting from light coming back to light》は粘菌やバクテリアといった小さいながらも太古の昔から紡がれてきた生命をガラスで表現した作品。『企画展「生命体の存在」@本郷新記念札幌彫刻美術館]』に出展していた青木氏のコメントにガラスは「透明」かつ「強固に無意味」な素材と書かれていました。幻のような儚げな存在の人間と強固なバクテリア類という対比がこの章のメッセージですか?

「100年後の物語」の章では小川ディレクターより提示された「100年後の〇〇」というテーマに対する6組のアーティスト(エイミー・カール、スーパーフラックス、シン・リウ、テガ・ブレイン + ジュリアン・オリヴァー + ベングト・ショーレン、中里唯馬、長谷川 愛)の作品が展示。
シン・リウ《Gleaming Bodies》は「100年後の移動と宇宙探求」といういうテーマへの回答。
左側の台上に置かれた宇宙を移動する「ノアの方舟」で人類は身体を伴わない「遺伝子の旅」をするそうです。

テガ・ブレイン + ジュリアン・オリヴァー + ベングト・ショーレン《Asunder》。「100年後の人工知能と統治」との問いに対する『AIが地球を統治したら』というテーマの作品。「環境管理者」として地球の健康を管理する権限が与えられたAIは“都市や河川、森林 の移動、国同士の統合、海岸線の直線化などの不条理な解決策”を提示するとか。
スーパーフラックス《Refuge for Resurgence, Window View》のテーマは「100年後のコミュミケーション」。旧世界は海中に沈み廃墟と化した街を眺めるという作品。そのほか、エイミー・カールは「生と死」 、中里唯馬は「衣食住」、長谷川愛は「信頼とコミュニティ」のテーマへの作品を展示していますが、鑑賞に自身のイメージのデジタル保存が求められたりVR体験の待ち時間があったりしたので割愛します。

 「今ある危機」の章では、ジョヴァンニ・ベッティ + カタリーナ・フレック、キャシー・ジェトニル=キジナー + アカ・ニワイアナ、クアヨラ、国松希根太、チェ・ウラム、ワビサビの作品展示。
ジョヴァンニ・ベッティ+カタリーナ・フレック《Invisible Mountain》は、イタリアのアルプス山脈で氷河がとけるのを防止するために白い布で氷河を覆うという活動を紹介したもの。この保護布は環境に負荷がかかるプラスチッ ク製で劣化のため2年に一度交換する必要があるとか。こうした矛盾を可視化すべく保護布による山の稜線を再現するように展示されています 。 
クアヨラ《Remains:Vallee de Joux》はスイス山奥の木々が生い茂る実在の風景を高精度の3Dレーザー スキャナで読み取り大判の布に高解像度で印刷したもの。変わっ ていく地球の姿を最先端の技術を使って表現する作品。
国松希根太《WORMHOLE》は北海道で育った直径1m以上の朽ちかけた丸太をチェーンソーやナタ、ノミ、ヤスリなどで削った彫刻。何十年、何百年と生きてきた巨木の姿から未来を想像しようとする作品。
チェ・ウラム《Red》。客席と同色の真っ赤な花がゆったりと大きく咲き誇り、そして静かに閉じながら朽ちてゆく様子が生と死の境目の往来を表現しているとか。

ワビサビ「LAST SNOW」。札幌と世界各都市の積雪量を表現したり中谷宇吉郎の研究紹介などの展示。自然の美しい「雪の結晶」を未来へと繋げること訴えるコーナーのようで「今ある危機」の章のメッセージは『環境破壊への必要なアクション』ということのようです。

そして最終章の「未来ラボ」。舞台を見つめる観客席で未来を創造する演者 (アクター)になりましょう!と。パンフレットでは“絶え間なく 流れる時間のなかで、過去における行動が現在につながり、現在における行動が未来に つながる。この劇場を出た後みなさんの行動が、2124年の世界に影響をあたえるはずです”とのこと。 
客席には、h.o、ワコム、フジ森による体験型の作品が展示され、人に手紙を書き、またその返事を受け取ったりすることができるようになっています。更に展示会場を出ると書き込み等のできる参加型コーナーがあり展示終了です。

今回の美術展は作品紹介パンフレットをよく読んで鑑賞して何となくメッセージが見えてきたように思えます。ただ100年後には生きていないシニア世代にとってもあまり明るくない未来像が多いのが気になりました。

【札幌文化芸術交流センター SCARTS】

「未来劇場」に続いて「札幌文化芸術交流センター SCARTS」へ。
同センター1階ロビーは「SIAF2024」の総合インフォメーションになっています。
併せて日本初公開のソニーグループによる体験型展示《INTO SIGHT》が登場。


《INTO SIGHT》は薄暗い部屋に置かれたのは巨大コンテナのような四角い空間。中に入ってみると少しずつ色を変えながら無限に広がるドットパターン映像が広がります。鏡張りのため足元にも天井にも空間が広がって見えます。

中で左右に動き回ったり手を振ってみると映像が反応して動くようでした。こちらは参加無料で大人から子供まで素直に楽しめる映像空間でした。

以上、本日の「札幌国際芸術祭(SIAF2024)」鑑賞でした。ありがとうございます。

札幌国際芸術祭(SIAF2024)「2124 –はじまりの雪–」
開催期間:2024年01月20日~2024年02月25日
※雪まつり期間は 10:00〜21:00(入館は閉館の30分前まで)
開催場所:未来劇場(東1丁目劇場施設:札幌市中央区大通東1丁目10)
主催者:札幌国際芸術祭実行委員会
お問合せ:札幌国際芸術祭実行委員会事務局
電話:011-211-2314
公式サイトhttps://2024.siaf.jp/
(2024.2.6)

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